【インタビュー】10-FEET、「太陽の月」を語る「もし人生最後の作品になるなら」
バンド結成20周年と自身主催フェス<京都大作戦>10周年という節目を迎えた10-FEETが7月19日、17thシングル「太陽の月」をリリースした。収録された3曲は10-FEETにしか鳴らせないロックチューン。全曲がシングル表題曲となり得る高いクオリティを持ちながら、全曲がタイプの異なるリズムを携え、全曲が新たな側面を備えている。胸打つ手紙も、派手なバカ騒ぎも、彼ららしい音楽の形も、すべてが「太陽の月」というシングルに集約された。それゆえ、「どれが1曲目になってもいい作品でもあった」とはTAKUMAの弁だ。
◆「太陽4号」「月 ~sound jammer せやな~」ミュージックビデオ 動画
「太陽4号」「月 ~sound jammer せやな~」「少し眠っていたんだ」を収録したシングルのタイトルを「太陽の月」とした理由、リズム/テンポ的な挑戦と必然、新たなものを生み出し続けることについて、3人にじっくりと語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。彼らの作品に対するこだわりの深さがその言葉から伝わるはずだ。
◆ ◆ ◆
■アップテンポなものを選んだことのほうが全然多いので
■これまでだったら選ばなかったんではないですか
──「太陽の月」は、これまでとはまた雰囲気が違ったシングルで。1曲目の「太陽4号」はグッとくる歌をじっくりと聴かせる、とてもいい曲だなと思いました。いつ頃作った曲でしょうか?
TAKUMA:今年の4月くらいから作曲を始めて、5月のレコーディングで完成ですね。
──これが表題曲ということは最初から決まっていたんですか?
TAKUMA:いや、最後の最後で決まりました。いちばん力があるものを選ぼうと。その時できてたのは、「太陽4号」と「月 〜sound jammer せやな〜」の2曲。3曲目の「少し眠っていたんだ」は『thread』(2012年発表アルバム)の頃に作った曲で、今回収録するにあたってサビをちょっとだけ録り直したという感じですね。着手している曲はほかにも何曲かあったんですけど、完成までにはいかなかったです。
──「太陽4号」は手応えを感じた曲ですか?
KOUICHI:最初にデモの段階で聴いた時は、なんか新しい10-FEETっぽいなと思って。そこからみんなでアレンジをして、テンポを速くしたり遅くしたり、いろいろと試して今のこの形に落ち着きました。
TAKUMA:結果的に、テンポ感としては元ネタで出てきた時とそんなに変わっていないですね。
──ゆったりとした曲にしようと?
NAOKI:こういうテンポ感の曲を1曲目に持ってきたのは、これまでのシングルではなかったんですよ。でも曲にパワーがあれば、このタイミングでシングルとして切るのもおもしろいかなと。“シングルでこういう感じの曲は絶対にないよね”っていうのは最近はなかったので。
──今までならシングルでいちばん最初にくるタイプの曲ではなかったですかね。TAKUMAさん自身も、あまり選ばない曲ですか。
TAKUMA:そうですね。アップテンポなものを選んだことのほうが全然多いので。この曲はそういう意味では、これまでだったら選ばなかったんではないですかね。
──それが“よし”になったのは、何が大きかったのでしょう。
TAKUMA:力のある曲だからですかね、やっぱり。
▲TAKUMA (Vo&G)/<京都大作戦2017>2017.7.7-9@京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ |
TAKUMA:なぜ……考えたことはないですね。いつも通り、いつも思っていることを弾き語りで歌って書いた感じですね。
──自分に言い聞かせるような。
TAKUMA:そうですね。これを聴いた時、最初どう思いました?
──おっしゃる通り、力のある曲だと思いましたし。そして、聴き手が心を置ける場所がある曲だなと思いました。
TAKUMA:ゆっくりな曲シングルにしてどうしたんやろうって思いませんでした(笑)?
──それも多少はありました(笑)。ここにきて、この曲を持ってきたんだなという。そういうリアクションは気になるところですか?
TAKUMA:いや、今のところそういうふうに言われたことはないですけど。そういう人もいるだろうなとは思いますね。
──では、この曲に“4号”とつけたのは?
TAKUMA:太陽って自分の電池みたいなものやと思っているので。かれこれ、4つ目くらいでなんとかかんとかやってるなと。1つ目でいけるのがいちばんよかったんですけど。そういう人はたくさん居ると思うんですよね。純粋に突っ走った10代があって、20代で純粋さを知った気になったり、もっと知るために斜めから物事を見て疑ったり。それでも純粋に生きている人に勇気をもらったり、自分もそうありたいと思ったりね。で、今、愚直になってみようという。もうかれこれ4号ぐらいの感覚やなという意味もあるんです。
──なるほど。アレンジについていちばんこだわりを置いた点はどんなところですか。
KOUICHI:このくらいのテンポの曲なので、隙間を使うというか。あまりフレーズを詰め込みすぎない、というのは意識していましたね。雰囲気を出すっていう。
NAOKI:ベースに関しては、こういうテンポ感の曲で、こういうメロディなので、より雰囲気を、ベースのラインやリズムでより泣ける感じにというか。そういう方向に広げていけたらというアレンジをしていましたね。
──楽器的には3人の演奏に加えて、ピアノという感じですか?
TAKUMA:そうですね、ストリングスもちょっと入っているかな。その辺もアレンジの段階で入れようと思っていました。
──そういえば今回のレコーディングは、初めてドラムチューナーが入ったそうですが、結果、間を聴かせるアレンジと豊かな音程感が楽曲の雰囲気作りに大きく貢献しましたね。
KOUICHI:ドラムセットはこれまでと違うもので、シンバル類も幾つかのメーカーのものを使ったんですけど、それがすごくよかった。曲のイメージとすごくはまってる音色が出せたと思います。
◆インタビュー(2)へ
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