【インタビュー】DAM 11月度D-PUSH!アーティスト、あっこゴリラ「ヒップホップが苦手、怖いと思っている人に、こういうのもあるよと提示したい」

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今年1月29日に開催された女性のみのMCバトル<CINDERELLA MC BATTLE>で優勝を果たし、ラッパーとしてのスキルの高さを改めて見せつけたあっこゴリラ。11月8日にリリースされる彼女の2ndEP『GREEN QUEEN』は、ヒップホップに対するリスペクトと彼女ならではの柔軟なスタンスが絶妙に相まって、幅広いリスナーにアピールする一作に仕上がっている。『GREEN QUEEN』に関する話を軸にしつつ、あっこゴリラという魅力的な個性に迫ったインタビューをお届けしよう。

■ヒップホップ・カルチャーに影響を受けて始めたというよりは
■“リズム中”が音楽をやっていったら自然とこうなったんです


――まず音楽に目覚めた時期や、きっかけから教えてください。

あっこゴリラ:私は小学校1年生からピアノを習っていたんです。それに、『天才テレビくん』という番組で“8ビート講座”というのをやっているのを見て、面白そうだなと思って、家の菜箸とボウルとかで8ビートの練習をしていて(笑)。私が通っていた小学校の音楽室にドラムセットがあったので、ドラムもやるようになりました。そんな風に音楽の楽しさに目覚めて、それからずっと音楽をやっています。

――10代の頃は、どんな音楽が好きだったのでしょう?

あっこゴリラ:元々、私の父親が1970年代のロックが好きで、父親に初めてもらったCDがキング・クリムゾンだったんです。だからプログレとかは大好きだったし、ビートルズとかも好きで、今も大好きです。そういう音楽と並行してJ-POPも聴いていたし、ドラマーとしてバンドもやっていました。その後20歳代になった頃に、ストレスが溜まっている時期があって、そういう時は口に出すと発散されますよね。でも、愚痴とか悪口というのは聞いてくれる相手に良い影響を与えないんですよね。毒ガスを吸ったみたいな感じにさせてしまうというか。だから、言わないようにしていたんですけど、自分の中に愚痴が蓄積していくのはあまり良くないなと思って。それで、たまたまラップをしてみたんですよ。すごくチープなオケをGarageBand(iOS用音楽制作ソフト)とかで作って、愚痴をリズムに乗せてラップしてみたんです。「マジうぜぇ、死ね」みたいな感じで。そうしたら、“楽しい!”みたいな(笑)。それがきっかけになって、ラップをするようになりました。


――ということは、ラップを始めてから短期間で頭角を現したんですね。

あっこゴリラ:そうなんですよ。私は<CINDERELLA MC BATTLE>で優勝しちゃったので、ラップの老舗の人みたいに思われがちなんですね。でも、実はラップ歴は2年とかなんです(笑)。だから、なんかスイマセン…みたいな(笑)。

――でも、本当に秀でている人は3年以内に頭角を現すといわれていますから。元々ドラムに惹かれたことも含めて、優れたリズムセンスを持たれているんだと思います。

あっこゴリラ:自分で最近思うのは、私は“リズム中”だなということなんですよ。

――リズム中毒ということですか?(笑)

あっこゴリラ:そう(笑)。あと、“中2病”の“中”(笑)。私は家事とかも大嫌いだったんですけど、クイックルワイパーとか、大根おろしとかもリズムに乗ってやると楽しい…みたいな(笑)。だから、もうしゃあないというか、“リズム中”の生き様を見せているという感じですね。ヒップホップ・カルチャーに影響を受けてヒップホップを始めたというよりは、“リズム中”が音楽をやっていったら自然とこうなったんです。

――ヒップホップありきではなかったですね。“あっこゴリラ”という名前もラップをするようになってから名乗り始めたのでしょうか?

あっこゴリラ:いえ、ドラムをやっていた頃からです。これね、すごくヘンテコな話だなと思われてしまいがちなんですけど、私はドラムを叩く時は結構イメージして叩くんですよ。たとえば、この曲はマッチョな黒人が叩いているイメージだなとか、これはレギュラー・グリップのオッサンだなとか。オッサン化するために、レコーディングにシャツで、ハットで、サングラスという格好でスタジオに行ったりする時もあったんです(笑)。そういう中で、この曲はもうゴリラが叩いているイメージでいこうと思ったことがあって。このグルーブはもう人間レベルじゃない、ゴリラだ…みたいな(笑)。その時に、“いや待てよ。ゴリラ最強じゃねぇ?”と思ったんです。ゴリラはコミュニケーションの取り方がリズムだし、動き方がグルービィだし、胸の厚みとかも凄い。ゴリラ最強ということで、ドラマー時代から“あっこゴリラ”と名乗るようになったんです、勝手に。そのバンドはポップなガールズバンドで、曲を作るボーカルの子が書く曲は失恋とか、女の子のせつない気持ちを歌う曲がほとんどだったんですよ。そういうバンドでドラマーが“あっこゴリラ”というのは、コンセプト的にちょっと…ということになり(笑)。事務所のほうから“ゴリラ”の部分は抹消されていたんです(笑)。それで、勝手に“あっこゴリラ”と名乗っていたんですけど、バンドが解散して、ラッパーになった時に、これで堂々と名乗れるじゃんと。もう事務所ないし…みたいな(笑)。インパクトがあって、覚えてもらいやすくて、良い名前じゃないかなと思っています。

――あっこゴリラという名前の女性ラッパーと聞いてゴツい人をイメージしたのですが、写真を見ると違っていて“あれっ?”と思いましたよ。

あっこゴリラ:それも、よく言われます。でも、そういうギャップも面白いでしょ?(笑)

――面白いです(笑)。では、最新EP『GREEN QUEEN』について話しましょう。

あっこゴリラ:私は2017年に入ってから、いろんなトラックメーカーさんやプレイヤーとコラボしていくという企画をしていたんです。この人とコラボしたいなという方だったり、友達だったり、現場で会う人だったりと一緒にやって結構コマが揃ってきたし、これは纏めちゃおうと思って。それに、新曲を3曲加えたのが、今回の『GREEN QUEEN』です。タイトル曲の「GREEN QUEEN」は、EPに入る曲達を見た時に、一緒に作った人がバラバラだし、皆さん個性が強烈なので、それを纏めるような1曲を作らないとな…ということを感じて。じゃあ、総括するというのはどういうものだろうとなった時に、一個一個の個性が強烈だから、寄せ集まると戦隊ヒーローみたいだなと思ったんです。“〇〇レンジャー・レッド!”“ブルー!”“イエロー!”みたいな(笑)。戦隊の中心になるリーダーが欲しいと思って、そこから作り始めました。さっき話した<CINDERELLA MC BATTLE>の時に、「お前の髪、緑。初音ミクみたいだな」というようなことを言われて、「私の髪はグリーン。だから絶対になる、クィーン」みたいに返したことがあって。それが結構決め手になって優勝に導いてくれたので、これは良いぞと思って“GREEN QUEEN”というタイトルにしました。私の中では“GREEN QUEEN”という言葉の響きも気に入っています。


――コラボレーション企画を纏めるにふさわしい曲といえますね。新曲の「ゲリラ × 向井太一[Track by PARKGOLF]」と「電光石火 × 食品まつり a.k.a foodman」についても話していただけますか。

あっこゴリラ:「ゲリラ × 向井太一[Track by PARKGOLF]」は、もう速攻できた曲です。瞬殺だった(笑)。トラックメーカーのPARKGOLFは私のライブでDJをやってくれている人で、こういうビートでお願いと言ったら、「実は前に作ったのがあるんだよね。これ、どう?」と言われて「良いじゃん!」ってなって(笑)。それを元にして1日で作って、それを太一君に送ったら、「これ、どうですか?」といって1日くらいで返ってきて。本当に、すぐ出来ました。リリックは、私は本当に音楽が好きで、その気持ちを曲にしたいなという想いがずっとあったんです。“この気持ちは圧倒的だよな。自然とかに匹敵するくらい圧倒的だよな”というのが自分の中にあって。で、この曲はメロディーが出来ていたから、このサビのメロに合う自然系の言葉はないかなと探していたら、“ゲリラ豪雨”というのがハマったので、これで良いや…みたいな(笑)。

――“ゲリラGO ゲリラGO”と歌っているのかと思ったら“ゲリラ豪雨”で、すごくキャッチーなサビだなと思いました。

あっこゴリラ:ありがとうございます。ちなみに、最初の仮歌詞は“あらたさん”だったんですよ(笑)。「♪ あらたさ~ん あらたさ~ん」って(笑)。“あらたさん”にハマる天気系の言葉はないかなと思っていたら、“ゲリラ豪雨”というコトバが降ってきました(笑)。

――あらたさんという人は一体……(笑)。この曲に限らず、リリックも注目です。たとえば、「ウルトラジェンダー × 永原真夏[Track by ヒラサワンダ]」は、“女の子はラップをするな”というような偏見に対する想いを歌っていますね。

あっこゴリラ:この曲は、まさにそれがテーマでした。私はヒップホップというカルチャーのフィールドで活動させてもらっているわけですけど、始めた時に一番感じたのがそこだったんですよ。女の子が圧倒的に少ないことと、“そもそも女がラップすることは認めないよ”くらいの空気が根強くあるなと。それを肌で感じて、“こんな世界まだあったんだ。鎖国?”みたいな。別にカルチャーを変えていきたいとか、そういう大それた気持ちはないんですよ。ただ、私はMCバトルとかにも出ていたので、それきっかけで、もうすごくいろんな言葉を浴びるんです。もうビックリするようなことをいっぱい言われちゃうから、それ全部に対するアンサーを返したかった。それで、“そんなことは、どうでも良くね?”というリリックを書きました。

――強い想いを歌っていながら、ドロドロ・ヒリヒリしていないのが良いですね。

あっこゴリラ:それは、すごく嬉しいです。そういうことを、カラッと歌いたいというのが自分の中にあったから。ジメッとしているのは、あまり好きじゃないんですよ。それはそれで面白さがあると思うけど、ジメジメした言い合いは発展的じゃないなというのがあって。それに、私にしてみれば、“だって、シンプルなことじゃん”という話で、ヒステリックになることでもないし。すごく攻撃的だったり、重く捉えられると嫌だから、ドロドロしていないと感じてもらえて良かったです。

――感じなかったですし、カラッとしていることで、より多くのリスナーの共感を呼ぶ曲になっていると思います。

あっこゴリラ:そう、この曲は女の子が共感してくれたりとか、勇気を持てたみたいなことを言ってくれることが多くて。それは、すごく嬉しいです。

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