【インタビュー】MISIA、新境地の<SOUL JAZZ>ツアーをWOWOW独占放送「SOUL JAZZを目撃してください!」

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2017年7月、自身初の“SOUL JAZZ”をテーマとしたミニアルバム『MISIA SOUL JAZZ SESSION』の発表と合わせて、名古屋・東京・大阪を回るライヴツアー<MISIA SUMMER SOUL JAZZ 2017>を開催したMISIA。同ツアーより、彼女のバースデーでもある7月7日にファンクラブ限定で開催された東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演の模様がWOWOWにて独占放送される。

◆<MISIA SUMMER SOUL JAZZ 2017>画像

今回のツアーでは、『MISIA SOUL JAZZ SESSION』にも共同プロデュース/アレンジ/演奏で参加したトランペッター・黒田卓也を筆頭に、クレイグ・ヒル(Ts)、コーリー・キング(Tb)、大林武司(Key)、ラシャーン・カーター(B)、アダム・ジャクソン(Dr)らニューヨークの精鋭プレイヤー陣との競演が実現。ソウル・ジャズ・アレンジが施された自身の名曲群やミニアルバムからの新曲、さらに映画『SING/シング』日本語版での歌唱も話題を呼んだスティーヴィー・ワンダーの「Don't You Worry 'Bout a Thing」など、イマジネーションと音楽愛に満ちた熱気あふれるセッションでファンを魅了した。

ジャパニーズR&Bの先駆けとしてシーンを牽引し走り続けてきたMISIAは、デビュー20周年を目前に、どのような思いで新たな挑戦に臨んだのか。新境地を開いた“SOUL JAZZ”ツアーやミニアルバム、その飽くなき音楽的探求の原動力について訊いたインタビューをお届けする。

   ◆   ◆   ◆

■初めてセッションしたときに、「ここから面白いことが始まるんだ」と強く感じた

──まずは、キャリア初の試みとなるツアー<MISIA SUMMER SOUL JAZZ 2017>を終えた今のお気持ちを教えてください。

MISIA:どの会場もとっても盛り上がりましたし、ライヴを観てくれた人から、「想像以上だった!」「もう一回観たい!」「またやって!」という言葉をたくさんもらって、とても手応えがあったツアーでした。私も刺激をたくさんもらいましたし。やってみたいことに出会えるって凄いギフトだなと思います。しかも結果、素晴らしいものが生み出されたわけですから、最高のギフトですよね。ツアーではバンマスの黒田卓也君(日本人で初めて米ブルーノート・レコードと契約したトランペット奏者/アレンジャー)をはじめ、彼がいつも一緒に音楽を作りライヴをしているバンドメンバーにほぼ参加してもらえたことも幸運でした。『MISIA SOUL JAZZ SESSION』のアルバムを伝えるのに、最高のメンバーなわけです。ツアーのうち一日が私の誕生日だったことも含め、最高でした。

──キャリアを重ねるほど、失敗やリスクを恐れて挑戦することへ不安も募るのでは?

MISIA:それはないです。不安もないし、勇気も要りません。ただただ「やってみたい!」、それを実現させられて嬉しいという気持ちが何よりも大きいです。


──今回のツアーやそのメンバーと創り上げたアルバム『MISIA SOUL JAZZ SESSION』は、2016年9月に<Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN>で共演したことがきっかけだとか?

MISIA:はい。昨年、一日限りのライヴで黒田君をはじめバンドメンバーとセッションして、それまで私がイメージしていたジャズ、主にスタンダードなジャズというものだけでは到底語れない音楽の深さを肌で感じました。また、世代が近いせいだと思うんですが、私が聴いてきた音楽……ソウルやヒップホップ、アフロビートなどを彼も通ってきているだろうなってすごく感じるところもあって。セッションしたときに、「ここから面白いことが始まるんだ」と強く感じたし、とても一日だけでは足りないと思ったので、それをライヴが終わった瞬間に伝えたんです。

──心震える出会いだったのですね?

MISIA:あれから1年も経たずしてアルバムを作って、ツアーも回れたので、黒田君と「すごいことだね」って話し合ったりしています。

──ジャズミュージシャンたちの演奏で歌う際、これまでのライヴと意識の違いはありましたか?

MISIA:うーーん。普段、私が一緒にライヴをしているバンドも素晴らしいですからね! ジャズミュージシャンもいますし。だから、ミュージシャンの違いというより、いつものライヴでの“私とバンドのスタンス”と、今回のツアーでの“私と黒田バンドとのスタンス”が違う、という感じです。ソロ同士の競演という気持ちがあったと言えばいいでしょうか。通常のツアーでは「この曲はこういう思いで作っているから、演奏はこうしてほしい」とリクエストすることが多いんです。でも今回は「どういう想いで、このアレンジをしたの?」「どういう音の会話がなされているの?」って、私も耳を傾けているというか。だから、自ずと普段とはリクエストの仕方も変わりますね。

──本当の意味での競演、コラボレーションですね。

MISIA:ええ。だから緊張もしました。もしも仮に、私が強く主張したら黒田君もそれを受け入れてくれるかもしれないけれど、それでは今回一緒にやる意味が薄らいでしまう。それにジャズのプレイヤー独特のものかもしれませんが、誰かがメインになると他はすっと引いて場所を開けてくれるんです。ライヴで私が歌い出した瞬間、自然と引く感じがしました。それも伴奏というのではなく……私もソロのパートのひとつという捉え方だったのかなと思います。

▲『MISIA SOUL JAZZ SESSION』

──既存曲をソウルジャズアレンジで歌った感想は?

MISIA:セルフカヴァーという言い方もありますが、実際に歌ってみると新たに生まれ変わったというか、オリジナルのような感覚でした。タイトルに“JAZZ”とありますが、同時に“SOUL”の文字も入ってるように、R&Bからアフロ、ネオソウル、さらに新曲「来るぞスリリング (feat.Raul Midon)」ではブラジリアンといろんな要素が入っています。どれも私が大好きなものばかり。歌っていて、心がドキドキしました。

──二つの新曲はまさに新境地、ジャズの持つ自由度の高さや懐の深さを生かしていますね。

MISIA:ありがとうございます。リアレンジの楽曲も様々な試みがありますが、オリジナル楽曲の持つイメージも大切にしていますし、歌詞もついていますからその世界観に引っ張られるところはあると思います。例えば、「BELIEVE」は一見、オリジナルからかなりかけ離れた感じですが、頭のトランペットのリフは実はオリジナルのローズのフレーズをサンプリングのように繰り返しているんだそうです。そんな風に、黒田君なりの各楽曲へのオマージュもあるんだと思います。ですが、新曲ではキーを合わせて歌詞を書く前の段階から黒田君に関わってもらいました。方向性を含めてゼロからアレンジしてもらったわけです。新曲2曲の作曲はどちらも林田健司さん。日本でソウルミュージックを作ってきた方のメロディーと黒田サウンドとのコラボの側面もあって、どんなものが出てくるかワクワクしました。「来るぞスリリング」は、実はメロディーはミディアムスロー気味なので、どんなアレンジが良いか、初めはかなり苦心したと聞きました。でも、あるときブラジリアンが良い!と舞い降りてきたそうで「かっこいいものができると思う」と連絡が来ました。それからすぐに音が届いて、私もレコーディングに入ったんです。

──デモ音源を聴いたときはどう思いましたか?

MISIA:実は、今回はデモを作ってないんです(笑)。アレンジができたという段階で即、レコーディングでした。そこもまたジャズっぽいなって。彼とバンドメンバーがその場でセッションしながら完成させたトラックがニューヨークからデータでボンと送られて来て、それに対して私はこっちから歌で返す。その繰り返しでした。

──まるで時空を超えたジャズのインプロのよう!

MISIA:信頼しているからできることですよね。そうやって作ったアルバムなので、実は音を一緒に出したのはライヴリハーサルが初めて(笑)。昨年のイベントで歌った曲もありましたが、新曲は当然初めてですから「やっと一緒に歌える」って嬉しくてワクワクしましたね。


──「嬉しい」……。あの超絶難しい曲を歌いこなすだけで大変そうだなと想像していたのですが。

MISIA:確かに練習しているときは「なんて難しい曲なんだろう」って思ってましたね(笑)。ですが、ある言葉にヒントをもらって。今回のアルバムでリアレンジした「真夜中のHIDE-AND-SEEK」や「オルフェンズの涙」などを手がけてくださった鷺巣詩郎さんから以前言われた言葉なんです。鷺巣さんのオリジナルもジャジーなものが多く、なかなかにトリッキーなアレンジだったりするんですね。そういった楽曲を歌う時、「僕は途中からいろんなものをMISIAに向かって投げたりするけど、MISIAはそれに動じることなくまっすぐな道を歩いてほしい」と言われたんです。

──ほぅ……。それは実に興味深い話ですね。

MISIA:だから今回の新曲も、みんなの音を聴きながら私はまっすぐに歌えばいいんだって思いながら歌いました。そうそう、「運命loop (feat.Marcus Miller)」はサビの前に文字通りループしているところがあるんですが、それで私が最初から仮で“loop”って呼んでいたものを作家さんが採用してくれました。林田健司さんが作ったオリジナルでは、そのloopパートはそこまで長くなかったんですが、そこを黒田君が好きで倍に伸ばしちゃったんです(笑)。ですから、アレンジが送られて来たときはびっくりしましたね。「どうしても難しければ元に戻していいよ」って言われたんですが……、戻したくないなと(笑)。

──その挑戦、受けて立とうじゃないかと。

MISIA:(笑)。フレキシブルになんでもやってみることが可能だったのも、黒田君が新曲作りにゼロから関わってくれたから。とても意義深いなと思いました。しかも倍に伸びたことで、アルバムで参加してくださったマーカス・ミラーさんのベースがいい感じに暴れられるようにもなったんです。全てがいい方へと向かっていったように思います。

──とはいえ、「何て無茶振りするの」って思いませんでしたか?

MISIA:こちらもこちらで無茶なことをたくさん振ったのでお互い様なんです(笑)。

Photos by Santin Aki

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