トミー・ヴィクター(G、Vo)率いるクロスオーヴァー・メタル・バンドPRONGが、久々に日本で新作『ZERO DAYS』をリリースする。11枚目となる『ZERO DAYS』で彼らが聴かせるのは、スラッシュ・メタル、パンク/ハードコア、グルーヴ・メタル、インダストリアル等の要素を溶け合わせつつ、共に歌えるメロディにもこだわったPRONG流の複合型メタルだ。5月下旬、トミーが取材に応じてくれた。

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──前作『X(NO ABSOLUTES)』からわずか16ヵ月ほどのブランクで新作『ZERO DAYS』がリリースされます。『X(NO ABSOLUTES)』でのツアー活動は既に一区切りついたのでしょうか?それとも『X(NO ABSOLUTES)』の後も引き続き創造的なモードにあったのでしょうか?

トミー・ヴィクター:俺としては『X(NO ABSOLUTES)』のプロモーションはできればもっと続けたかったが、レコード業界の状況を考えると、次のレコードを出して先に進み続ける方が賢明だと判断したんだ。1970年代のグループは、年に1枚レコードを出していたこともあったんだから、その時代に戻るのもいいんじゃないかと思った。それに現実的な話、今はレコードとレコードの間隔を長く空けているゆとりもない。俺達には何もやっていない長い時期もあったから、その埋め合わせもしているんだよ。人々に、俺達は戻って来た、レコードを作り続けるということを知ってもらうために。前のツアー自体はとても上手くいった。アメリカではテスタメントやセパルトゥラと一緒だった。だから、他にも2つほどツアーをやれたらもっと良かっただろうと思う。

──日本盤が出るのは2007年発表の『POWER OF THE DAMAGER』以来のことで、それ以降はプロングのファンは輸入盤を買っていたのですが、そのことはご存知でしたか?

トミー・ヴィクター:その状況については聞いていたよ。俺達が契約しているSPV/Steamhammerは日本の会社と取引がなかった。だから俺達が日本で契約を交わすのが難しかった。残念だった。だが、今は日本のレコード会社と組むことになった。

──新作では、変則的なリフとビートがポリリズミックに重ねられる「Zero Days」は際立った曲のひとつですが、これをアルバム・タイトルにした理由は?


トミー・ヴィクター:実はアルバム・タイトルを『ZERO DAYS』に決めたのは、基本的にはどの曲もまだ書かれていない時だった。つまり歌詞も完成する前のことだ。俺の頭にコンセプトが浮かんで…といってもこれをコンセプト・レコードとは呼ばないけれど、11月頃まで遡って、次のレコードのタイトルは何にしようと考えた。俺は、曲のタイトルもアルバムのタイトルも、何に取り掛かるよりも先に決めておく。それが俺の思考を、ある意味鍛えてくれるから。絶対にこうじゃないといけないと決めていたわけではなかったけれど、その時点で『ZERO DAYS』と呼ぼうと考えた。そして皮肉なことに、11曲か12曲の歌詞を完成させて、最後の曲に取り掛かろうとした時に、この曲のタイトルは「Zero Days」になるべきだと思ったんだよ。「Zero Days」というタイトルと内容の曲は、まだ書いていなかったから。そして、それが上手くいった。他にも「Zero Days」というタイトルになる可能性があったのが2曲ばかりあったけれど、最終的には理由も何もなく「これだ」と思えるものになった。

──なるほど。

トミー・ヴィクター:仕上げるまでには、ちょっと悩んだよ。容易に書けた曲ではなかった。最後の最後に変更を加えたりもした曲だった。曲作りの最後の2週間ぐらいの間にそれをやったんだ。仕上げるのがタフな曲だったから、この曲について言及してくれて嬉しいよ。ギター・ソロにも変えないといけないところがいくつか出てきたりして、俺とクリスを悩ませていた部分があった。それから歌詞にも悩まされたよ。かなり厄介だった。だが良いものに仕上がった。他の曲の歌詞も書いて、この曲がタイトル・トラックになると決まってからは、他の曲の歌詞を書いたことが、この曲の歌詞を書くのに役立ったんだ。だから最終的には上手くいったよ。だが、ストレスはかなり溜まったね。全部を振り返ってみると、間違いなく奇妙な体験になったよ。

──ボーカル/コーラスという要素において最もキャッチー…ポップな仕上がりと呼べるのが4曲目「Divide And Conquer」ですね。

トミー・ヴィクター:この曲の大半は、俺と共同でプロデューサーを務めたクリス・コーリアーのアイディアなんだよ。俺達は去年の終わりにヨーロッパでオビチュアリーとツアーをしていた。そのツアー中に彼からアイディアが送られてきて、俺は「どうだろう…」とあまり乗り気にならなかったんだ。「もしかしたらポップ過ぎるんじゃないだろうか」と答えたんだよ。だが、聴けば聴くほど、そして俺のアイディアを加えれば加えるほど印象が変わっていった。そして、ボーカルはどういう風にやるべきだろうと考えた。基本的に、俺はどんなタイプのリフだろうとボーカル・パートとボーカル・メロディを考えることにしているんだが、この曲でもそれが始まった途端、「OK、今ならこれが理解できる」と感じた。彼も「ボーカルを入れたらクールになるから」と言い続けていた。他の人達からはコマーシャルに走ったとか言われるんじゃないかと心配もしたし、そういう風に思われたくはないという気持もあったけれどね。
──歌詞に関しては?


トミー・ヴィクター:彼は「Division」というタイトルにするというアイディアを持っていたんで、俺もそのアイディアを元に歌詞を書いていった。だから、この曲は2人のコラボレーションだったと言えるよ。最終的には凄く良いものになって、彼も非常にエキサイトしているし、俺も気に入っている。やっている過程では、信頼を大切にしないといけない場面も出てくる。疑いを抱いていると、その曲がクールなものに仕上がるチャンスを見逃してしまうこともあるからね。この曲にはそういう裏話があるよ。

──音数はそれほど多くなく、必要最小限のことで多くを語るという構成で「Rulers Of The Collective」のアレンジも印象的です。

トミー・ヴィクター:これもコラボレーションの産物なんだ。ダーケスト・アワーにいた俺の友人のフレッド・ズィオメックとのね。俺達は凄く仲良くなって、一緒にサイド・プロジェクトをやろうという話もしていた。しばらくそういうアイディアを暖めていたんだ。そして彼がこの曲のデモを送ってきた。彼は他にも俺に色々なものを聴かせてくれたね。彼は3時間ぐらい働いたら充分稼げる快適な仕事に就いているから時間がたっぷりあって、いつも曲を書いている。そのアイディアを聴いて「これは凄い!クールだ!」と思った。それで、使わせてもらうことにしたんだ。俺はすぐに取り掛かって、そのベーシックな部分はそのままにして、そこにアイディアを加えていった。ボーカルはすぐに書けたよ。

──『ZERO DAYS』リリース後の活動予定は?

トミー・ヴィクター:ヨーロッパでのかなり長いツアーが始まるよ。夏いっぱい続く。そして10月にはアメリカに戻って来て、11月にまたヨーロッパでツアーをするという話もある。とにかくツアーだよ。俺が知っているのは今のところそれだけだ。頭の片隅には、次のレコード制作のこともある(笑)。同じルーティンの繰り返しだ(笑)。レコードを作ってツアー。途中でちょっと休みを取りながら、新しい曲を書いていきたいね。

取材・文:奥野高久/BURRN!
Photo by Secret Playground


プロング『ゼロ・デイズ』

2017年7月14日日本先行発売
【CD】 ¥2,500+税
※日本語解説書封入/歌詞対訳付き
1.ハウエヴァー・イット・メイ・エンド
2.ゼロ・デイズ
3.オフ・ザ・グリッド
4.ディヴァイド・アンド・コンカー
5.フォースド・イントゥ・トレランス
6.インタービーイング
7.ブラッド・アウト・オブ・ストーン
8.オペレーション・オブ・ザ・モラル・ロウ
9.ザ・ウィスパーズ
10.セルフ・ライチェス・インディグネイション
11.ルーラーズ・オブ・ザ・コレクティヴ
12.コンパルシヴ・フューチャー・プロジェクション
13.ウェイスティング・オブ・ザ・ドーン
14.リーズンズ・トゥ・ビー・フィアフル(ボーナストラック)

【メンバー】
トミー・ヴィクター(ボーカル/ギター)
アート・クルーズ(ドラムス)
マイク・ロングワース(ベース)

◆プロング『ゼロ・デイズ』オフィシャルページ