【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第4回ゲスト:HYDE [VAMPS / L'Arc-en-Ciel]

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■僕は熱さとか勢いを出さないようにするけど
■彼の場合はそこが人の心に刺さるんじゃない?──HYDE

──実際、1990年代は何もしなくても売れる時代、2000年代は何かすれば売れる時代、2010年代は何をしても売れにくい時代と言われてますからね。そんな時代に、同じ事務所という旗のもとで闘う男たちは、どう立ち向かわれていくんだろうなと。

HYDE:えぇ~~っ!? どうしたらいいんですか~(笑)。

ASH:これは僕の勝手な見解なんですけど、HYDEさんって、アーティストとしてはあんまりそこは気にされてない方なんじゃないのかなって思っていて。時代に抗うタイプではなく、もっと柔軟に、その時代時代を泳いでこられてるのかなって。

HYDE:そうだね。逆らうわけではなく、自分から追いかけるわけでもなく。

ASH:そういうニュートラルな感覚が標準装備されてるというか。だから、USツアー<VAMPS LIVE 2017 U.S>に行ってた分、日本の流行から1ヵ月ぐらい遅れてるんだけど、Instagramで“彼氏とサイクリングなう”なんですよね。で、そこに“使っていいよ”はつけない(笑)。

HYDE:それ、ディスってる(一同爆笑)?

ASH:違います違います! 完全には乗っからないっていう。時代に対していつもちょっとトリッキーなことをやるのがHYDEさんらしさなのかなって。

HYDE:鋭い! なかなかいい線ついてるね(笑)。僕もそこまでやるのはちょっと違うなと思ったんだよね。ただ、上の一行だけだと誤解を招くんだけど(笑)。

ASH:でもそこが面白かったですし(笑)、その感覚がロックだなって。時代を常に俯瞰で見てる方なんでしょうね。

──そんなHYDEさんに、ASH DA HEROのニューアルバム『A』はどう響きましたか?

HYDE:いろんな曲があるからどれを言えばいいかわからないけど……でも、彼が本来持ってる熱い部分とか、そういうものがすごく伝わってくるよね。ここで音量上げるんだ、とか。多分、“熱さ”という部分が僕といちばん違うところかな? 時代もあるんだろうけど、僕はMCとかもなるべく熱さとか勢いとかを出さないようにしようとするけど、彼の場合はそこが人の心に刺さるんじゃない? それが彼の個性だし、すごくいいと思う。

──一方でASHくんはVAMPSの『UNDERWORLD』を聞いてどんな風に感じました?

ASH:これはすごいアルバムだと思いました! 『UNDERWORLD』を自分の好きな海外メタルバンドの音源と一緒にプレイリストの中に入れてみたんですけど、まったく違和感がなくて。アメリカの著名プロデューサーと一緒に制作したことで、ものすごくアメリカナイズされたヘヴィロックサウンドに仕上がってるのに、“from JAPAN”なバンドとして、VAMPSのアイデンティティがしっかりと落とし込まれてる。HYDEさんの歌だとすぐにわかるし、どこの誰ともかぶってないし、他の海外のラウド/メタル系バンドと比べても、VAMPSは圧倒的にメロディーがいい。それはVAMPSが持ってるセンスだと思うし、さすがだなぁ、いいなぁ、くっそー!と思ってました(笑)。

──お2人とも自分の歌声を楽器のように操れるヴォーカリストだという点も共通してると思うんです。しかもHYDEさんは、『UNDERWORLD』でまたヴォーカリストとして劇的に進化されていて。一体どれだけ伸びしろがあるんですか!って思うほど。

ASH:ほんと、僕も思いました。やめてくださいって(笑)。

HYDE:僕自身が今まで歌っていうものを研究してなかったからね。ただ歌ってただけ、というか。逆に最近の方が自分をよく研究するようになったから、伸びてるんだとしたら、そういうことだと思う。研究し始めたばかりだから、まだまだ自分でもわからないけど。足りないところも自分の中ではいっぱいあるから、どうしたらいいんだろうなって常に悩んでるし。海外に行ってライヴしながらも、日本人ヴォーカリストとは何が違うんだろうってことを、今、研究してるんだよね。面白いよ。それまでは僕、そんなに歌が好きじゃなかったし、そんなに楽しくもなかったけど、好きになるとひとつひとつが職人的な気持ちになってくるというか。なるほど、こうした方が艶が出るな、みたいな感覚になって。そうなるとますます面白いね。

ASH:ちょうど1年前、福岡のライヴでご一緒させてもらったじゃないですか。あの時に……。

HYDE:(ボソッと)覚えてないけど(笑)。

ASH:また覚えてないんですか~(笑)。

HYDE:いや、あえて(笑)。

ASH:くくく。その時の打ち上げの席でHYDEさんが僕に、「歌はね、××××××するといいよ」ってアドバイスしてくださってたんですよ。「アメリカのヴォーカリストたちはもっと××××なんだよね」って。それは僕を見てアドバイスしてくださってたと思うんですけど、たぶんHYDEさん自身がいろんなバンドと競演して、気づいて、実践されてきたことでもあったんだろうなって、今、HYDEさんのお話を聞いてて思いましたし、それが今回のアルバムにも出てますよね?

HYDE:うん。今の発言、全部伏せ字にしておいてください。他のヴォーカリストに知られるともったいないから(笑)。

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