混沌が我々を襲う。<CHAOS ASSAULT Vol.1>はヘヴィ・ロックの最先鋭5アーティストが集結、それぞれの個性とアイデンティティを叩きつけあう2 DAYSだった。

両日にSIGHとMANTARが出演、初日にBoris、2日目にDOOMとCHURCH OF MISERYが加わった布陣でのライブ。これが初来日となるドイツのMANTAR、そして日本勢いずれも文句なしにヘッドライナー級の顔ぶれだ。まったくの前座ナシのラインアップに、観衆は最初から襲撃に備えて臨戦態勢だった。

初日のトップバッターとしてヘヴィネスの地獄巡りに我々を呼び込んだのがSIGHだった。コフィン・ジョーと『悪魔のしたたり』のサルドゥを彷彿とさせる風貌の川嶋未来は、闇への水先案内人に相応しい。ブラック・メタルなどのエクストリームなサウンドを基調としながらもクラシカルな要素を取り入れたスタイルは川嶋のフルート、Dr.Mikannibalのサックスを交えて独自の世界観を生み出し、最新作『IN SOMNIPHOBIA』からの「Purgatorium」から初期の代表曲「真言立川」、ヴェノムのカヴァー「ブラック・メタル」まで出し惜しみのないセットリストで魅了した。そんなバンドの音楽性とDr.Mikannibalのグランギニョールの舞踏ばりの怪しいパフォーマンスが相乗効果を生み出し、場内は最初から一種異様な昂ぶりに包まれた。



▲SIGH

MANTARはハンノ(G、Vo)とエリンチ(Dr)の2人組だが、ミニマルな編成を感じさせない分厚い重低音の震動が観客の横隔膜を揺るがす。スピード&ドライブ感あふれる「ザ・ストーニング」はオープニング・ナンバーとして申し分なく、一気にリフに満たされた国へと会場全体を叩き込むことになった。ハンノは激しいステージ・アクションで観客の目を釘付けにし、すっかりイッた目線で彼らに向かってシャウトする。エリンチの大木のような厚みのあるボディから打ち出されるビートは、大自然の脅威を連想させるものだ。

ハードコアに通じるコンパクトな楽曲も多いため、小気味よくショーは進んでいき、終盤にはアルバム『オード・トゥ・ザ・フレイム』からの轟音アンセム「イラ・ボリアリス」で合唱が起こる。ラスト「ホワイト・ナイツ」での盛り上がりは荘厳ですらあった。これが初めての日本でのショーであるMANTARだが、この日はひとつの“絆”が結ばれた記念日となった。



▲MANTAR

この日、最後に出演したBorisは世界で最も高く評価される日本のロック・バンドのひとつだ。ヘヴィ・ロックからドローン、ドゥーム、アニソン、ポスト・ロックなど振り幅の広い音楽性で支持を得てきた彼らだが、この日のライブは最新アルバム『DEAR』からの楽曲を中心とした、超絶ヘヴィ・ヴァージョンとなった。1曲目「The Power」から顔面を横殴りにする激音の塊は、まさにイベント名のとおり“混沌の襲撃”である。大音量ノイズが襲い、その震動で全身が鼓膜と化してしまうため、耳栓をしても無駄だ。新たな代表曲となった感のある「Absolutego/絶対自我」も披露され、あまりの重さに聴く者一人一人が磨り潰されていた。

Borisのライブは、しばしば“ロック・コンサート”の領域を逸脱するエクスペリエンスだったりする。『Amplifier Worship』(1998)というアルバムを発表したこともある彼らだが、大音量に身を任せる行為は宗教的な体験である。また、この日最後に演奏された「決別/Farewell」は音楽、耳をつんざく音量、そしてスモークと照明によるヴィジュアルの三位一体が織り成すアート・インスタレーション と呼べるものだった。


▲Boris

SIGH、MANTAR、Borisの3バンドによるフル・セットのステージは、ヘッドバンギングによる首、大音量による鼓膜、そして歓声による声帯と、観客に三重のダメージを与える死屍累々の宴となった。だが、まだ初日が終わったばかり。我々は<CHAOS ASSAULT Vol.1>から生還することができるだろうか?ライブ・レポート2日目に続く。

文:山崎智之

Mantar, Sigh : Photo by Mikio Ariga
Boris : Photo by Miki Matsushima

<CHAOS ASSAULT Vol.1>

2017年9月22日(金)・23日(土)
@東京渋谷GARRET