【速レポ】＜中津川ソーラー＞仲井戸“CHABO”麗市 SOLAR JAM、「大晦日みたいじゃねえか、来年もよろしく！」

＜中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2017＞の2日間の大トリを務めるのは、このフェスに欠かせない仲井戸“CHABO”麗市。今回は、「仲井戸“CHABO”麗市 SOLAR JAM feat.佐藤タイジ、TOSHI-LOW」というスペシャルなバンドでの登場となった。まずは、バンドメンバー湯川トーベン（B）、Dr.kyOn(Key)、河村吉宏（Dr）と、「よォーこそ」から「打破」へというオープニングでロックンロールな気炎を上げると、「改めまして、ようこそ。＜SOLAR BUDOKAN 2017＞最後のステージ。最後まで楽しんでいってくれ」と、声を上げる。

◆仲井戸“CHABO”麗市 SOLAR JAM画像

そして、“FAMILY FOREVER FAMILY”という今年のSOLAR BUDOKANのテーマを盛り込んだ、「中津川SOLAR BUDOKANのテーマ」が披露された。にぎやかなセッションに乗せてメンバー紹介も行なったが、今回のドラマー河村吉宏は、CHABO BANDのドラマー河村“カースケ“智康の息子だという。頼もしいメンバーによる最強バンドだが、「残念なニュースを先にお知らせしておくと、このバンド＝SOLAR JAMは、今日で解散します」とのことで、会場からは惜しむ声が上がる。しかし、その声も吹き飛ばすような馬力で、続いてはゲストを呼び込んで、華麗にして特濃な時間を織りなしていく。


まず呼び込まれたのは、佐藤タイジ。「SOLAR BUDOKANを立ち上げて、牽引している責任者。ミスター太陽野郎、シアターブルックから佐藤タイジ！」。CHABOのアナウンスに導かれてたっぷりとギターを奏でながら登場した佐藤とともに、セッションする。「“目の前でフェスが育っているのを、見てるじゃないですか、ものすごい幸せっす”。って、楽屋でずっとこういうことを言ってるんだよ」とCHABOは、嬉しそうに語る。そして佐藤タイジとともに披露したのは、RCサクセションの「スローバラード」だ。「この曲をここで歌えるのはとんでもないことなので、心を込めて歌いたいと思います」と佐藤。痺れるような艶っぽいギターを奏で、パワフルにソウルフルに歌い上げ、CHABOと向かい合いぶつかりそうな距離で互いにギターを弾き合うという、目の離せない展開だ。



続いて、「タイジと同じく、日本のロックを牽引してるやつ。俺からすると随分若者だけど、一緒にやるぜ」（CHABO）と、もうひとりのゲスト、BRAHMANのTOSHI-LOWを呼び込む。アコースティック・ギターを抱え登場したTOSHI-LOWとともに「Hungry Heart」を熱く歌い上げた。「いろんなフェスで、人のステージでちょっかい出すのは得意なんですけど、大きなステージで、先輩のステージに出るのは苦手」とTOSHI-LOWは語り、断ろうと思っていたところ、仲井戸“CHABO”麗市から直筆の手紙が届き、それを読んでここに立っているのだと明かす。そして「これは俺宛ではないけれど」ともうひとつの手紙──2000年に忌野清志郎が記した“地震のあとには戦争がやってくる”という今の時代を予言していたような手紙を読み上げ、RCサクセション「明日なき世界」を歌った。意思を継いでいくかのような、渾身の歌、ボルテージの高いバンドサウンドに歓声が起こる。




この3人でチャック・ベリーの「Rock&Roll Music」を歌い、「今夜は俺のボーイフレンド、忌野くんも来てるかもしれない。清志郎くんと俺のリビングルームで生まれた曲」と、観客のざわめきのなかで演奏されたのは「雨あがりの夜空に」だった。CHABOの「みんな、呼んじゃってくれよ」という一声に、今日の出演者がステージ狭しとずらりと登場しての晴れやかな「雨あがりの夜空に」。このフェス、この日にしか成り立たない、スペシャルすぎるセッションで、「大晦日みたいじゃねえか。来年もよろしく、良いお年を！」と声をあげたCHABOは、改めて出演者や、ゲストふたり、バンドメンバーを紹介した。


2012年にこのフェスを立ち上げ、日本武道館での開催から、この中津川へと移り年々フェスを育て上げてきた佐藤タイジに代わって、「こんなこと言うのは、ガラじゃないんだけど」と言いながらも中津川や関わっているスタッフへの感謝を述べた、CHABO。ラストは、Dr.kyOnの静かな音響にのせ、「ガルシアの風」の詩を読み上げた。ひんやりと秋風が、フェスの熱を甘美に包んでいくなか、観客は静かにその言葉に耳を澄まし、拍手喝采を送った。


最後は「来年また、元気で会おうぜ。（病気加療中で出演できなかった）小坂忠さん、来年、歌ってよ」と呼びかけ、再び出演者やスタッフをステージへと呼び寄せて、2日間を締めくくった。＜中津川 THE SOLAR BUDOKAN＞らしいスピリットのあるエンディングに、改めて、長く熱い拍手が沸き起こった。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎三浦麻旅子／岡村直昭