【対談】デストロイはるきち(ミソッカス)×稲村太佑(アルカラ)、「人間味出していってなんぼ」

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■パッと見「面白そう」で「楽しそう」だけど、ちゃんと掘っていくと熱い思いや大変な部分がある――デストロイはるきち

はるきち:…ネコフェスの背景、めっちゃ深いですね。

稲村:そやねん、尺長いねん。一言でまとめてくださいというほうが酷やねん。

はるきち:ミソフェスはアルカラがやってることを見て単純に「面白そうだな」と思って乗っかったので。もともとアルカラに憧れていたのもあるので、追いかけたい気持ちもあったし。そんな深い思いがあるなんてびっくりです。ちょっと恥ずかしくなってきました(笑)。

稲村:「面白そうやな」とか、有名無名関係なく“好き”が集まる、好きが好きを呼ぶ、「俺が好きやからお前らもこれ好きやろ? 知らんのやったらここで仲良くなったらええやん」というミソフェスは、たぶんネコフェスのそういう部分を見てくれてるんやと思う。

はるきち:そうですね。


稲村:イベントは「楽しそう」というのがいちばん前にないとあかんと思うし。お客さんからしたらライブハウスがどうだとかは二の次の話やし、それがいちばん前にあると「そんな熱い思いがあんのか~、なんで兄さんそんな大変なことしてますのん!」と思って応援してくれるかもしれへんけど、「行きたい!」と思ってもらえるかはわからへんやん(笑)。ゲテモノ好きの店長が多いのもあって、2000年代は神戸からは面白いアーティストが輩出されていったなと思うし、それをみんなに知ってほしいというのは、いまのネコフェスのひとつのかたちですね。

はるきち:パッと見「面白そう」で「楽しそう」だけど、ちゃんと掘っていくとそういう熱い思いや大変な部分があるのはいいなと思います。

稲村:「楽しい」だけでやっちゃうと、いいときはいいけど。はるきちも毎年イベントやっててわかってると思うけど、お客さんも慣れてくるんですよね。「まあ、どうせあいつらが出て、こんな感じで、最後はこうやろ」っていう予定調和というか(笑)。

はるきち:あー、そうですね。

稲村:恋愛みたいなもんで、ある程度新鮮なうちはいいんですけど、長くなればなるほど「本質がちゃんとハモれているか」が重要になってきて。「3年目の浮気くらい多めに見ろよ」を通り越した5年目、6年目がいちばん難しいと思うんですよ。新鮮さだけが欲しかった、きらきらしていたものだけ見てた…それは高校2年生の子が大学に入って世の中にたくさん男の人がおるんやってことに気づいて、高校のときに付き合うてた坊主の男全然かっこよくないやん! と思ってまうような感じやと思う。それでも坊主の男がしっかり自分の夢に向かって頑張って、10年後に同窓会で出会ったときに、その女が「めっちゃ頑張ってるやん…!」て坊主の男に惚れ直す、みたいなイベントでありたい!

はるきち:じゃあいまのネコフェスは「全然かっこよくないやん!」と思われてる時期ということになっちゃいますけど(笑)。

稲村:いやいや、そうじゃないねん。いまは5年目やけど、今年が初めてのネコフェスやっていう人もおるやんか。常に新しくて、予定調和がないとあかん。


はるきち:なるほど。

稲村:さいたまスーパーアリーナにLUNA SEAのライブを観に行ったとき にも思ったんやけど。あれだけバンドを続けていると、めっちゃ初期から応援しているファンの方もいれば、にわかの方もいれば、途中ちょっと離れててまた戻ってきた人もいれば…といろんなお客さんがおって。めっちゃ初期からのファンのひとがインディーズ時代の曲になった途端にブワーッて大盛り上がりして、周りがどうとか関係ないわけ。その頃を知らんやつも、その人の想いに感化されて盛り上がる。そういうのすごい夢があっていいと思うんですよ。新鮮さと、昔から応援している人が「いいな」と思う定番の部分がつねに共存、共栄していることは、バンドもイベントも大事やと思うんですよね。

はるきち:うんうん。

稲村:1回やるのは大体できる。でも3年続けるというのはすごいことやと思ってますね。

はるきち:…太佑さんは中身のある話をすると、めっちゃ長いんですね。

稲村:なんやねんお前(笑)。だからお前と飲んどるときにこういう話でけへんねん! こんなに中身詰まってるのに、なんで気付いてくれへんのかな~!

はるきち:はははは! いや、こんな思いがあるんだろうなー…というのはなんとなく思っていたけど、ちゃんと太佑さんの口から言葉にされると、ぐっとくるじゃないですか。「あ、やっぱりそうだったんだ、稲村太佑はこういう男だったんだ!」って。

◆インタビュー(3)へ
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