結成25周年を迎えたPENICILLINが9月20日、ミニアルバム『Lover’s Melancholy』をリリースした。長い月日の中、「さまざまな局面をしなやかに乗り超えてきた」という3人の関係性を紐解いていく内に爆笑トークになってしまったのもPENICILLINならでは。インタビュー序盤では10代の頃から変わらない彼らの本質が垣間見えるはず。

◆「メランコリア」ミュージックビデオShort ver.

そして『Lover’s Melancholy』だ。結成25周年記念の第一弾としてリリースされた『Lunatic Lover』とのつながりを持つ同ミニアルバムは、過去でもなく未来でもなく、今、バンドがいちばんカッコいいと思う楽曲をパッケージしたという意欲作。その全貌について3人に語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。

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■バンドって崩れていっちゃうもの
■という認識で始めていないですから

──まずミニアルバム『Lover’s Melancholy』はPENICILLIN結成25周年と関係性を持たせた作品なんですか?

O-JIRO:“25周年の僕たちはこれですよ”っていう想いはありますけど、内容的には自分らがカッコいいと思えるものですね。

──今は10周年も迎えられずに解散するバンドが多いと思うんですね。バンドを始めてそんなに年数が経たない人たちにとっては25周年って途方もない時間だったりすると想像するんですが、どう乗り超えて今に至ってるんですか?

HAKUEI:解散したバンドの当事者じゃないのでわからないですけど、理由を本人や人づてに聞く機会もちょこちょこはあるんですね。で、“なるほどな”と思うこともあるんです。ウチのバンドが少し違うのは、タフなんだろうなって。振り返ったら、いろんな局面があったし、どんなアーティストも常に順風満帆ではないと思うんです。PENICILLINは、何かあっても変に力が入ることもなくマイペースにしなやかに乗り超えてきたというか。メンバーの組み合わせの妙で今まで来られたのが持ち味というか。ある意味、チャームポイントでもあるのかなと思います。

──危機的な局面があっても変に深刻に考えこまなかったという?

千聖:感じ方は人によって違うと思いますけどね。3人とも育った場所も違うし、兄弟でも何でもないんですけど、同じ時代を生きてきているので、今回のアルバムもそうなんですけど、思い浮かべるものが近かったり、“PENICILLINにとってコレはいいなぁ”と思える感覚が近かったりする箇所が多いんでしょうね。20代〜30代の頃は逆にそれが嫌だったり、反目しあったりもあったと思うんですけど、40代になるとそういうことも面白くなってきて、許容量も違ってくる。あと、普通25年前からずっと一緒にいることってほぼないと思うんですよね。家族でも会社でも大人になってからそんなに長い時間一緒にいることって少ないんじゃないかって考えると、ちょっと変わった関係性ではあると思います。それが今回のアルバムに面白く出てると思いますね。

──PENICILLINの関係性が?

千聖:そうですね。バンドって崩れていっちゃうものという認識で始めていないですから。脆いものだって感じていなかったのは確かなんです。もっと言うと、そんなこと関係なく、ただやってるだけ。とりあえず音を合わせたら面白いなって。漫画『美味しんぼ』でも海原雄山と山岡士郎が親子でイガミあってても、相手の料理が“美味い!”と思ったら認めちゃいますよね(笑)。意外とそういうところかもしれない。食の本能も音の本能も一緒なのかもしれないですね。

──ふーむ。「脆いと思ってない」ってスゴイですね。

千聖:子供はオモチャが壊れると思って遊んでないですよね。ここは押さないほうがいいなんて思わないで、とりあえず押しちゃうみたいな。バンドやってる人は基本そういう体質だと思うんですよ。そこでバーンって壊れちゃうこともあるし、壊れないこともある。

▲HAKUEI(Vo)

──その結果、25年続いてしまったっていうことですかね。

千聖:ははは。結果、子供にオモチャを与えた状態のままっていうのもね(笑)。ただやっぱり、壊れるとは思ってないですね。

──O-JIROさんはどうですか?

O-JIRO:確率なんだとは思いますけどね。活動を止めずにずーっと同じメンバーでやっているバンドも少ないでしょうし、続けていくモチベーションを保つのはすごいことだと思うんです。で、PENICILLINの場合は放っておいてくれるんですよね。常に一丸となってるわけでもなく、誰かが他にやりたいことがあれば見守ってくれるので。

──PENICILLIN以外のそれぞれの活動も並行させていますもんね。

O-JIRO:そういうところもいいんじゃないですかね。違うことをやってもホームに戻ってこれるというか、うまい具合に干渉しないというか。そういう関係性は築こうと思っても築けないだろうし、そこはこの出会いがラッキーなんでしょうね。なんで続いたのかわからないですもんね。

千聖:ライブやる前に「気合い入れようぜ!」みたいなこともないし(笑)。

HAKUEI:「ウォー!」みたいなことしないもんね。

──初期の頃も気合い入れとかしなかったんですか?

千聖:武道館の前にマネージャーが握手を求めてきたことはあったけど(笑)。

HAKUEI:それぐらいだね。初めての武道館で。

O-JIRO:円陣とか組まなかったね。

千聖:円陣を組むことが悪いこととは思わないけど、俺たちのスタイルとは違うかなっていう。

HAKUEI:お互いに存在が身近過ぎるのかな。例えば子供が親とメシ食いに行って会計の後に「お母さん、ごちそうさまでした!」とか言わないじゃないですか。

──気を遣わなくていい関係なんですよね。

千聖:例えばJIROさんが機嫌悪くて1人でボーッとしてても、肩叩いて「どうしたんだよ」って話しかけたりしないから(笑)。

O-JIRO:でも、3人集まってめちゃくちゃモチベーションが低いこともないですからね。

千聖:ああ、アップダウンが激しい人は……まぁいないかな。

O-JIRO:「今日、俺ちょっとテンション低いかも」と思っても一緒にやっている内に高まるから、普通に戻れるんですよね。負の方向に行くことがないので、それは良いところですよね。

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