【インタビュー】マーティ・フリードマン「セクシーな芸者が踊っているようなイメージ」

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マーティ・フリードマンが約3年ぶりとなるソロ・アルバム『ウォール・オブ・サウンド』を完成させた。緻密に作り込んだギター・パート、複雑な曲展開…ヘヴィ・メタルという音楽を軸にしながら様々な表情を見せる楽曲には、まさにマーティ節が満載されている。

◆マーティ・フリードマン画像



――『ウォール・オブ・サウンド』の制作過程について教えてください。

マーティ・フリードマン:『インフェルノ』(2014年)を作った後、これよりいいアルバムを作るのは無理だと思ったし、このアルバムを超えるものを作らないと出す意味がないと思っていたんです。でも、実際に曲を作り始めてみると、新しいアイディアが溢れてくるし、これまで以上に奥深い曲を作るという部分でさらに上手くなっていたので、安心しました。

――アルバムにコンセプトはあるのですか?

マーティ・フリードマン:まず、ギターを触る前にしっかりとコンセプトを考えますね。悲しさとか嬉しさとか、そういう感情を表現したいと思ったんですけど、それより奥深い感情をどういう風に表現するかということをテーマにしています。例えば、ジェイソン(ベッカー)とか、友達のことは愛しているけど、男同士だと口に出して言わないじゃないですか。それをどうやって音楽の中で表現するか、それは凄くいいチャレンジでした。それと、美しいけどグロテスクとか、そういうユニークな感情をテーマとして挙げて、次から次へとデモを作って、移動中にはずっとそのデモを聴いていました。そこから何パターンも試して編集して曲を形にしていきました。

――例えばどのような曲を?


マーティ・フリードマン:「ソロー・アンド・マッドネス」はブラック・ヴェイル・ブライズのジンクス(G)が参加しています。彼らのファンと僕のファンはジャンルが違うので、両方のファンを驚かせましょうと考えて、彼にはヴァイオリンを弾いてもらいました。最初のメイン・メロディは彼が考えたものです。基本的にコラボは相手からスタートして欲しいんです。アルバムの中で、僕の作業量があまりに多いので、コラボをするなら意味が欲しい。5分5分の立場で、僕と相手が本当に合体しているような曲にしたいです。それと、「サムシング・トゥ・ファイト」はノルウェーのシャイニングのヨルゲン・ミュンケービー(Vo、Sax)が参加しています。

――この曲だけボーカルが入っていますが、最初から歌入りの曲を作るつもりだったんですか?

マーティ・フリードマン:そうです。彼のボーカルは大好きですから。彼は僕以上に完璧主義者なので、細かいところまで調整してパワフルな曲になりました。

――最後の「The Last Lament」は展開の多い曲ですね?

マーティ・フリードマン:個人的に展開していることに意味があるので、流れとしてはやりたいことはできています。次から次へと色々な展開があるんですけど、「ソロー・アンド・マッドネス」と同じようにメイン・メロディが色々な解釈で旅をしています。アレンジは非常に冒険的で、とても個人的にカッコいいと思っています。やったことがない展開が多い曲ですけど、聴いた人はみんなマーティの曲だとわかるのは何でなんでしょうね。

――色気のあるメロディ/世界観があって、そこにスピード・メタルの要素が入っているからじゃないですか?

マーティ・フリードマン:ああ、わかる!僕はスピード・メタルはエロく感じないので、そこに色っぽさを無理やり入れるんですけど、その無理やりの部分が上手くできているのかな。友達のギタリストが言うには、僕の音楽は“セクシーな芸者が踊っているようなイメージ”だと言うんですよ。

――そういう意味では、『ウォール・オブ・サウンド』は色っぽいムードが強く出ている気がします。


マーティ・フリードマン:ありがとうございます。この作品がヘヴィ・メタルのアルバムだって、僕がいまさら言う必要もないじゃないですか。だから、ヘヴィな部分を上手く利用したいんですよ。

――最強のアルバムができたと思います。

マーティ・フリードマン:他のアルバムを忘れるくらいです。毎回似たようなことを言うんですけど、毎回自信作を出せるのは凄く恵まれていることだと思います。いい作品を作りたいというモチベーションは明日にはなくなるかもしれないじゃないですか。でも、そういう気持ちがまだ持ち続けられる環境にいられるのはありがたいことです。

取材・文:Jun Kawai
Photo by Takaaki Henmi


マーティ・フリードマン『ウォール・オブ・サウンド』

2017年8月2日日本先行発売
【CD】¥2,500+税
【100セット通販限定 CD+サインカード】¥3,500+税
※日本盤限定ボーナストラック2曲収録/日本語解説書封入
1.セルフ・ポリューション
2.ソロー・アンド・マッドネス feat.ジンクス [ブラック・ヴェイル・ブライズ]
3.ストリートライト
4.ホワイトワーム
5.フォー・ア・フレンド
6.プッシー・ゴースト feat.シャイヴ・メーラ [デフヘヴン]
7.ザ・ブラッケスト・ローズ
8.サムシング・トゥ・ファイト feat.ヨルゲン・ミュンケービー [シャイニング]
9.ザ・ソルジャー
10.ミラクル
11.ザ・ラスト・ラメント
《日本盤限定ボーナストラック》
〔2015年9月10日 ニューヨーク/グラマシー・シアター収録〕
12.アンダートウ(ライヴ)
13.インフェルノ(ライヴ)

◆マーティ・フリードマン『ウォール・オブ・サウンド』オフィシャルページ
◆自分の名前入れられる!アルバム発売記念Tシャツ
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