【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.83 「MONOを日本から追っかける!(9) ~AFTER HOURS~」

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MONOを初めて見た10年前、ロンドンのカムデンタウンの駅近ライブハウスはイギリス人を筆頭にヨーロピアンと思しき人々で隙間なく埋め尽くされている状態でのソールドアウト公演だった。昨日までその存在すら知らなかった日本のバンドが、世界でも有数なロックな街・カムデンタウンで、日本からの客も連れてこずにチケットを即日完売させ、本編後、客電が灯されてもなおメンバー名を知らないオーディエンスから「MONO! MONO!」と野太くて熱いコールを巻き起こさせるほどアンコールを求められている。これは筆者のUKでの暮らしの中で、数多く受けた音楽的な固定概念を覆されたカルチャーショックの中でもナンバーワンの出来事だった。


そう。人は真実をあまりよくは知らないのだ。
インターネットが普及した今でも、隣りに誰が住んでいるのかわからないし、例え知っていても名前程度だ。ましてや海の向こう側のことはよくわからなくて当然だ。
報道されている情報だけがすべてではないという前提を失念してしまうことも多く、視野が狭くなったり、限られた情報だけを鵜呑みにし、真実ではないものをキャッチしてしまいがちだ。

しかし、この日本には『AFTER HOURS』に参加したオーディエンス2500人の音楽コアファンがいることが今年の4月9日に証明された。チケットは争奪戦の末のソールドアウトだったので実際にはもっと多くの人が存在するだろう。今回の「MONOを日本から追っかける!」では、今年春先に開催された『AFTER HOURS』の写真を入手したのでお届けする。


『AFTER HOURS』とは、4月9日に渋谷にある4つのライブハウス(TSUTAYA O-EAST, duo MUSIC EXCHANGE, TSUTAYA O-WEST, TSUTAYA O-nest)で開催された新たな音楽フェスティバルであり、その実は、MONO、envy、downyがその核を担い実現させたミュージシャン発のフェスである。


音楽ギョーカイに入るまでは、ミュージシャンやその周囲にいる音楽をメシの種にしている人たちは真剣に音楽に取り組んでいて当たり前だと思っていたのだが、現実はそうではなく、己をミュージシャン、アーティストと称するものの、身を削ることなく与えられたお題をこなすだけの雇用者もいる。
そこを気にとめない人はこのフェスとは無縁だろう。しかし、血の滾る、魂の込められた真実の音楽を求める人であれば、このフェス全体、そして音楽家たちから放たれた恐ろしいほどに力強いメッセージと美しく輝く音の結晶に心も体も震わされて勇気づけられたはずだ。





このフェス全体をムーブメントとして捉えるならば、2017年の現在、日本にも正真正銘のミュージシャンが存在して、彼らの音楽が生きていることが確認できたことに大きな意味を残したフェスティバルだったと言える。実際、会場中に充満していたミュージシャンとオーディエンス双方の音楽への迸る情熱に触れたことで「日本の音楽シーンは死んでない、大丈夫だ」と感じることができた。MONO、envy、downyらが母国である日本を諦めずに『AFTER HOURS』を興し、日本のインディペンデントな音楽シーンを切り開き、育てていく覚悟を持ってくれたことに一音楽ファンとして深く感謝し、この非常に高い熱を持ったミュージシャンによる革命的な音楽フェスの誕生を心から祝福し、今後に注目していきたい。




あの日、MONOは4会場中の最大キャパシティであるTSUTAYA O-EAST のトップバッターを飾り、自らの手によるフェスの開幕に花を添えた。「Ashes in the Snow」「Death in Rebirth」「Recoil, Ignite」「Requiem for Hell」の美しい響きにはいつも以上に多くのメッセージとミュージシャンとしての誇りが込められていたように思う。その後も『MONO North America Tour 2017』を大盛況に終え、先週には『MONO "Requiem For Hell" Australia Tour 2017』をオフィシャルサイトにて発表、日本での凱旋公演が待ち遠しい。


文=早乙女‘dorami'ゆうこ
写真=Yoko Hiramatsu

◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】
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