【インタビュー】植田真梨恵、新曲「REVOLVER」で「男の人が猛烈に恋する、私の願望のような歌」

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植田真梨恵が8月9日、7thシングル「REVOLVER」をリリースする。2016年末に2ndアルバム『ロンリーナイト マジックスペル』を発表し、同アルバムを引っさげた全国ツアーを2017年初頭に終えた後は、アニメ映画エンディングテーマやショートムーヴィー主題歌と挿入歌を手がけたほか、映画『トモシビ 銚子電鉄6.4kmの軌跡』で出演&主題歌を務めるという初体験を経た2017年上半期。CDリリースとしては2017年初となるシングルが「REVOLVER」だ。

◆植田真梨恵 photo-gallery 画像

「REVOLVER」は植田真梨恵の頭の中で展開されるめくるめくポップ世界が、とても軽やかに音となり、エネルギッシュなバンドサウンドとなった1曲。その脳内を忠実に表現するかのように、ミュージックビデオを初監督したことに加え、初回生産完全限定盤には絵本も付属する。これまでも手作り感、工作の楽しさが溢れるミュージックビデオやアートワークで高いセンスを垣間見せてきた手腕を120%発揮。ファンタジックでシュールな作品を音とアートの両面から楽しみたい作品の完成だ。

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■代わる代わるキャラクターが出てくるような
■メッセージではなく自由帳に絵を描く感じ

──CDのリリースとしては、アルバム『ロンリーナイト マジックスペル』以来となるシングルです。タイトル曲「REVOLVER」はキャッチーで、かなりクセになるロックチューンとなりました。これはわりと以前に書いた曲だということですが、なぜこのタイミングで形になったんですか。

植田:曲を作ってはレコーディングする日々を送っていたんですけれども、全国ツアーも終わって“これからどうしていく?”となった時に、いろんな案が出たんです。そんな時にこの「REVOLVER」が、ABC朝日放送さんの『ビーバップ!ハイヒール』というハイヒールのおふたりがやってる人気番組のオープニング曲として使っていただくことが決まって。その放送に間に合うようにアレンジを進めたり、番組用の歌詞を書いたりしながら、超特急で完成まで導いたんです。で、番組で流れているのを聴いてくださった人とか、たまたま地元の飲食店で初めて会った人とかが……。

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──そんな身近なところでも話題に(笑)?

植田:はい(笑)。「CD買うわ〜」とか大阪のノリで言ってくださるんですけど、「まだ、CDになってないんです」と。だったら、これはCD化したほうがいいんじゃないかなっていう思いが芽生えてきたところで、レコード会社のほうでも、“夏っぽくて元気いっぱいの曲だから、このタイミングでリリースしよう”という話になって。

──では、もともとシングルリリースするんだ、ということで作り進めていた曲ではなかったんですね。

植田:シングルを意識した曲ではなく、導かれて作っていった感じでしたね。最初に作ったのが20歳の時だったんですけど、“男の子のバンドが歌う曲を私が書いてみたとしたら、どんな曲になるだろう?”っていうのがはじまりで。そんなことを考えながら、部屋に貼ってあったThe Beatlesのポスターのタイトル“REVOLVER”をそのまま取って作り始めたんです。だから、男性的なイメージというか。ある種の私の願望のような……映画でも男の人が女の子に猛烈に恋するようなものを見るのが好きなので(笑)。そういう歌詞を男の子に歌ってほしいと思いながら作った曲だったんです。

──サウンドもフレーズも男の子のロックバンドがやるとしたら、こんな感じがカッコいいというイメージを形にしていったんですか。

植田:そうですね。当時は、面白いことをしてるのを見たいっていう思いだったと思うんです。どっかで聴いたことがあるようなフレーズの欠片たちが、ちょっと出てきたり。その世界観がドッキングした時に異様な色を放つみたいな、そういう実験がしたかったですね。でも、サビになるとむしろ予定調和的になるとか。Bメロがいちばん混沌としたイメージですね。ここはORANGE RANGEとSPICE GIRLSとABBAが混ざったみたいなBメロにしたら面白いなと思って。

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──1番と2番でガラッとアレンジが変わったり、音色が全体的に懐かしい感じだったり、遊びがふんだんで。その、どこか懐かしいというか、聴いたことがあるようなフレーズ感も、そこかしこに散りばめられているのが、キャッチーさを印象付けます。

植田:ちょっとダサいみたいなところを狙って作った曲だから。私のなかのありきたりではないことを選ぼう、と思いながらレコーディングしてますね。

──その、ちょっとダサいっていうのは?

植田:なんて言ったらいいのかな……、カッコつけて歌う歌ではないなと思ったんです。ふっと笑ってしまうというか。ミュージックビデオの世界観もそうなんですけど。ちょっとシュールな、というか。コケちゃうような感じにしたくて(笑)。レコーディングでは、なるべくカッコいいギターの音にならないようにというか、スカしキメたクールなロックにならないように意識して気をつけたんです(笑)。味のあるとか、表情のみえる音にしたかったから。“ちょっと危うかったわ、今のギターソロ”みたいな音を使いたくて、メッチャ時間を掛けて録りました。

──転調したりとか、アレンジに植田さんらしさも入ってますよね。そのいなたいイメージはアレンジャーの岡崎健さんにも伝えたんですか。

植田:そうです。先ほど挙げたアーティストの曲とか、AメロはWHITE STRIPESみたいな感じでドラムが“♪ドン、ドン、ドン”っていっててとか。大サビではコーラスをいっぱい重ねるからとか、細かく伝えました。

──ギターソロ後のパイプオルガン的な鍵盤音が歌詞とマッチしてますが、これもそのイメージのひとつ?

植田:そう。それに、Bメロの最初に出てくる“教会の鐘の音”という歌詞は、教会でお祈りしているところで突然教会からディスコに変わる演出があったら面白いなと思って、だから、ベースラインがオクターブになってたり。曲の中で代わる代わるキャラクターが出てくるようなイメージで進めましたね。

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──頭に描いていたサウンドのイメージは、映像的な感じだったんですか。

植田:どちらかというとメッセージとかではなくて、自由帳に絵を描くような感じで作った曲なので。だから、絵を描くイメージを共有できるようなミュージシャンと一緒にやりたいなというのがあったんですけど、それが面白かったですね。Sawagiの雲丹亀卓人(B)さんとは、「イントロはアメリカのポリスが出てくる感じで。ガタイのいいビカーっとしたサングラスの警官がお出ましというイメージで」とお話しして、かなりピンときた様子で弾いてくださいました。

──通じたんですね(笑)。

植田:そうなんです(笑)。面白かったです。こんな悪ノリみたいな瞬間があるレコーディングも楽しいなと思いました(笑)。

──そういうのは、今までの制作と比べて違いましたか。

植田:懐かしかったですね。インディーズ時代の最後のほうにやっていたレコーディング方法というか。スタジオに来てもらって、最終的にその場で作り上げていくという。絵を描いてるような曲も当時は多かったので、その頃に近い感じはありました。

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