【レポート】清春、MORRIEとサプライズ共演「場を支配してらっしゃる」

清春がMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにてマンスリーライブ＜MONTHLY PLUGLESS 2017 KIYOHARU LIVIN’ IN Mt.RAINIER HALL『elegy』＞を開催中だ。6月24日に行われた同公演では、MORRIEとの夢のようなサプライズ共演が実現した。

◆清春 × MORRIE 画像

3月からスタートした同シリーズは33日間延べ66公演にわたって12月まで続く、清春のライフワークと呼ぶべきもの。かねてより敬愛を公言するMORRIEを、事前告知なしのシークレットゲストとして迎えたこの日、清春の歌唱はいつにも増して強い愛に支えられていた。既存のアコースティックライブとは一線を画す『elegy』に神々しい1ページが加わったのである。


定刻の午後6時を少し回った頃に「空」で幕を開けた第一部本編は、この日も情感豊かだった。時に物憂げに、またある時は優しく包み込むように歌う清春の姿が観衆を魅了する。彼の全キャリアを網羅する楽曲の数々に新たな生命が吹き込まれるたび、オーディエンスの表情がいきいきとしてくるようだ。

その強靭な声に全神経を集中させているうちに、劇的な「tanatos」と「光」が鳴り響き、本編が幕を閉じた。ここまでの流れだけでも十分に満たされたはずの観客だったが、まさかの展開は唐突に訪れた。アンコールを受けて再び姿を現した清春が客席に語りかける。

「今日はゲストの方が来てくださっています。今日のライブに来てくれた皆は運が良かったんじゃないかなと思います」──清春

と微笑む彼に導かれて登場したのはMORRIEだ。そのシルエットがステージに現れた瞬間、この上ない絶叫が場内を包んだのは言うまでもない。「敬愛するMORRIEさんです。先月、この『elegy』を観に来て頂いた時に勇気を出してお誘いしたんです。このシリーズも半分ぐらいに差し掛かったところでの初共演です」と語る清春に誇らしげな表情が浮かぶ。

毎年3月4日のMORRIEの誕生日にゲスト出演するなど、同じステージを何度か経験したことのある清春だが、彼が今もっとも自信を持っているこのプラグレスで共演を果たすことに大きな意義がある。「いつもは2階席で観て頂いているんですけど、今日は楽屋でずっと待って頂きました。本編が終わって楽屋に戻ったら、メイクされたMORRIEさんがいらっしゃって、ヤバかったです」とはにかむ清春の姿が印象深い。


まずは、清春が自身のライブ・レパートリーに加えている「The Godsend」、続いて清春のリクエストによる「Heaven」とDEAD ENDの名曲が2曲披露される。MORRIEと清春の声が重なれば重なるほど、奇跡のような空間が広がり、二人の呼吸が完全にその場を制圧していく。最後は、MORRIEがこの共演のためにセレクトした清春の楽曲「流星」だ。流麗なメロディと涙を誘う歌詞が胸を打つ近年の名曲を選んだMORRIEの感性に、客席から感嘆の声が漏れる。わずか3曲という幻のような時間だったが、この夜に集った観衆の記憶に永遠に刻まれる出来事であった。

子供のような笑顔を浮かべながらMORRIEを見送る清春。その光景を観て、最大級の称讃を贈る観客。“コラボ”や“サプライズ”といった言葉が予定調和に陥りがちな昨今の状況にあって、清春とMORRIEが敬意を示し合いながら共鳴する姿には心を動かされた。これぞライヴだ。

当然のことながら、「Beside you」で始まった第二部も圧倒的な深さに到達。「SOLITUDE」を歌い終えた後、清春は「僕はくどいぐらいにMORRIEさんのことが好きだと言い続けてるんですけど、歌われる姿を真横で見てると、場を支配してらっしゃるんです」とMORRIEとのひと時を興奮気味に振り返った。特に、本編終盤の「Blood smell cause complex」「サロメ」「ゲルニカ」などで見せたパフォーマンスは圧巻。一曲歌い終えるごとに、その余韻の中で清春が漏らす吐息が官能的かつ感動的だった。

この夜、最後のアンコールは「貴方になって」と「至上のゆりかご」。この2曲で満たされた観客が大歓声で清春を讃える頃には、時計の針は午後11時半を過ぎていた。「すごくいいステージができました。ありがとう、清春でした」とオーディエンスに告げ、晴れやかな表情を浮かべるカリスマに、いつまでも鳴り止まない拍手。この特別な夜と相まって、“貴方になる”ことの尊さが胸に刻まれる名演だった。

現時点で折り返し地点を迎えた『elegy』は、彼の息づかいを間近で感じられる愛すべき場所である。清春がこの先にどんな光景を思い描いているのか、興味は尽きない。

取材・文◎志村つくね
撮影◎柏田芳敬