【ロングレポート】雨天続きのフジロック'17が映し出したもの

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話をアクトに戻したい。タイムテーブルの発表時から話題になっていたものの想像以上のすさまじい体験となったのが、3日目のグリーンステージにおけるYUKI→ロード→ビヨークという流れだった。自己の存在意義を伸びやかに歌う姿が、彼女の音楽人生はいつでも全盛期であることを伝えていたYUKI。バックバンドを従えていたもののステージでは彼女だけがライトアップされ、時に天井を仰ぎ、時にステージの前っぺりに腰掛け、終盤は裸足になって常に動的なステージングを見せながらも、フジロック出演の喜びをMCでチャーミングに語り倒していたロード(ライブ後のTweetもとてもキュンときた)。今回も見たことのない生物のような装いで出現して、オーケストラ&アルカと共に表現した壮大な音楽がまたもや苗場を宇宙にし、最早安定のステージを繰り出したビヨーク(ロードからの転換中のBGMが日本の民謡というのも面白かった)。巨大なステージを掌握するそのたくましい歌姫たちの姿は怖いほど美しかった。ちなみにこの日の夕方にカフェ・ド・パリに登場した戸川純 with Vampilliaのライブも凄まじい熱気だったとTwitterで目にして悔しかった。





▲YUKI





▲ロード





▲ビヨーク

さらには、YUKI→ロード→ビヨークののち、極めつけのように青葉市子を観に行ったピラミッド・ガーデンに酔いしれたのだった。無数のキャンドルが灯されるそのステージに青葉市子が降り立ち歌うと桃源郷が出現した。遅ればせながら初めて入った夜のピラミッド・ガーデンの静寂と素晴らしさよ……この3日間にわたり目にしてきた熱狂のステージの数々から一転したその光景に、フジロックにはまだまだいくらでも新しいシーンがあることを知った。

▲ピラミッド・ガーデン

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まるでどこから食べても餡が詰まっているように、見どころに溢れた2017年のフジロック・フェスティバル。そして3日目のゲートには、「SEE YOU IN 2018!! 7/27 fri. 28 sat. 29 sun.」のメッセージが掲げられ、明日からフジロスを患う人々を今年も勇気づけていた。それに、BARKSでお届けしたSMASHスタッフのインタビューによれば、「終わったらすぐ翌年のブッキングが始まる」のだという。すでに次回のフジロックが水面下で動き始めていると思うと、楽しみ以外のなにものでもない。



そして最後に。日本にフェス文化をもたらしたフジロックはこうして21回目を終えたわけだが、世界に誇るこのフェスは、豪華な出演者以外にもフェスとしての理念込みで一般層まで定着していると感じる機会が最近多かったがゆえに、前述の折りたたみ椅子問題、それに雨も大きく影響したのだろう、ゴミやキャンプ用品が放置されている様子もSNS等で拡散されていたことは意外だった。我々参加者は、この状況を真摯に受け止め、今一度、フジロックが掲げる「自分のことは自分で」「助け合い・譲り合い」「自然を敬う」というスローガンであり、人としてベーシックなこれらの発想を見直し、改めて発信するタイミングにあるのかもしれない……考え方や生き方をも提案するフジロックフェスティバル。今後も、その動向を追い続けていきたい。






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