【ライブレポート】宮本笑里、愛と友情の優しさに満ちた10周年記念コンサート

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ヴァイオリニスト宮本笑里が、デビュー10周年記念コンサートを7月22日(土)Bunkamura オーチャードホールで開催した。このコンサートはバンド編成での一夜限りのプレミアムなステージ。スペシャルゲストとして、May J.、そしてフラメンコギタリストの沖仁が出演。この二人は4月にリリースされた宮本笑里アルバム『amour』でも共演しており、息の合った演奏を聞かせてくれた。またサプライズゲストの登場もあり、宮本笑里の10年間を集大成した素晴らしいコンサートとなった。

◆宮本笑里~画像~

コンサートは定刻を少し過ぎた頃に静かに幕を開けた。羽毛田丈史(音楽監督 & Piano)、天野清継(Guitar)、一本茂樹(Bass)、梯郁夫(Per)、青柳誠(Key&Sax)、結城貴弘(Cello)といった錚々たるバンドメンバーを従え宮本笑里が登場、「break」でのヴァイオリンの最初の一音で、一気に会場が煌びやかになる。カノンをモチーフとした巧みなアレンジ、そして堂々とした弾きっぷりで全体をリードしていく宮本笑里。温かなメロディが会場全体を包み込み、彼女の世界の中に引き込まれていく。

そしてアルバム『amour』に収録された2曲「HA・RE」「flower」を続けて演奏。ピアノとチェロとヴァイオリンで静かに始まる「HA・RE」は、目の前に草原の風景が広がるかのような気持ちの良い空気を感じさせる。たおやかなメロディ、ウッドベースの響きがヴァイオリンと絡んで心地よい。「flower」では、ステージの背景が夕焼けの空と雲、そして花びらが散りばめられ、舞台が明るくなる。親しみやすいメロディと音色で、風景が次々と変わり、効果的なライティングとも相まって、普通のクラシックコンサートにはない華々しさに満ちており楽しい気分になってくる。

「今日は素敵なゲストに来てもらっています。アーティストとして尊敬している平原綾香さんです」


まだコンサートは始まったばかりだというのに、思わぬサプライズが宮本の口からいきなり発表された。“おおおーっ”とどよめく会場。平原綾香が白いドレスで登場し宮本とハグ。

まず披露したのは、2015年リリースの作品『birth』から「風笛~Love Letter」。これは平原が歌詞を書いている楽曲だ。おだやかなメロディ、高音が透き通る平原の声にやさしく寄り添うヴァイオリン。大切なものを守りたいという心がリスナーにもストレートに伝わってくる素晴らしい演奏だ。

「笑里が風、私がタンポポ。風がないとタンポポは揺れない。そして綿毛を運んでくれるのも風なの」(平原綾香)


二人の仲の良さ、関係性を平原が語り、声をそろえて次の曲を紹介する。「Jupiter」。

もはや説明の必要も無いほどの平原の代表曲であり名曲。一転して低音から歌いだす平原の声艶やかさが特筆もの。宮本は控えめにヴォーカルをサポートする。素晴らしく息がぴったり合っていて、本当に仲の良いことが伝わってくる二人のコンビネーションに大きな拍手が起こった。

平原が退場のあと、すぐさま「カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲」へ。歴史に残る名曲を、ゆったりとしたポップスアレンジで楽しく聞かせてくれ、表現力の豊かさに感心してしまう。

「10年はいろいろありました。デビューできたこと自体が奇跡のようなことで、その後、キャスターをやらせていただいたりもしました。そんななかで、いつも心のどこかで自分に甘えちゃダメだと言い聞かせてきました。皆さんも悩んだりすることがあると思いますが、心に寄り添えるような音楽を奏でていきたいです」

次に演奏されたのは、TBS『THE世界遺産』のテーマ曲でもあった「Les enfants De la Terre~地球の子供たち~」。地球をいつくしむメロディを一音一音大事に弾いていく。大きな愛情を感じさせてくれる一曲だ。そして前半最後は「You Raise Me Up」。すべての人間を励ましてくれる力を持った癒しの楽曲。懐かしく素朴なメロディをヴァイオリンで伝えてくれる。心が温かかくなるのを会場全体が感じているようだ。


15分の休憩を挟んで後半が始まる。情熱的な赤いドレスで登場した彼女が演奏したのは「ツィゴイネルワイゼン」。熱いところは熱く、センチメンタルなところはセンチメンタルに、緩急を付けて自由自在に弾きまくる。後半の超絶技巧パートも完璧な演奏で、彼女の確実なテクニックを見せ付けてくれた演奏だった。

そして今回の音楽監督とピアノを務める羽毛田丈史との2ショットで、宮本との高校時代の出会い、デビュー前にオケに入っていて、いなくなったと思ったらソロデビューしていた、などという昔の思い出話を披露。ピアノとヴァイオリンだけで演奏するのは「やさしさで溢れるように」。これはデビュー10周年を記念して、宮本笑里にレコーディングしてほしいJ-POPの名曲を募集するキャンペーン「#宮本笑里にカバーしてほしいJPOP」で1位に選ばれた楽曲。今やスタンダートナンバーになっているJUJUの名曲だ。宮本を優しくサポートする羽毛田の心遣いが伝わってくる温かい演奏になった。

次に登場したゲストはMay J.。「ディズニー プリンセス メドレー」を披露してくれた。正確無比な音程と声の伸びやかさで定評のあるMay J.が歌う名曲の間を宮本がつないでいく。まるでファミリーコンサートに来たような楽しさと華やかさ。May J.は始終宮本の方を向いて歌っているのが印象的。本当に仲がいいんだなと納得。


May J.とのラストは映画『タイタニック』のテーマ「My Heart Will Go On」だ。ここではMay J.の歌が圧巻。宮本がサビを弾くときにはMay J.がハミングで寄り添い、大サビではMay J.の歌にカウンターメロディを当ててサポートする宮本。気持ちよさそうな二人が印象的な競演だった。

「シェルブールの雨傘」ではブルーの照明で大人っぽく。途中4ビートになって、サックスソロをヴァイオリンが引き継いでいくところなど、細かいテクニックが散りばめられていて、確かな実力を感じさせてくれる。小品でありながら聴き応えある演奏を披露してくれた。

このコンサートで会場の雰囲気が一番変わったのは、次のゲストであるフラメンコギタリスト沖仁のギターかき鳴らされたときだった。演奏されたのはヴィヴァルディ「冬」。フリーテンポのフラメンコギターのイントロに宮本のヴァイオリンが絡みつく。フラメンコギターとヴァイオリンという珍しい組み合わせもさることながら、次々と繰り出される応酬に息を呑む。緊張感が高く会場の空気をガラッと変えてしまう演奏に、大きな拍手が起きた。


最後に演奏されたのはピアソラの「リベルタンゴ」だ。真っ赤な照明に照らされ、タンゴのリズムが響き渡る。やはり共演者の演奏に引っ張られるのか、いつもはおっとりしている宮本とは思えないほど情熱的にヴァイオリンを掻き鳴らす。バンド全員でソロを回し、そして圧巻は、チェロとヴァイオリンが難解なフレーズをユニゾンで弾くところ。宮本の確固たるテクニックの確かさと情熱を感じさせてくれ、圧倒的な音圧とパッションを会場に届けてくれた。これで本編は終了。


アンコールでは「dream~birth」で人生の素晴らしさを大らかに聞かせてくれ、「星に願いを」ではMay J.と沖仁が再び登場。最後の「チャールダーシュ」で緩急自在の技巧を見せ、大きな拍手とスタンディングオベーションでコンサートは幕を閉じた。


通常のクラシックコンサートのように一音一音が張り詰めた緊張感の高いものではなく、ポップで優しく表現されリラックスできる楽しいコンサートだった。しかし、宮本笑里のヴァイオリンには確固たる技巧に裏打ちされた安定感があり、さらに女性としての魅力が加味され、安定的な演奏スキルを感じさせてくれる。彼女の指から紡ぎだされる音楽は、多くの人をこれからも癒し楽しませてくれることだろう。


また、<10周年記念リサイタルツアー2017~2018 「amour」>が決定したことも発表された。11月より始まり、大阪、愛知、三重、神奈川、東京、福岡を回るツアーだ。こちらもお楽しみに!

Photo:上飯坂一

セットリスト

<宮本笑里 10周年記念コンサート supported by ヤマザキビスケット 「ルヴァン」>
2017年7月22日(土) Bunkamura オーチャードホール
●セットリスト
1.break
2.HA・RE
3.flower
4.風笛~Love Letter(with 平原綾香)
5.Jupiter(with 平原綾香)
6.カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲
7.Les enfants De la Terre~地球の子供たち~
8.You Raise Me Up
休憩
9.ツィゴイネルワイゼン
10.やさしさで溢れるように
11.ディズニー プリンセス メドレー(with May J.)
12.My Heart Will Go On(with May J.)
13.シェルブールの雨傘
14.ヴィヴァルディ 冬(with 沖仁)
15.ピアソラ リベルタンゴ(with 沖仁)
ENC-1.dream~birth
ENC-2.星に願いを(with May J. 、沖仁)
ENC-3.チャールダーシュ

ライブ・イベント情報

<宮本笑里 10周年記念リサイタルツアー2017~2018 「amour」>
2017/11/4(土)大阪・いずみホール  14:00開演
キョードーインフォメーション0570-200-888
2017/11/5(日)愛知・宗次ホール 15:00開演
宗次ホールチケットセンター052-265-1718
2018/1/12(金)三重・四日市市文化会館第2ホール 19:00開演
会場059-354-4501
2018/1/14(日)神奈川・逗子プラザ なぎさホール 14:00開演
会場046-870-6622
2018/1/27(土)東京・第一生命ホール 14:00開演
インフォメーションダイヤル 03-5545-9701
2018/2/25(日)福岡・そぴあしんぐう大ホール 14:00開演
そぴあしんぐう 092-962-5555
☆出演:宮本笑里(ヴァイオリン)/ 加藤昌則(ピアノ)/金子鈴太郎(チェロ)

リリース情報

『amour』
初回生産限定盤DVD・スリーブ・ケース付き
SICL282~283 ¥3300+税
通常盤
SICL284 ¥2800+税

【収録曲】
DISC1[CD]
1.flower  作曲:宮本笑里  編曲:吉田翔平
2.風笛(Orchestra version)   作曲・編曲:大島ミチル
3.My Heart Will Go On featuring May J.  作詞・作曲:ウィル・ジェニングス / ジェームズ・ホーナー 編曲:羽毛田丈史
4.Grain of the light  作曲・編曲:鳥山雄司
5.You Raise Me Up  作詞・作曲:ブレンダン・グラハム / ロルフ・ラヴランド 編曲:武部聡志
6.やさしさで溢れるように  作詞:小倉しんこう/亀田誠治 作曲:小倉しんこう 編曲:eji
7.HA・RE  作曲・編曲:TATOO
8.シェルブールの雨傘  作曲:ミシェル・ルグラン 編曲:船山基紀
9.マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲  作曲:ピエトロ・マスカーニ 監修:林美智子
10.ヴィヴァルディ:冬 featuring沖仁  作曲:アントニオ・ヴィヴァルディ  編曲:吉田翔平
11.辿り着く場所  作曲・編曲:中島ノブユキ
12.虹色の夢へ  作曲・編曲:大島ミチル

DISC2[DVD](初回生産限定盤)
1.You Raise Me Up[Video Clip]
2.メイキング「My Heart Will Go On featuring May J.」
3.メイキング「デビュー10周年記念企画 #宮本笑里にカバーしてほしいJPOP」
4.break[Live](live image8 より)
5.Les enfants de la Terre fantaisie~地球のこどもたち~[Live](live image12 より)
6.光[Live](live image12 より)


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