【ライブレポート】<千歌繚乱vol.12>何にも捉われない、7つの自由なライブステージ

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注目の若手ヴィジュアル系バンドをBARKSがピックアップし開催されているライブイベント<千歌繚乱>。6月20日(火)には渋谷REXにて12回目の公演が行われた。

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この日出演したのは乙女国家、ギザ、DAZ、DatuRΛ、BABOO、PIGLOW in GLOOMY、HOLYCLOCKの7バンド。BARKSでは彼らへのインタビュー記事も公開しているが、その内容でわかる通りいずれも「自分たちにしかない世界」を作り上げているバンドだ。今回、それぞれが独自の魅力を存分に発揮した当日のステージの模様をレポートする。

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トップバッターを務めたのは、「LOUD POP PARTY」というコンセプトを掲げるDAZ。2017年1月に始動したばかりの彼らは、始動すぐに発表したミニアルバム『LOUD POP PARTY』からの楽曲を披露。のっけから「BREAKOUT」でうねるビートにあわせ会場にはモッシュが起こる。ラップも入っている彼らの楽曲は、ヴィジュアル系と聞いて一般的にイメージされるものとは違い、ラウドの要素が強い。どの曲も勢いがあり、聴いているだけで元気になれるのも彼らならではの特徴だ。

「DAZは楽しいバンドです!」というMeZ(Vo)のMCの通り、ファンは曲にあわせて2ステップを踏んだり頭を振ったり自由にライブを楽しむ。とにかくDAZのステージは明るいのだ。ラストは「anytime」。これは全力で生きている人たちへのエールが込められた曲。イベントの始まりにも相応しいこの歌で、しっかりフロアを温めてくれた。

◆【インタビュー】千歌繚乱出演バンド・DAZ、V系シーンで「ラウド」と「ポップ」を掲げるパーティーバンド


2番目に登場したPIGLOW in GLOOMYは、“囚人”をテーマにしたバンド。幕が開く前から不安感をあおる不気味なSEが流れ、彼らは一曲目の「赤子」から一気にDAZの作ったポップな世界を自分たちのダークな色に変える。ステージにはキャンドルが灯され、衣装も血しぶきの散った囚人服と雰囲気も抜群で、奏でられる楽曲の世界観をより深く伝えてくれる。ヴィジュアル系を“アート”だと捉える彼らだからこその表現だと言える。

終(Vo)の悲痛な叫びとつらら(Ba)の響かせる低音、そこにまとい(Gt)がギターで彩りを添え、ひと続きの悲しい物語を紡ぐように続々と披露されていく楽曲。余計なMCなどもなく、ひたすら観客を自分たちの世界に引き込んでいく。ラストの曲では激しく頭を振る場面もあり、観客を煽る。曲が終わると同時にメンバーたちは、何も言わず唐突にステージを去った。

◆【インタビュー】千歌繚乱出演バンド・PIGLOW in GLOOMY、せっかくV系バンドやるんならアートでありたい


続いて幕が開けるとそこにはウサギが。彼が「ここはBeroちゃんの夢の世界。最後までしっかりと楽しんで帰ってね」と述べ、“子供時代に戻れる魔法で夢の世界を描く”BABOOの面々がステージに登場した。ライブはおとぎ話のカーニバルのような「STARRY NIGHT」、代表曲「あっかんべー」でスタート。人形の王子様のような出で立ちのJOY(Gt)にカラスのような風貌のNINE(Ba)、可愛いウサギのPhantomを従えて、自由にステージを飛び回るBero(Vo)が作るステージはまるで絵本の世界に飛び込んだよう。

「あっかんべー」ではジャンプをして踊り、「CRY BABY」ではヘドバン。おもちゃ箱をひっくり返したようなカラフルでポップな楽曲にあわせ、観客も子どもにかえったようなにこやかな表情を見せる。楽しそうに演奏するメンバーの姿を見ていると、つられてこちらもついつい笑顔になってしまうのだ。この日披露された楽曲は“ヘンテコな呪文はあっかんべー”など、いずれも耳に残るキャッチーなフレーズが印象的だが、実は彼らの描く歌詞には社会への皮肉やどうしようもない孤独感などのメッセージも込められている。音源で歌詞に含まれた意味を味わってみると、彼らのイメージが変わるかもしれない。

◆【インタビュー】千歌繚乱出演バンド・BABOO、「奇跡を生む瞬間を見て欲しい」


4番目に登場したのはDatuRΛ。激しいパフォーマンスとともにメンバーがステージに上がり、怜央(Vo)が妖艶な仕草でマイクを手にすると疾走感の中に哀愁が漂うミディアムナンバー「秋雨ラメント」が始まる。曲名の通りしっとりとしたムードを作り上げたあとは、シャウトからの「imitation」でフロアを温める。楽器隊の激しい演奏に怜央が紡ぐエロティックな歌詞が絡みつき、これまでの雰囲気とは一転アダルトな世界に。「お前ら全部欲しい、もっとおいで」というMCのあとは、DatuRΛ流のダンスチューン「MASK」が披露され、だんだんと会場の熱が上がっていく。

怜央がはおっていたストールを脱ぎ肌をあらわにした「アクノハナ」では観客がフロアいっぱいにツーステップを繰り広げて踊り、そこからラスト「Liar」ではメンバーの煽りにあわせてヘドバンと折りたたみでフロアに大きな波が起こる。この日はしっとりとした楽曲からだんだんと激しくなっていくセットリスト。“セックス&ロックンロール”を掲げる彼ららしい、エクスタシーを感じさせるライブだった。

◆【インタビュー】千歌繚乱出演バンド・DatuRΛが掲げるセックス&ロックンロール

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