【インタビュー】ROLL-B DINOSAUR「織田哲郎はバンドがやりたいということがこの2ndアルバムではっきりしたよね」

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ロックンロールが好きならば、このバンドを聴かずに通り過ぎるわけにはいかない。織田哲郎(Vo&G)とダイアモンド✡ユカイ(Vo)という強力な個性をフロントに据え、CHERRY(Dr/LINDBERG)、ASAKI(G/GUNIW TOOLS)、JOE(B/FUZZY CONTROL)という実力派がバックを固める真正ロックンロールバンド、それがROLL-B DINOSAUR。3年振りの2ndアルバム『SUE』で聴けるのは、ファーストよりさらに派手でワイルドなハードロック、ブルース、ファンク、フォーキーなバラードまで、色とりどりに飛び散ったダイナミックなバンドサウンド。酸いも甘いもかみ分けたベテラン・ロッカーが現代に提示する、本物のロックンロールとは何か? 織田哲郎とダイアモンド✡ユカイが、その真意を語ってくれた。

ROLL-B DINOSAUR are...
織田哲郎 [Vocal & Guitar]
ダイアモンド✡ユカイ [Vocal]
CHERRY [Drums]
ASAKI [Guitar]
JOE [Bass]

■東京で煮詰まっていてもこのまま時間が過ぎるなと思って
■沖縄に逃げました。ちょっと気分を変えてみようかなと思って


――まずセカンドが完成してリリースされることがシンプルにうれしいです。このメンバーが揃うだけで大変だと思いますし、ましてやアルバムを1枚作るなんて、スケジューリングだけでも至難の業だと思うので。

織田哲郎(以下、織田):そうなんですよ。正直、何より大変なのは常にスケジュールなので。

――制作は、前作から2年の間に少しずつやっていたんですか。それともどこかで時間を取って一気に?

織田:もう今年に入ってから、一気ですよ。去年から作り始めたものもちょこっとだけあったけど、やっぱりこういうものは勢いがないとね。逆にスケジュールがどうのとか言ってると、本当に合わないんですよ。「ここで作る!」と決めちゃって、その中でなんとかしようとして始めないことには。

ダイアモンド✡ユカイ(以下、ユカイ):でも、まず織田さんの失踪から始まってるからね(笑)。

織田:ううっ…(苦笑)。
ユカイ:できあがる日にちは決まってるわけ。でも、いつまでたってもなかなか制作に取り掛からなくて、大丈夫なのかな?って不安になって、織田さんに電話したら通じない。「どうやら織田さんが失踪しているらしい」と。

織田:いやいや。あの…。

ユカイ:じゃあできないんじゃないの?という、そこから始まってるから。

織田:そこから始まったね(笑)。本当にすみません。要するに、私のシングル「CAFE BROKEN HEART」が7月に出ているんですよ。そこで出すためにはここでできてなきゃいけない、ここでできたらそこからROLL-B DINOSAURが始まる。ところが私のシングルの歌詞が、パタッと書けなくなっちゃって。何て言うんですかね、釣り竿を垂れても魚群が何もいなくて、どうにもならなくなっちゃって。東京で煮詰まっていてもこのまま時間が過ぎるなと思って、沖縄に逃げました。ちょっと気分を変えてみようかなと思って。

ユカイ:できなくなると失踪するパターンですね。

織田:気分を変えて、すぐにできたわけじゃないですけどね。そこで1か月ぐらいスケジュールが押しちゃって、一段としんどくなったというのはあったんですけど。

ユカイ:ライブもやっていたしね。夏のフェスとかやりながら新しいアルバムを作るという、新人バンドみたいな感じ。それで「ガンガン」ができて、あれがきっかけになってるよね。「ガンガン」に詞がついた時にみんなで盛り上がって、それが起爆剤になった。

織田:あれは「6月のライブで新曲をやる」と決めてたんだよね。ユカイくんは大変だったと思うけど。

ユカイ:織田さんがまた歌詞が書けなくなっちゃって、ライブの直前になってやっとできた。1日前に。


――1日前? それはすごい。

ユカイ:えーっ?と思ってさ。俺、けっこう覚えが悪いから、これは無理だよと思ったんだけど。リハでやってみたら「いいね」ということになって。

織田:「ガンガン」を作ろうとして、つらくなってたあの時の感じは覚えてる。書きだすと速いんだけど、どうやっても出てこない時って本当にどうにもならない。「ガンガン」は朝の6時頃に、山手通りを走っている時にきっかけができたんだよね。半分ヤケクソで書いていった感じ。

――ガンガン行こうぜ、反省はしない、馬鹿だからって、とんでもない歌詞ですよね。考えてみたら(笑)。

ユカイ:そこで、2ndアルバムの方向性ができたんだよね。「馬鹿でいいんだ」みたいな方向性が。で、どんどん馬鹿になっていった。1stアルバムのIQとは明らかに違うよね(笑)。IQが下がって、そのぶんロックになったという。

――プロデューサー織田哲郎としては、そもそもセカンドアルバムの構想はあったんですか。

織田:いろんなふうに考えていたんだけど、ある意味、2枚目はなすがままですよ。1枚目はみんなが様子を見ている状況もあるし、とりあえずやってみようという感じで、一応こういう方向に行かない?というものがあったんだけど。今回のほうがもっと「こんなのやってみちゃう?」って、幅を広げてみようという気持ちがあったし、ユカイくんからもASAKIからも「広げてみようよ」というものがどんどん出てきて。それはやっぱり、やることを広げて行っても、このバンドで演奏してユカイくんが歌えば「何やったって俺らの音じゃね?」というものができたから。どんどん広げている時は、「これやっちゃっていいのかな?」と思いながらやっていた部分もあるんだけど、やってくうちに「大丈夫じゃん。じゃあこれも行けるんじゃね?」って、どんどん加速度がついてできていった感じですね。

ユカイ:面白いよね、バンドって。

織田:有機的な何かを感じましたね。俺なんか、放っておいたら一人で部屋でずーっと音楽を作ってる奴だから、すっごい楽しいの。一人で考えていたらこんなの絶対思いつかない、みたいなものがどんどん出てくるから。だって、よもやユカイくんが「女目線の歌詞はどう?」って言ってくるとは思わなかったもん。

――「はずれクジ」ですね。だらしない男に三下り半を突きつける、強気だけど弱いところもある女の物語。あれはものすごくインパクトあります。

ユカイ:これは確か最後に作ったんだよね。曲はすごく完成度が高くて、方向性としてはポップでパンキッシュな感じで、普通に歌えば青春パンクみたいな歌詞をつけたがる曲なんだけど、俺らはそこまで若くないし。「どうしようかな」って、また織田さんが失踪しそうだったんで(笑)。「ユカイくん書いてよ」とか言うんだけど、俺はあんまりポップな曲は得意じゃない、歌詞をつけるのは。ポップな曲って責任があるじゃん? それで力が入っちゃってできないんだけど、織田さんはそういう曲をいっぱい作ってるじゃん。ポップの権化みたいな男だから、やっぱり織田さんが作ったほうがいいだろうと。そこでまた悩み出しちゃったから、そうだ、織田さんは女の人のプロデュースをいっぱいやってるし、詞も書くし、だったら女の歌を歌ってみたいなと思った。

織田:それは、俺からは考えつきもしなかったから。普通だったら「ダイアモンド✡ユカイだぜ」という歌を歌いたがるものでしょ。ユカイくんから「女目線はどう?」って言われた時に、一瞬止まって、「えっ?」って。

ユカイ:でもそう言った瞬間に火がついて。「おお!」みたいな。あの勢いはすごかった。

織田:もう、湧いちゃって湧いちゃって。

ユカイ:「いいんだね? ユカイくん、いいんだね?」って(笑)。それで次の日にはもうできてる。

織田:できる時はだいたい一晩で作っちゃうんだけど。あれは特に、ルンルンで作っちゃったな。前作に「くずの詩」という曲があって、あれのアンサーソングみたいな。

――なるほど! 言われてみれば確かに。

織田:書いてて楽しくて楽しくてしょうがない。“友達と石垣あたりに行ってこようかな”とか、自分で笑いながら書いてたもん。

ユカイ:正直、ここまでリアルな詞を書いてくるとは思わなかった(笑)。どこでリサーチしたんだろう?って。みんな「私のことだ」と思っていたみたい。スタッフの女性も「私がモデルでしょう」って言ってた。

織田:みんな思い当たるみたい(笑)。

ユカイ:ここまでリアリティを持てるのはすごいなと思った。最初に女目線にしようと思ったのは、俺が「外は白い雪の夜」という吉田拓郎さんの曲をカバーしたことがあって、あれは男と女の掛け合いの歌なのね。で、女言葉を歌ってる時のほうが、何かリアリティがあってね。女言葉をハスキーなかすれた声で歌うと、それがものすごく悲しく聴こえるんだよね。そういうイメージがなんとなくひらめいて、「はずれクジ」になったんだけど。

織田:いやー、俺が一人で考えてたら、考えもつかないよ。

ユカイ:考えつくと、こんなにリアリティのあるものができるというのはすごいよね。こんなに男くさいバンドの中で女目線の歌を歌っても、別に違和感ないし、それがまた面白いよね。

――僕は織田さんの詞にはブルースをいつも感じます。こういうリアリティある男女関係とか、ダメ男の描写とかが、キャッチーだけどどこか物悲しくて、ブルースだなあって。

織田:ああ、そうですね。やっぱりね、音楽はブルースがベースじゃないと、ダメなんですよ。

――それは言葉も、音楽も。

織田:どっちもそうですね。酒を飲んでいる時につまんなく聴こえる音楽って、嫌なんですよ。かっこつけてる音楽って、酒飲んでる時につまんなく聴こえちゃうんだよね。音楽ってさ、俺にとっては「それでもいいじゃん」って言ってくれるものというか…だからやっぱり、ブルースが好きなんですよ。

――恨み節とか、だらしない男とか、そういう登場人物がすごく生き生きしてる。

織田:そういう人生なんですよ(笑)。

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