【インタビュー】STORM OF VOID、「ヘヴィな音楽をやりたい気持ちはどこかにずっとあった」

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■ 2人の方がやれることは限られるようで
■ 実はフットワーク軽くチャレンジしやすい

── 当初からインストゥルメンタル主体でやっていこうという考えだったのですか?

ジョージ:いや、インスト・バンドとは言いたくないんです。なので今作でも2曲、ゲスト・ヴォーカル(※Napalm DeathのBarneyと、ex. JawboxのJ・Robbins)を入れてるという。ダイロク君もそうですけど、僕らはこれまでフロントマンに恵まれてきたというか、envy、NAHT、TURTLE ISLANDと、どれも凄いヴォーカリストがいて。パフォーマーとしてもスキルとしても歌詞の表現力にしても、すでにハードルが高いんですよ。だから、そう簡単に自分がその域までいけるわけもないし、そういうレベルの人にポンと加入してもらうってのもなかなか難しいことで。


── それだけの実力者が来たら来たで、またバンドのバランスが変わってしまうかもしれないですよね。

ジョージ:最初からそう考えていたわけじゃないんですけど、今はもう「このバンドは完全に僕とダイロク君だけで動かしたい、あんまりそれ以外の人からの意見を増やしたくない」って、だいぶワガママになってますね(笑)。

── それで、ゲストで呼んでくればいいという考え方なんですね。

ジョージ:作曲の部分は僕らが握っていたいんですけど、ヴォーカルに関しては準メンバーみたいな人がいてくれるといいな、とは思います。このアルバムに関しては、作ってる時にはBarneyのこともJのことも考えてなくて。むしろ出来上がってから、「あ、これはBarneyに歌ってもらおう」とか、「これはJが歌ってくれたらどうだろう」って、後からのチョイスだったんですよ。今はもう頭の中で、これは誰に歌ってもらいたいっていう前提で曲を作れるようになって、そのほうがだんだん面白く思えてきました。だから、まだ何作か一緒にやりたいなあって思ってます、JともBarneyとも。

以前のQueens of the Stone Ageじゃないですけど、例えばMark Laneganが何曲かに参加していて、ライヴでは来れる時は歌うけど、いないときはいないみたいな。そういうスタンスもカッコいいなと思っていて。だから僕らのライヴでも、アルバムには参加してないんですけど、3曲目の「Silent Eyes」は、milkcowのツルさんが参加してくれてます。音源では入ってないし、ライヴにも毎回いるわけじゃないんですけど、その時限りの楽しみにしてもらいたいというか。ツルさんには準メンバーのような立場で、僕らのわがままを聞いてもらってます。逆もしかりで、音源ではJが歌ってるけど、ライヴでは別の人が歌ったりするかもしれないし。今のところ、元FACTで現在Joy OppositesっていうバンドをやっているAdamが歌ったりとか。僕が歌いたいと思うこともあるんで、今後はそれも考えられるんですけど、どちらかといえばゲストを招いたりするようなチョイスのある方が楽しいですね。2人でやるっていうのは実はかなり自由で、3人目・4人目と増えるとスケジュールも制約されるし、考え方も限定されていっちゃうけれど、2人の方がやれることは限られるようで、実はフットワーク軽くチャレンジしやすいんですよね。だから2人体制になった理由は色々ありますけど、その意味ではよかったと思ってます。

▲George Bodman

── それに、BarneyとJはかなりヴォーカルのタイプが違いますけど、どちらも本当にハマっていて、バンドの表現的な幅を確保してくれていますね。

ジョージ:このふたりが同じフォーマットにいることはまずないんで、そこを狙うつもりじゃなかったとまではさすがに言いませんが(笑)。幸いなことに2人とも友人と呼べる人たちで、ここで出し惜しみしたくはなかったですね。僕ももう結構いい歳になって、今後どれだけアルバムというものを作れるのかわからない中で、やれることは全部やりたい、あまり謙遜してても仕方ないなと思ったし。自分が日本から世界に向けて発信するにあたって、この2人の力を借りられるんだったら借りたいなと。それで「こんな曲なんだけど歌ってくれないか」と伝えたら、どちらも二つ返事で引き受けてくれて。

Barneyとは通訳の仕事を通じて知り合ったんですけど、彼は親日家で、バンド以外で日本に来ることもあって。僕もイギリスのハーフなので、どこか親戚みたいな感じも持ってます。彼が書いてくれた歌詞も、パンク/ハードコアに自分が惹かれたアンタイ・システム的な部分であったり、無宗教者である部分だったり、ヒューマニスト的な部分であったり、エクストリームな音楽にそういう思想をぶつけてるのが好きですね。そして、J・Robbinsもそうですけど、一読しただけではつかみきれないツイストが歌詞に何箇所かあって、たぶん言いたいことはこうひとつあるのに、違う角度からも読めてしまう内容を巧みに書いていて、やっぱり尊敬します。Jも本当にハマってくれて。もともと歌ありきで作ってないし、いわゆるポップ・ソングのストラクチャーを持っていない曲なので、どう料理してくれるかなあと思いつつ、まあJだからそういうのは全然へっちゃらだという確信は持ってました。

Jが最初にBurning Airlinesで来日した時、僕は、現在mouse on the keysをやってる清田くんとシェアしてた家に彼らを泊めたんですけど、そこで僕のCDコレクションとかを見たのか、日本ツアーが終わって帰国する時、成田に向かう途中で、Jから「Queens of the Stone Ageって知ってる?」って言われたんですよ。家のトイレにフー・マンチューのポスターとか貼ってたので、「たぶんジョージはこういうヘヴィなロックが好きなんだな」と思ったらしく、「Kyussは知ってる?」とか聞かれて。Burning AirlinesのドラマーだったPeter Moffettは、Kyussにパーカッションでゲストで参加してたんですよね。それで「いや、よく知らない」って答えたら、「じゃあアメリカに帰ったらお礼に送るよ」って、Queens of the Stone Ageのファースト・アルバムを 送ってくれたんです。あの発禁になったジャケットのやつを。それで聴いてみて、ブッとびましたね。Jとかもこういうの好きなんだ?っていう意味でもブッとんだし。一発でそこを見抜かれたというのもあるし。だから、TURTLE ISLANDやNAHTをやってても、どこかにヘヴィな音楽をやりたいっていう気持ちはずっとあって、それをJは知ってたわけなので、STORM OF VOIDとしての曲が出来た時に、まず「これはJに聴かせたい!」って思ったし、できれば参加してくれたら最高だなっていう絵が、僕の中ではあったんです。

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