【チーム・フジロック座談会】世界に誇るフェスを支える鉄壁の仲間達

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■ 進化している分だけ大変じゃなくなってる

総合舞台監督・岡田氏:苗場に移って18年、進化している分だけ大変じゃなくなってる。99年頃の大変さはもうないね。

音響・東氏:フジはほんまに楽しいの一言。僕は皆さんのような苦労話はなくて、いつも会館でやっているように、ちゃんと用意されたステージにスピーカーを仕込んで仲間とクオリティの高い仕事をやるだけ。グリーンやレッドマーキーで卓がトラブった時、なぜか僕に連絡が来るのも嬉しい。ヘブンでノイズが出たときも、岡田さんと二人で丸一日以上作業しましたもんね。

──担当しているホワイトを離れて?

音響・東氏:はい、補ってくれる仲間がいますから。トラブル時に頼られ、ハイレベルな要求をされるのには心地良さを感じますね。

電源・吉川氏:僕もそこへ朝飯も食わずに呼ばれて行ったら、出店の石焼きパン屋の方が「どうぞ」と言ってパンをくださって。なんか感動しましたね。

総合舞台監督・岡田氏:上原のパン屋のルヴァンだろ? 嬉しかったよな。

──持ち場でないことも皆さんで対応するんですね。

総合舞台監督・岡田氏:そうね。日高さん(日高正博氏/SMASH代表取締役社長)から直接電話で「ところ天国の出店者のソフトクリームマシーン用の電源がなくて困ってる」と言われたこともあるよ。夜中3時に吉川さんとこの石橋君と電線を繋げて、翌朝「ちゃんと動いてるからいつでも食べに来て」って言われたけど、そんな暇ないってば(笑)。

SMASH・石飛氏:まさに総合舞台監督!

舞台監督・菅氏:国際救助隊だからでしょ?







■ 絶対的な信頼によって生まれる強固でハイレベルなチームワーク

──「フジロックは違う」と、働いてらっしゃるスタッフが口々に言うのを耳にしますが、他の現場と何が違うのでしょう?

音響・東氏:それはきっと、いろんなことに対応できるハイレベルな環境を指してるんじゃないかな。フジは、誰かが「テーブルがない」ってトランシーバーで言ったら「こっちあるで。持ってったろか?」とどこかしらから返ってくるけど、他の某フェスで言うと「そんなの申請されてません」って言われちゃうって言ってたけど、それも言い得てる。

舞台監督・菅氏:みんな人ごとじゃないもんね。

音響・東氏:『ミッション:インポッシブル』みたいな映画では、誰かがビルの上からピョーンと飛ぶと下で待機してる人が車でスッと拾っていくけど、そういう無駄のない駆け引きをフジでは感じるの。ちょっとでもずれたら事故。でも飛び降りる方も信頼してるし、下も任しておけ! と絶対に受け止める。説明しなくてもわかり合える関係や繋がりがあるのがこのチームです。

総合舞台監督・岡田氏:フジロックの特異性を挙げるなら、船頭の少なさもあるよね。長年やっている精鋭たちが選び抜いた答えや決断をみんなが尊重するから、スピード感もあって楽。他だと「その問題は警備の担当を呼ばなきゃ行けない」とか「◯◯も絡む」とかね、忙しいのに無駄に招集するのよ。

音響・東氏:あとルールが少ない。勘違いしているやつがいるとルールができる。悪いやつがいるから法律ができるのと同じでね。

一同:(頷く)

──それはオーディエンスに対するフジロックの姿勢と通ずる気がします。

総合舞台監督・岡田氏:そうかもね。運営マニュアルにも余計な事は書かれず管理はそれぞれが任されてる。逆に言うと、PA席にホットプレート持ち込んで焼きそば焼いたりしてるくらい自由よ。

音響・東氏:僕キッチン担当だから。

照明・川名氏:ポップコーンかなんか作って、油で汚れた手で照明卓をピッと触るんですよ!

一同:(爆笑)

音響・東氏:昔は白いご飯ばっかりだったからホットプレートで焼きめし作ってたら、その翌年は色の付いたご飯しか出してきぃへん! 嫌がらせや(笑)。

──お話を伺っていると随所に掛け合いや遊び心を感じます。

施設設備・宇野氏:遊んでますよ。

音響・東氏:遊んでばっかりですよ。

総合舞台監督・岡田氏:ステージ裏の空いているテントでBBQやってたりもするし。

照明・川名氏:フジで一番大変なの、それだ!(笑)。

SMASH・小川氏:フジでは多いときで150人を2回まわし、300人参加のオフィシャル・リスタートアップBBQを裏でやっているんです。日高さんが始めたものだから、これも続けていきたいですね(笑)。

──では最後に。皆さんのフジロックはいつから始まるのでしょう?

総合舞台監督・岡田氏:毎年最終日にお客さんが帰る時、ゲートに翌年の開催日が書いてあるでしょ? あれを見に行ってメモして大体のスケジュールを読み込んで勝手におさえるところからだね。

──勝手にとはどういう意味ですか?

照明・川名氏:今年は「6月1日に全体会議やります」が最初のメール。

総合舞台監督・岡田氏:発注なんて最初の2年位で誰もなくなるんじゃない? でも、行けばちゃんとポジションがあって仕事になってるんだから幸せもんだよ。

舞台監督・菅氏:好きなことやってるんだからね。

総合舞台監督・岡田氏:この20年、その時期にフジの他にやってることなんて何もないんだから、現役引退したら俺はすぐ客になれる!

一同:(笑)

総合舞台監督・岡田氏:みんなも好きだったらさ、現場にどんどん入ってくればいい。フジなら潜り込もうと思えばどこかしら入れるだろうし、じじぃはそのうち消えていくんだから。

──日高さんも同じことを仰ってましたね。順番ですから。

総合舞台監督・岡田氏:そう、順番。長く開催していればお客さんも変わっていくように、我々スタッフもそろそろ孫子の代に渡せばいい。志のある後輩たちが居れば、誰かが勝手にフジロックをやっていくだろうしね。フジロッカーズたちも3世代。20歳、21歳になったフジロックベイビーたちが現場で俺たちと一緒に働いていたら最高だね。

取材・文=早乙女‘dorami’ゆうこ

  ◆  ◆  ◆

<FUJI ROCK FESTIVAL'17>

2017年7月28日(金)29日(土)30日(日) 新潟県 湯沢町 苗場スキー場
9:00 開場/11:00 開演/23:00 終演予定
総合問い合わせ/オフィシャルサイト:http://www.fujirockfestival.com
※入場券は販売時期によって料金が変わります。
※中学生以下は保護者同伴に限り入場無料となります。
※チケット料金、販売スケジュールにつきましてはオフィシャルサイトをご覧ください。
■http://www.fujirockfestival.com

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