フジロックとの比較で見えた朝霧Jamの魅力

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日本で最もお洒落なキャンプインフェスといえば、<It’s a beautiful day〜 Camp in 朝霧Jam>だろう。真の遊びを知る大人たちがアウトドアと音楽、そして語らいを楽しみ、憩うためのオアシスのような音楽空間、それが朝霧Jamだ。朝霧Jamには‘ラインナップ発表前に売り切れるフェス’という印象が強くあるために、先入観、或いは実際にチケットが取れずにその良さをまだ経験できていない人も多くいることだろう。

そこで今回は、開催まで1ヶ月を切った朝霧Jamへの参加を検討している人に向けて、朝霧Jamを主催するスマッシュが手がける日本最大の野外フェスティバル<フジロックフェスティバル>と比較し、朝霧Jamの魅力をお伝えしていこう。

  ◆  ◆  ◆

■朝霧Jamとフジロックの「違い」

【規模はフジロックの10分の1】

第一に何が違うのかと言えば、フェスの規模だ。実際にどれほど違うのかをスマッシュに取材したところ、「朝霧Jamの諸々の規模はフジロックの10分の1」という回答を得た。しかし、それではピンとこないので、諸々の詳しい話を伺った。

まず、朝霧Jamのステージは、色とりどりのテントがすり鉢状に取り囲むメインステージのRAINBOW STAGEと、芝生の上のダンスフロアになるセカンドステージのMOONSHINE STAGEという2ステージがある。それに対して今年のフジロックでは14ステージが設置されていた。2つのフェスのメインステージである朝霧JamのRAINBOW STAGEとフジロックのGREEN STAGEエリアについて訊ねたところ、そのサイズはほぼ同じで、どちらも3万人程度が収容できる敷地面積であることが分かった。2つのステージの最大の違いは、ドリンク売り場だけが点在するGREEN STAGEに対し、朝霧Jamではそのエリア内にキャンプインスペースが設けられている点とステージを両サイドから囲むように飲食出店が連なっている。

確かに、会場に立ってみて感じた朝霧Jamのサイズ感は“皆で同じ釜の飯を食う”と言える規模であったように記憶している(朝霧Jam経験者ならご存じの朝霧Jam名物である巨大な巻狩鍋を連想してほしい)。日本最大級の規模を誇るフジロックに比べれば、キャンプサイトへの移動やステージ間の移動もちょっと散歩に行く感覚で気軽に動けるので、いろいろと楽である。

次に、出演者数をみてみると朝霧Jamが24組、それに対しフジロックは242組なので、まさに10分の1である。また、来場者数では朝霧Jamは2日間で延べ24000人に対し、フジロックは3日間で延べ125000人である。これは単純に比べられない数字だが、桁が違うことは明らかに見て取れるだろう。

人混みのせいで若干窮屈に感じる時があるフジロックに対し、朝霧Jamではスペース的にゆったりしていることに加えてベースとなるテントが近くにあるので気軽に休みに戻れるし、ステージの前で一日中過ごす必要がないからフジロックにいるレジャーシートを広げて場所取りをしてしまうような人もいないし、大きなフェスでありがちな地蔵状態の人々も現れない。





【宿泊は、ほぼ100%キャンプ!】

フジロックでの宿泊スタイルには、キャンプ、ホテル、旅館、民宿などの選択肢が多様にあるが、朝霧Jamはキャンプインフェスであるのでほぼ100%の参加者が好きな場所にテントを張って1泊2日をキャンプで過ごす。前述の通り、RAINBOW STAGEエリアではステージの目の前と言える距離にテントを張れることが朝霧Jamの面白いところだ。

ところで「キャンプインフェスってなに?」という疑問を持った人もいるかもしれないので説明すると、キャンプインフェスとはフェス会場内でキャンプをすることである。海外ではグラストンベリーフェスティバルなどが同じ手法をとっていることで有名だが、朝霧Jamの会場である朝霧アリーナは1972年に世界中のボーイスカウトが集う国際野営大会『第13回世界ジャンボリー』が開催された由緒あるキャンプ場なので、牧場であるグラスト会場のように雨が降って牧草まみれ、泥だらけになることもなく、とても快適に過ごすことができる。



また、フジロックの主なキャンプサイトでは火気厳禁であるのに対し、朝霧Jamではステージに近いエリア以外では火を使えるのでアウトドア道を満喫できる。おそらくそのためと推測するが、フジロック参加者のSNSには入場ゲート前でのチェックイン写真やステージを含めた景色写真が多くあがるのに対して、朝霧Jam参加者のSNSには音楽に関する写真よりもご飯ネタの写真が圧倒的に多い。例えば、「この日のために用意したとびきりの日本酒!」という一升瓶であるとかダッチオーブンで作った俺のキャンプ飯自慢などである。どちらも楽しさがあるのだが、SNSを通してでも現地の雰囲気や個々の楽しみ方の違いが伝わってくるのにもちょっとした面白さがある。





【ローカリズムとグローバリズム】

出演アーティストにおいてはどちらもワールドワイドであるが、それ以外のフェスごはんを提供する店やワークショップなどをみてみると、フジロックは地元との絆も深いが国際色豊かな飲食屋台などが多数用意されて賑やかだ。その一方、朝霧Jamの地域密着度たるや半端なことではない。地元でとれた食材を使った地元のお店が屋台を出し、ワークショップやフリーマーケットを出店するなどしてオーディエンスの胃袋やアート心を心ゆくまでもてなしてくれる。



それから、フジロックと朝霧Jamの最大の違いとも言えるのは地元の有志を筆頭とするボランティア集団『朝霧JAMS’』が運営の大部分を担っていることだ。「朝霧Jamはボランティアが創るフェスでもある」とスマッシュが名言するほど、彼らなしでは成り立たない地域との関係性が深く築かれてきた珍しいタイプのフェスティバルである。フジロックと比較すると小規模な朝霧Jamだが、そうしたローカリズムが息づく地域密着型フェスティバルという観点からみるとその規模は非常に大きい。



【愛犬といつものように過ごせるフェス】

フジロックにもドッグランのどん吉パークなど、愛犬家寄りの施設やサービスが提供されているが、朝霧Jamは犬の同伴がオールエリアでOKされている音楽フェスにおいては非常に珍しいフェスでもある。犬に限らず命あるものと暮らしている人にとっては、ライブや旅行に行くときに離ればなれにならなければならないことがストレスとなるが、愛犬と共に行動でき、尚且つ音楽も楽しめるとあって、愛犬家から支持されるフェスであることも朝霧Jamの特徴のひとつだ。



【苗場よりもアクセスしやすい】

フジロックの会場である苗場スキー場が峠を超えて辿り着く桃源郷であることはご周知の通りだ。一方、朝霧Jamが開催される朝霧高原へは首都圏からも関西名古屋方面からも行きやすく、東京からは普段なら車で2時間程度の距離である(開催時は連休なので要注意)。

【フジには川、朝霧には富士山】

どちらのフェスも大自然の広がる山で開催されるフェスではあるが、同じ山でも違いはある。フジロックの会場は山奥という言葉がぴったりくるロケーションにあり、浅貝川が場内を流れ、涼やかなひとときを過ごせる休憩スポットにもなっている。一方、朝霧Jamの会場の目の前には世界遺産である富士山がそびえ立つ。日本一の雄大な山を臨む特別な音楽空間である朝霧Jamというその絶対的なロケーションにおいては、フジロックに限らずどの国内フェスも朝霧Jamには敵わない。また、今でこそ朝ヨガを取り入れたフェスも多くみられるが、朝霧Jamはその元祖だ。富士山をみながらの朝ヨガやラジオ体操はあまりにも有名なアクティビティ。日頃の不摂生が内から浄化されるようなあの快感を日本に暮らす音楽ファンならば一度は経験してほしいものである。







【朝霧Jamはリーズナブル】

どのフェスにおいても渡航費は参加者によって異なるが、フジロックのチケット料金は1日券19,000円、2日券36,000円、3日通し券43,000円である。その規模や200を超える出演者数を楽しめることを考えれば大変リーズナブルではあるのだが、価格を単体として見るとけして安い金額とは言えない。その点、朝霧Jamへ車で行った場合、最もリーズナブルな場外・グリーンパーク駐車場の駐車券4,000円(1台)とチケット料金15,000円で一泊二日のキャンプを皆でワイワイ楽しみながら、今年はベルセバ、カール・クレイグ、Suchmosなどのラインナップを余すことなく見ることができる。フェスの規模はコンパクトとはいえ、ラインナップはフジロックのホワイトステージのヘッドライナー級のアーティストが名を連ねることを考えるとリーズナブル過ぎるような…?

▲BELLE AND SEBASTIAN

▲Suchmos

▲CARL CRAIG

▲THEO PARRISH

▲WILKO JOHNSON

▲UA

▲EGO-WRAPPIN'

▲D.A.N.

▲ペトロールズ

▲Yogee New Waves

▲DJみそしるとMCごはんのケロポン定食

これまで2つのフェスの違いを挙げてきたが、共通点もあるように見えるフジロックと朝霧Jam。いったい何が共通しているのかをじっくりと考えてみた。

◆コラム(2)── “朝霧Jamとフジロックの「共通点」”へ
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