【インタビュー】Awesome City Club「こっちに来てくれれば絶対に幸せにできるから一緒にいこう!」

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■「Lullaby for TOKYO CITY」はキラキラしているけどドロドロしている東京を表現できた
■個人的にも特別な曲。歌詞を書き上げるのに半年くらい掛かったのかな


――速いペースで音源をリリースしながら、意欲的に新しい扉を開けてきたことが分かります。幅広さという意味では、王道的なロック感を活かした「Gold」や、浮遊感が心地好い「Lullaby for TOKYO CITY」なども注目です。

マツザカ:「Gold」は、ギターのモリシーが中心になって作った曲です。モリシーとPORINと僕の3人で<FUJI ROCK FESTIVAL>を観に行ったことがあって、アーケイド・ファイアが出ていたんですよ。その時にステージに金粉が舞っていて、モリシーはそれがすごく印象的だったらしくて。彼がこの曲の原形を持って来た時に、“Gold”という仮タイトルがついていたんです。僕らは2ndアルバムがメジャーデビューするタイミングで、今からみんなで金ぴかの世界を見に行けたら良いなと思っていたし、新たなスタートを切るにあたって、みんなの気持ちが引き締まる曲があると良いなと思っていて。「Gold」は当時のそういう気持ちが楽曲にも、歌詞にも出ていますね。この曲は野外でやるとすごく気持ち良くて、これも気に入っています。

PORIN:この曲は、すごくバンド感がある曲だなと思っていて。5人の演奏している姿とか、表情とかが見えてくるとよく言われます。それに、ライブで演奏するとAwesome City Clubが持っている“多幸感”を、この1曲で表現できるというのがあって。なので、よくライブの序盤でやったりしますね。


▲atagi

atagi:「Gold」は、わりと作詞作曲が同時進行で進んでいったというのがあって。僕らが曲を作る時は基本的に楽曲先行で後から歌詞を乗せるので、それは珍しいパターンなんですよ。そういう意味では、「Gold」は楽曲と歌詞の温度差が少なくて、そこが魅力の一つになっている気がしますね。「Lullaby for TOKYO CITY」は、これは曲にならないかなと思いながら作ったんですよ。だけど、僕が作ったデモをメンバーがフックアップしてくれて、今の形になりました。こういう曲は作ろうと思っても、なかなか作れないんですよね。だから、貴重だなと思います。

PORIN:これはバンドにとって、すごく大事な曲です。洗練感のある曲だけど、Awesome City Clubの軸になっているキラキラしたシティポップとはまた違うテイストになっていて。東京に住んでいる人にしか分からない、キラキラしているけど、ドロドロしている部分も持った東京を表現できたのが、すごく良かったなと思います。

マツザカ:個人的にも特別な曲ですね。僕は東京生まれだし、東京を歌った曲は名曲が沢山あります。自分もそういう曲を作りたいという想いがあって、歌詞を書くのにすごく時間が掛かったけど、どうしても形にしたかった。多分、歌詞を書き上げるのに半年くらい掛かったのかな。僕は言いたいことや伝えたいことがあっても、SNSとかで発信するのがあまり得意じゃないというか、シックリ来ないところがあるんです。それを作品に残していけたら良いなと思っていて、それが初めて出来たのが「Lullaby for TOKYO CITY」だったんです。だから、本当に特別な曲です。


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――東京を歌った名曲はその時代の東京をリアルに描いていて、「Lullaby for TOKYO CITY」は曲調/歌詞ともに、そういうものになっています。もう1曲、PORINさんがメインで歌われているキュートな「4月のマーチ」も、独自のポップネスを活かしたナンバーといえます。

atagi:この曲も平たい意味で言うAwesome City Clubらしさは詰まっていなくて。それ故、直線的なパワーだったりとか、〇〇っぽいというようなものではない良さがあるなと思いますね。ギターの話になりますけど、この曲は唯一と言って良いくらいパワーコードしか弾いていないという(笑)。そういうところにも、この曲の特異性が出ていますよね。それに、後半の展開は、本当に気に入っている。そこを思いついた時は、自分でもすごくテンションが上がりました(笑)。この曲を作ったのは結成してから1年も経ってない頃だったと思うんですけど、その当時は一番人気くらいの曲でしたね。ちょうどメジャーレーベルを含めて、いろいろなところから誘いが掛かっていた時期で、その最中にこの曲ができて、すごく褒められたことを覚えています(笑)。

マツザカ:この曲の歌詞は、僕の想いが爆発しています(笑)。女の子が歌う歌詞を書くのは初めてだったけど、それが結構楽しくて。atagiが歌う曲は同性ということで自分が思っていることを書いたりするけど、この曲はより作家的というか、PORINがこういう曲を歌っていたら世の中の人は喜んでくれるんじゃないかなという方向で書いたんです。男性のプロデューサーとか作詞家が女の子のアイドルやアーティストのために書いた歌詞は、ファンタジックだったりしますよね。よく冗談交じりで言うんですけど、週刊誌の巻頭グラビアとかに入っている文字は、多分オッサンが書いていると思うんですよ(笑)。でも、それが見ている人に夢を持たせてくれるという(笑)。この曲はそれに近い手法を活かしつつPORINも一緒に書いたことで、浮かれ過ぎてはいないという良いバランスになったなと思います。

PORIN:私は、最初はこのバンドにサポートで参加していて、「4月のマーチ」は正式加入するきっかけになった大事な曲です。それに、当時の私は初期衝動とか、ワガママとか、エゴがいっぱいあった時期で、この曲は女の子のそういう部分を描いた歌詞じゃないですか。だから、リアルに表現できた気がしていて、すごく説得力のある曲になっているんじゃないかなと思います。

――この曲を聴いてヤラれてしまう男子は多いと思います(笑)。それに、『Awesome City Club BEST』は冒頭に話が出たように、新曲の「ASAYAKE」が収録されていることも見逃せません。

atagi:『Awesome City Club BEST』は“ベスト”と銘打っていますけど、僕らの中では半分1stフル・アルバムという気持ちもあるんです。ミュージック・シーンではデビューしてシングルを何枚か出した後、満を持して1stフル・アルバムという流れが一般的だと思うんですけど、僕らにとってはここまでの流れはそれと一緒なんですよ。そうなった時に、アルバムに新曲が入るのは当たり前だし、ベストといっても長いキャリアを経たアーティストのベストではなくて、これから先に期待して欲しいという気持ちが強いベストなんですよね。そういうものであれば、僕達を応援してくれている人達に対するメッセージを最初に持っていくべきだなという気持ちもあったんです。だから、曲順とかを決める前から、新曲を頭に据えたいと思っていました。

――「ASAYAKE」は“ここから、また新しいところにいくんだ!”という想いが楽曲や歌詞、それぞれのプレイ、サウンドといった全ての面に出ていますね。

atagi:そう。そういうものになったなと自分達でも感じています。「ASAYAKE」はバンドにとって初のことですけど、モリシーが単独で作曲をしたんです。デモの段階でこの曲の核になっている部分はしっかりあって、新しい曲を出す、そしてベストに収録するとなった時に、この曲は今の自分達のスタンスを見せるのに最適だろうということで、全員一致でこれを形にしようということになりました。あと、この曲はドラムがスネアを叩いていないんですよ。スネアの代わりに、ずっとハンドクラップが鳴っているんです。スケールの大きいものにしたいという気持ちがあってプロデューサーと相談したら、そういうアイディアが出て来たんですよね。あと、後半に合唱っぽい歌だけになるパートもあります。そういうところも含めて、「これは良い出来になったね」とみんなが言ってくれる1曲になりました。

マツザカ:新曲であると同時に、ライブのアンセムになるものを作ろうということを、みんなで話していて。「ASAYAKE」は、自分達なりのアンセムを形に出来たことに満足しています。歌詞の面でも今までのAwesome City Clubは、どちらかというとナイスな瞬間を切り取って“雰囲気を楽しもうぜ”みたいなところがあったけど、ライブがどんどんエモかったり、フィジカルになって来た時に、もっと自分達の内面を見せていきたいなと思ったんです。そうしないと、お客さんに信用してもらえない気がしたから。そういうところで、自分が感じているモヤモヤみたいなものを表現してみたいなと思って、この曲はそれに挑戦した歌詞になっています。

PORIN:「ASAYAKE」は一番最初にデモであがってきた段階から最近ライブでやるようになるまでの間、ずっと5人全員が情熱を絶やさず、愛情を持てたことがすごく良いなと思っています。曲を作っていく間に愛情が薄れてしまったり、不安になってしまうことがあるけど、この曲はそういうことが全然なくて。レコーディングもすごく順調にやれたし、良い形に仕上がったし、ライブで初披露した時もすごく手応えを感じたんです。ずっと良いイメージがあるから、このまますごく遠くまで飛んでいく曲になりそうだなという予感があります。

マツザカ:飛んでいって欲しいね。あとは、リオ・オリンピックの閉会式で椎名林檎さんとか、真鍋大度さんといったまだ若手に属する日本を代表するクリエイターの方が世界に向けて発信しているのを見て、それにすごく刺激を感じたというのがあって。これから日本は変わっていくんだなということを、強く感じたんです。それが自分的には夜明けだなと思っていて、そこに自分も何らかの形で参加したいし、僕らの世代がこれからの日本を創っていくんだよというところで、旗振りみたいな曲が出来ると良いなと思っていて。「ASAYAKE」には、そういう想いも込められています。そういったいろんな想いが重なって、今までの僕らは、“よろしければ、こちらへ”という感じだったけど、“こっちに来てくれれば絶対に幸せにできるから、一緒にいこう!”と、お客さんに強く投げかけられるパワーを持った曲になったなと思います。

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