【聴講レポ】<ソニアカフェス2017>若手作家4人、Tom-H@ck、三浦拓也&名渡山遼、角松敏生の音楽授業って?

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ソニーミュージックの音楽スクール「SONIC ACADEMY(ソニックアカデミー)」が主催する、 エンタテインメントの学びの祭典<SONIC ACADEMY FES EX 2017>が、 10月7日(土)、 8日(日)にFuture SEVENにて開催され、2日間で約900人が講座に参加した。

◆<SONIC ACADEMY FES EX 2017>1日目 画像

“究極のセミナーオンステージ”と銘打ち、今年で4回目の開催を迎えたソニアカフェス。2日間で設けられた8講座は、各講師陣の個性を打ち出しつつも音楽クリエイターやミュージシャン、アーティストらにとって徹底して実践的なプログラムが揃った。特に2日目はUVERworldのドラマー・真太郎によるドラム講座や加藤ミリヤによるレコーディング秘話など、チケット抽選制による講座も登場。普段明かされない具体的なテクニックにまで踏み入った内容ということもあり、参加者のモチベーションも非常に高い濃密な体験となった。本記事では1日目の講座についてレポをお届けする。


1日目の初講となったのは、現在のJ-POPシーンの第一線で楽曲制作を担う4組のクリエイター「Akira Sunset」「Carlos K.」「丸谷マナブ」「Soulife」による公開楽曲コンペティション。開講前にはイベント公式サイトで楽曲のコンペシートも事前に公開され、講座参加者が楽曲を提出することも可能になっていた。

コンペの想定アーティストは、現在ソニーミュージックレーベルズ所属で著しい成長を遂げているLittle Glee Monster。そのニューアルバムのリード曲となりうる楽曲を募集する、というものだ。進行はSony Music Records A&Rの灰野一平氏が担当し、順番に各作家が提出した楽曲デモを披露。ニューアルバムのリード曲として相応しい楽曲を作るために各作家がどこに着眼したか、高度なアイデアのぶつかり合いが見られた。

単純に良い音楽を作るだけでは、近年のJ-POPメジャーシーンの現場でクリエイターとして生き残ることは難しい。それは制作環境に没入してしまうと見えにくい落とし穴だ。この講座は“最後の一曲に選ばれるためにどんなことに着眼するべきか”というヒントを与えてくれる(そして、さらに曲作りのノウハウも少しだけ教えてくれる)90分となった。


そして第2講座となったのがクリエイターとしてもミュージシャン・アーティストとしても多角的に活躍するTom-H@ckの講座。こちらでは自身の代表的ヒット楽曲「STYX HELIX」(『Re:ゼロから始める異世界生活』ED曲)をサンプルに、楽曲デモやプロジェクト画面も初公開しながら制作プロセスを解説した。(※なお、この講座にはソニックアカデミー内でプレ講座も設けられていた)

会場は希望者が当初の予定を上回り、急遽イスを増やしての対応に。こちらで明らかになったのはTom-H@ckがプロとして音楽を作るために自ら養っていった貪欲さと、音楽的バランス感覚と、理論の明晰さだ。“売れる音楽”が求められているとき、それに応じるために彼がどこまでやっているのか。そこまで明かして大丈夫なのか?と思うような赤裸々な手の内が僅かながら明かされる。

受講生に夢をかなえるためのアドバイスを送るコーナーでは、音楽で身を立てたいと語る10代の受講生に自身の経験から「本気でやるなら師匠を見つけて弟子入りすることを奨めます」と語ったTom-H@ck。その場でアドバイスを受けた受講生から弟子入り志願も飛び出し、終始盛んに参加者とのコミュニケーションが図られていた。


ここで第3講座は一転して、音楽演奏を楽しむフレンドリーな講座に。講師はインストユニット・DEPAPEPEの三浦拓也(G)とウクレレ・アーティストの名渡山遼。この講座では課題曲をアコースティック・ギターかウクレレ持参で一緒に弾くことができ、三浦拓也×名渡山遼による課題曲の生デモプレイとミニライブまで聴けてしまうというギター&ウクレレプレイヤーにとってはホットな講座となっていた。スタジオ実施ではなくFuture SEVENの音響・照明設備完備でのステージというのがまたオツなところだ。

課題曲となったのは2016年にリリースされた名渡山遼の楽曲「Angel feat. 三浦拓也」。開講にあたっては事前に受講者限定で名渡山&三浦の実演によるレッスンデモ動画もプレゼントされ、さらに三浦は講座のために初のタブ譜を書きおろしたという。その上で実際の講座では「タブ譜どおり弾くとメロがわかりづらくなるので……」と楽曲を引き立てる細かいコツを伝授するなど、講師陣2人の温かい癒しキャラもあいまってリラックスした空気のなか次々に具体的な授業が進んでいった。

一通りの楽曲指導のあとには、ウクレレとギターを持参した受講者たちが全員ステージにあがり、名渡山と三浦もその中に入って全員で「Angel」を演奏。楽器を持参していない観覧希望の受講者たちも拍手を贈り、音楽を通しての会話に参加者からもたくさんの笑顔が生まれていた。


1日目のラストである第4講座で教壇に立ったのは、角松敏生。今年でデビュー36年目、シンガーソングライターとしても音楽プロデューサーとしても成功と紆余曲折を経験したベテランだが、セミナーテーマは「それでも君は音楽で飯を食っていきたいのか?~音楽業界を目指す人へ今伝えたい!音楽業界を生き抜くためのヒントを大公開!~」という、幅広い内容が詰め込まれたものになった。

「アーティストの8割は独学」と語り、自身も様々なことを実地で学んだという角松。軽快なトークで自身のヒストリーを下地になぞりつつ、当時の音楽業界の背景や流行の変化、スタジオミュージシャン周りの世界、プロダクションとの関係やそこからの独立、はたまた印税計算から楽曲制作のデバイス事情まで“音楽で食ってきた”人間ならではの凝縮されたトピックがユーモアとともに続いていく。

講座の後半では、聴講者をステージにあげ、実機材を使っての収録デモンストレーションも実施。最新の音楽業界事情にまで触れつつ熱弁でこの日の講座を締めくくった。

今年は2日間8講座を盛況のうちに終えたSONIC ACADEMY FES EX 2017>。ソニックアカデミーでは本フェスの他にもオンライン・通学コース併設の音楽スクール『MUSIC MASTER』、歌活応援ポータルサイト【UTA-PLA】、実践的な“アニメづくり”の学びの場を提供する『アニセミ』、ソニーミュージックによる会員制音楽制作コミュニティサロン『SONIC ACADEMY SALON』などの運営を行なっている。

<SONIC ACADEMY FES EX 2017>

2017年10月7日(土)・ 8日(日) 南青山 Future SEVEN
【主催】株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
エデュケーション事業部 Team Sonic Academy

■10月7日(土)  開催プログラム
■11:00~12:30
Akira Sunset + Carlos K. + 丸谷マナブ + Soulife
「J-POPクリエイター頂上決戦! 楽曲コンペ・バトルロイヤル2017
新進気鋭の若手作家4人が集結し、勝負曲でガチ対決!」

■13:30~15:00
Tom-H@ck
「『音楽×映像(CG・アニメーション)』ヒットの法則 〜今、世界に望まれる日本の音楽とは〜」

■16:00~17:30
三浦拓也(DEPAPEPE) + 名渡山遼
「~ミュージックマスター講師とジョイント講座~
三浦拓也(DEPAPEPE)と名渡山遼 10 STRINGS MUSIC COMMUNICATION」

■18:30~20:00
角松敏生
「それでも君は音楽で飯を食っていきたいのか?
~音楽業界を目指す人へ今伝えたい! 音楽業界を生き抜くためのヒントを大公開!~」

■10月8日(日) 開催プログラム
■11:00~12:30
DJ 和
司会:冨田明宏(音楽評論家/音楽プロデューサー) 
ゲスト:山内真治(アニプレックス プロデューサー)
「アニソン好きな僕が100万枚DJになった理由 ~売れるアニソン徹底分析~」

■13:30~15:00
塩塚博、松澤健
「駅の発車メロディ制作のパイオニア“塩塚博”と鉄のピアニスト“松澤健”が教える数秒間で心をつかむメロディ制作術!」

■16:00~17:30
加藤ミリヤ     【抽選制】
 「加藤ミリヤが紡ぐメロディの種はどこから生まれるのか ~インスピレーションの源を徹底分析!~ 」

■19:00~20:30
真太郎(UVERworld)  【抽選制】
「生まれた時から音が響いていた~真太郎(UVERworld)流ドラム&音楽論~ vol.2」

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