米オハイオ州のハイエンドエフェクターブランド「EarthQuaker Devices(アースクエイカーデバイセス)」の取り扱いをヤマハミュージックジャパンが発表。11月下旬より39機種が発売される。10月4日に行われた発表会には同ブランドのスタッフとともにスペシャルゲストとしてミュージシャン/ヴァイオリニストの勝井祐二が登場、演奏を披露した。


▲ずらりと並んだアースクエイカーデバイセスのエフェクター。全39機種が日本でリリース。

アースクエイカーデバイセスは、ミュージシャンのJamie Stillman(ジェイミー・スティルマン)が2004年に米オハイオ州アクロン市で立ち上げた楽器用エフェクターブランド。アクロン市はオハイオ州第5位の都市で人口は約20万人。多くのツアーミュージシャンが拠点とし、国内ツアー中に訪れるミュージシャンも多いという。

ジェイミー・スティルマンは、インディー・ロックバンド「The Party of Helicopters」の元ギタリストで、ドラムやキーボードも演奏するマルチプレイヤー。現在でも3つのバンドを掛け持ちしている。自身のエフェクターの修理を機にグラフィックデザイナーとしての活動と並行して自宅の地下室でエフェクターの製作を開始。自身の演奏経験を基にした製品コンセプトとサウンドのエフェクターは、同じく地元アクロン出身のバンド「The Black Keys」が使用したことで、2005年にインターネットで話題となり人気が沸騰。現在では米国エフェクター市場で第5位のポジションを獲得するに至っている。

アースクエイカーデバイセスのエフェクターは、現在もジェイミー・スティルマンがすべて自身で開発。製作はアクロンの工場ですべて手作業で行われている。また、筐体も自社でデザイン、加工される。高品質かつ直感的な操作で音作りができるデザイン設計で、ギター、シンセサイザー、エフェクトリックヴァイオリンなど幅広い楽器に対応。そのラインナップは、定番のビンテージサウンドから強い個性を持つ新しいサウンドのモデルまで、ユーザーの音作りの幅を広げる製品が揃っている。

多彩なラインナップから国内発売されるのは、ディストーション/オーバー・ドライブ/ファズ/プリアンプが17機種、フェイザー/フィルター/コーラス/トレモロが8機種、リバーブ/ディレイが7機種、ギターシンセ/イコライザー/オクターバーなど7機種の全39機種。価格はすべてオープンプライスで、実売2万~4万円前後。


▲ディレイ/リバーブとモジュレーション/フィルター。上段左から2番めがLevitation、下段右の2機種がSpace SpiralとAfterneath。


▲オクターバー/ハーモナイザーとファズ。


▲ブースター/プリアンプ/イコライザーとディストーション/オーバードライブ。下段左から2番めがGray Channel。


▲発表会にはゲストのプレイヤーとともにアースクエイカーデバイセスのスタッフも登場。左からマルチインストゥルメンタリストのLisa Bella Donna、アーティストの中尾憲太郎、Taka(兎沢貴広)、インターナショナル・セールスのErich Ahorner、副社長のJulle Robbins、代表取締役社長・開発責任者のJamie Stillman。

発表会にはアースクエイカーデバイセス社長であり開発責任者のジェイミー・スティルマンとスタッフとともに、アーティストでありソーシャルメディア/翻訳/商品サポートを担当するTaka(兎沢貴広)、同じくアーティストであり日本市場のアーティストリレーションを務める中尾憲太郎、マルチインストゥルメンタリストでありコンポーザー/クリニック講師としても活動するLisa Bella Donna(リサ・ベラ・ドナ)が登壇。まずはジェイミー・スティルマンが開発手法をこう説明した。


▲「アースクエイカーデバイセスは私にとってはただのビジネスではないんです。ミュージシャンとして本当に私自身の延長線のようなものだと考えています」と語るジェイミー・スティルマン。

「私達が開発しているすべての商品は私のミュージシャンとしてのニーズや、設計者としての好奇心から生まれています。私がデザインする時は、たとえば基本的なエフェクターであるファズやオーバー・ドライブであってもなにかユニークなサウンドを生み出せないかと思ってやっています。自分の頭の中で聞こえているボイスをペダルにどうやって反映させるかということも考えながら、また他のミュージシャンの方々が彼ら自身のボイスをどうやって表現できるか、ということも考えながら開発しています。私自身がいろいろなペダルを作る中でそれがどのような音が生まれているのかという実験的なことだったり、それが他のミュージシャンによってどのようなボイスが生まれてくるのかを見るのが本当に私自身楽しんでいます。」

続いて一番新しい商品であり、一番実験的要素のあるエフェクターという「Data Corrupter(データ・コラプター)」を紹介。アナログ・モノフォニック・シンセサイザーに対する興味から発展したというモデルで、矩形波のファズに3ボイスのハーモナイザーが付いている。ギターのサウンドを入力すると、モノフォニック・オシレーターに変わっていくというギターシンセの一種で、そのサウンドはユニークかつかなり凶暴なもの。さらに、Taka、中尾憲太郎、リサ・ベラ・ドナ、スペシャルゲストの勝井祐二もお気に入りのエフェクターを紹介。いずれもユニークなサウンドを聴かせた。


▲ギターともシンセともつかない独特で凶暴なファズサウンドを聴かせる最新作「Data Corrupter」を、自らギターでデモしたジェイミー・スティルマン。


▲Takaはショートディレイをいっぱい重ね、洞窟のような残響が得られるアンビエントリバーブ「Afterneath」(一番左)をギターでプレイ。6つのコントロールノブで反響の多いディレイ/リバーブや発振などさまざまな効果が楽しめる。


▲中尾憲太郎はライブでよく使うというオーバー・ドライブ「Gray Channel」をベースで演奏し、「すっごい便利」と一言。2チャンネル仕様で、シリコン/ゲルマニウム/ノークリッピングダイオードの切り替えスイッチとLED/FET/なしの切り替えスイッチで歪みのキャラクターを変えられる。


▲リサ・ベラ・ドナはモジュレーション・ディレイ「Space Spiral」をNord Stage 3でプレイ。ヴィンテージのテープエコーやオイル缶エコーのようなフィールが魅力。


▲「全体としてとにかく感じがいいんですよ。言葉にうまくできいんですけど」とアースクエイカーデバイセス製品の印象を述べた勝井祐二。ギターだけでなく、音が長く伸びるヴァイオリンのような擦弦楽器の表現にも向いているとコメント。お気に入りは60~70年代のロックやポップスの質感を持っているというリバーブ「Levitation」。エレクトリック・ヴァイオリンで幻想的なサウンドをプレイ。


▲ラストは5人でアンサンブルを披露。それぞれの楽器をプレイしつつ、エフェクターを操作しながら即興で演奏。まろやかな残響から迫力のドライブサウンド、耳をつんざくノイズまでユニークかつスペイシーなサウンドを聴かせた。


▲ドクロをあしらったアースクエイカーデバイセスのロゴマーク。