【レポート】植田真梨恵<UTAUTAU vol.3>、「私がそこにいなくても、歌になって側にいる」

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初のホールツアーとなった<植田真梨恵 LIVE TOUR UTAUTAU vol.3>東京公演が9月10日、日本青年館ホールで行なわれた。同公演は自身初のホールツアー最終日となるもので、9月6日の大阪・サンケイホールブリーゼを経て行われたものとなる。

◆植田真梨恵 画像

メジャーデビューを果たした2014年から大事に育て上げているこの<UTAUTAU>は、タイトル通り“歌を歌う”ことに焦点をあてたライブで、今回は約2年ぶりの開催となった。インディーズ時代の曲も含めて、持ち歌すべてから選曲することもあって、毎回どんな構成となるのかも楽しみなライブだ。



いよいよ幕が上がった3回目の<UTAUTAU>は、ステージ上に超巨大なサボテンのオブジェも出現した荒野のイメージ。登場した植田真梨恵は白いワンピース姿で、爽やかで凛とした佇まいが際立つ。車谷啓介(Dr)、麻井寛史(B)、大楠雄蔵(Key)といったインストロックバンドSensationのメンバーに、野口亮(G)、北田慧(G)を加えたバンド=“サボテンズ”とともに、荒野に立ち、歩みだしていく姿は、サン=テグジュペリの「星の王子様」を思わせるような雰囲気だ。

オープニングを飾った最新シングル「REVOLVER」から「メリーゴーランド」、そして「FRIDAY」とドライヴ感のある力強い曲を連投、エネルギッシュなヴォーカルで観客の心を掴んでいった。<UTAUTAU>では植田はギターを持たず、歌に全力で向き合い、歌う。今回はツインギター編成によるド迫力のバンドアンサンブルが、歌の背中をグッと押し出していく。いつにもまして、晴れやかでパワフルな風がステージから吹いているのがわかる。序盤はそのほか、「シンクロ」や映画『トモシビ 銚子電鉄6.4㎞の軌跡』主題歌「灯」など、馬力あるバンドサウンドを活かしたロックな曲で歩みを進めていった。


「改めまして、こんばんは。植田真梨恵です。<UTAUTAU vol.3>へお越しのみなさん、端から端まで、ありがとうございます」──植田真梨恵

そう言って観客に笑顔を見せた植田は、この<UTAUTAU>のコンセプトを語りながら、「今日は、歌のパワーの強い曲を選んで持ってきました」と続ける。中盤の曲たちは、よりディープに心の奥へと入り込んでかき回し、甘美な狂気を生み出す曲が続く。最新シングル「REVOLVER」のカップリング曲であり、収録時は“demo“としたアンビエントなサウンドだった「最果てへ」は、植田真梨恵がアコースティックギターを弾き語り、ドラム、ベース、鍵盤が、ささやくように言葉を置いていく歌を、繊細に縁どる美しい1曲へと姿を変えた。荒野の旅は「最果てへ」をすぎて、静かな夜を迎えていた。



「いつもとは違った雰囲気でこの曲をお届けしたい」と言ってスタートした「ふれたら消えてしまう」は、タンバリンや鍵盤ハーモニカを用いた静謐な夜にぴったりのアコースティックなバージョンで演奏。程よく力を抜いたヴォーカルは、鈴の音のように軽やかで儚い響き、曲の終わりに流れ星がキラリと光る演出もまた、このライブ=旅が美しい希望に満ちたものであることを伝えていた。

「自分の求める花を探すのではなく、自分で花を咲かせなければいけないことに、最近気がついた」──植田真梨恵

そんなMCと、アコースティックバージョンの「ふれたら消えてしまう」と「ダイニング」ではじまった夜の景色は徐々に白んで、また力強く激しいバンドサウンドへと突入していった。「ルーキー」は爆発力たっぷりで、「まだまだ元気ですか! 歌、歌ってますか!」と観客を盛り上げ、続く「わかんないのはいやだ」で大きなシンガロングを起こし、「サファイア!」で一斉にジャンプ。植田がステージの端から端まで行って観客を指揮すると、会場の合唱のヴォリュームはぐんぐんと上がる。この<UTAUTAU>は、観客もまた大きな声で歌う。ステージと客席での声のキャッチボールで、その歌はますます力強さを増して、お互いにとって大事なものとなっていく。


「私がそこにいなくても、歌になって側にいる」──植田真梨恵

その言葉がとても熱く響いた「夢のパレード」や壮大な「スペクタクル」で一気に目の前の景色が開けていく感覚は、グッと胸に刺さる。ひとつのショーとしての物語のなかで、それぞれの曲が福音のように輝いて、曲、歌の魅力を新たにするのもこの<UTAUTAU>ならではだ。本編ラストの「変革の気、蜂蜜の夕陽」はこれまでにも増して圧倒的な力を放つ。自分で自分の花を咲かせる旅に出る、そんなふうに心に決めて歩みだした植田の伸びやかな歌声が、ヒロイックに響きわたり、会場は高揚感に包まれた。



アンコールでは、「デビュー3周年にして初のホールツアー。やっと歌手になった気がします」と語った植田。表情豊かに歌を届けることはもちろん、歌が持つ普遍的な強さも再認識した、とても濃厚な時間を味わえたライブとなった。2018年にはピアノツアー<植田真梨恵 Live of Lazward Piano “bilberry tour”>を開催することもMCにてアナウンス。こちらは今回の重厚なバンドサウンドとは打って変わって、ピアノとアコギと歌というシンプルな編成でのライブゆえ、その違いも味わってみてほしい。

取材・文◎吉羽さおり


■<植田真梨恵 LIVE TOUR UTAUTAU vol.3>
2017年9月10日(日)@日本青年館ホールSETLIST

01.REVOLVER
02.メリーゴーランド
03.FRIDAY
04.カーテンの刺繍
05.シンクロ
06.世界の終わり
07.灯
08.悪い夢
09.愛と熱、溶解
10.最果てへ
11.ふれたら消えてしまう
12.ダイニング
13.砂漠の果てに咲く花
14.壊して
15.ルーキー
16.わかんないのはいやだ
17.サファイア!
18.夢のパレード
19.スペクタクル
20.飛び込め
21.変革の気、蜂蜜の夕陽
encore
en1.虹はかかるから
en2.サイハロー
en3.彼に守ってほしい10のこと


■<植田真梨恵 Live of Lazward Piano “bilberry tour”>

2018年2月より開催予定
詳細は後日発表

■<植田真梨恵、初のアートワークギャラリー>

11月03日(金・祝) 福岡・久留米 JUN
11月04日(土) 福岡・久留米 JUN
12月02日(土) 大阪・福島 PINEBROOKLYN
12月03日(日) 大阪・福島 PINEBROOKLYN
12月09日(土) 神奈川・横浜 馬車道大津ギャラリー
12月10日(日) 神奈川・横浜 馬車道大津ギャラリー
▼チケット:入場無料
https://www.youtube.com/watch?v=QZZfxK5SOc8


■7thシングル「REVOLVER」

2017年8月9日(水)発売
【初回生産完全限定盤(絵本+CD+DVD)】GZCA-4150 ¥2,223(tax out)
【通常盤(CD ONLY)】GZCA-4151 / ¥1,200(tax out)
<収録予定曲>
01. REVOLVER
02. 砂漠の果てに咲く花
03. 最果てへ –demo-
04. REVOLVER –off vo.-
05. 砂漠の果てに咲く花 –off vo.-
<初回生産完全限定盤 特典DVD>
making of MV「REVOLVER」

※タイアップ情報 「REVOLVER」
ABC朝日放送「ビーバップ!ハイヒール」 オープニングテーマ
http://www.asahi.co.jp/be-bop/

■ライブイベント出演情報

10月14日(土) 福岡 風音2017
11月03日(金・祝) くるめ街かど音楽祭2017
11月04日(土) くるめ街かど音楽祭2017

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