ザ・デッド・デイジーズが2017年7月、初の単独日本公演を東京と大阪で行った。

◆ザ・デッド・デイジーズ画像

ここ1年、彼らは日本において劇的なブレイクスルーを経てきた。初来日となる<ラウド・パーク16>の舞台は日曜日の午前中だったが、そのライブ・パフォーマンスは鮮烈なインパクトを残した。さらにライブ・アルバム『ライブ&ラウダー』が彼らのステージへの期待をさらに盛り上げ、単独公演が実現することになったのだ。東京公演のチケットはソールドアウト。開演前から場内には異様なまでの熱気が漂っていた。



レッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」とブラック・サバスの「ウォー・ピッグス」のマッシュアップ「Whole Lotta War Pigs」に乗って、メンバー達が登場。元ホワイトスネイクのダグ・アルドリッチ(ギター)、マルコ・メンドーサ(ベース)、ブライアン・ティシー(ドラムス)、元モトリー・クルーのジョン・コラビ(ヴォーカル)、オーストラリアの伝説のパブ・ロック・バンド、エンジェルズでプレイしたこともあるデヴィッド・ローウィー(ギター)という、<ラウド・パーク16>と同様のラインアップは2012年のバンド結成以来最強の布陣だ。ステージに1人1人が姿を現すたびに大きな声援が上がり、全員揃ったところで一気に爆発する。

この日のセットリストは基本的に『ライブ&ラウダー』を踏襲したもの。「ロング・ウェイ・トゥ・ゴー」からスタート、「メキシコ」「メイク・サム・ノイズ」と続くショーは、これ以外あり得ない!と思わせる無駄のない展開だ。特に「メイク・サム・ノイズ」は既にファンにとってのシンガロング・アンセムであり、会場がひとつとなってコーラスを歌っていた。




オリジナル曲はもちろん、ロック・クラシックスの数々が披露されるのもザ・デッド・デイジーズのライブの魅力だ。「フォーチュネイト・サン」はクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルが1969年に発表して以来、数多くのアーティストがカバーしてきたが、ジョンのハリのあるボーカルとダグのメロディアスかつテクニカルなギターを得て、彼らのアイデンティティを持ったバージョンに生まれ変わっている。

さらにバンドの個性となっているのは、厚みのあるグルーブだ。マルコ・メンドーサとブライアン・ティシーの鉄壁のリズム隊が生み出すグルーブの塊はホワイトスネイク時代からお馴染みだが、デヴィッド・ローウィのギターがバンドの個性をさらに際立たせる。AC/DCのマルコム・ヤングを理想と語る彼は、虚飾を排したソリッドなリズム・プレイでバンドに欠くことの出来ない一角を占めている。

ブライアンの強烈なドラム・ソロから連なるザ・フーの「ジョイン・トゥゲザー」など、時間に余裕のあるヘッドライナー・ショーならではの嬉しい趣向を挟みながらライブは進行。“メンバー紹介”のコーナーにもたっぷり時間をかけ、デヴィッドがAC/DCの「ダーティー・ディーズ」、マルコがリッチー・ヴァレンスの「ラ・バンバ」、ブライアンがアイアン・メイデンの「誇り高き戦い」…と、ロックの名曲を少しずつ挟んでいく。ステージの上にも、フロアにも笑顔があふれ、観衆が共有するひとつの想いが完成された瞬間だった。

そんな一体感はライブ終盤のカバー大会でさらに高まっていく。ザ・ビートルズの「ヘルター・スケルター」で本編を終えて、アンコールではグランド・ファンクの「アメリカン・バンド」、センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンドの「真夜中のモーゼ」の連打。これでライブは大団円のフィナーレを迎えた…と思いきや、執拗に声援を送り続ける観客にバンドは心底楽しそうに顔を見合わせて、当初予定されていなかったディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」でショーを締めくくった。

オリジナル曲とロックの名曲を実力派ミュージシャン達が火を噴きそうな演奏でプレイするライブ。しかも単に有名プレイヤーを揃えた“スーパーグループ”ではなく、バンド結成以前から長年の信頼で繋がれた仲間たちのステージは、強靱な絆を感じさせる。ザ・デッド・デイジーズがどこまで上り詰めていくか見届けたくなる、そんなライブだった。








取材・文:山崎智之
Photo by Mikio Ariga