【ライヴレポート】シド、東京国際フォーラム公演で「生きる意味を一緒に探して」

全国ホールツアー＜SID TOUR 2017 「NOMAD」＞を開催中のシドが10月27日、東京国際フォーラム ホールAにて東京公演を行なった。同ツアーは約3年半ぶりにリリースしたオリジナルアルバム『NOMAD』を帯同したもので、この日のステージは全16本中8本目のちょうど折り返し地点となる。『NOMAD』という新しい楽曲群を携えた彼らの進化の過程を感じさせる瑞々しいステージが展開された。

◆シド 画像

大歓声の中、真っ白な衣装に身を包んだメンバーがステージに登場。沸き上がるフロアの熱に応えるようにマオ(vo)、続いて明希(B)とShinji(G)が高く右手拳を突き上げたところでライブがスタートした。





ステージはシングルチューン「硝子の瞳」「バタフライエフェクト」「螺旋のユメ」をはじめとする『NOMAD』収録曲を中心に、「嘘」や「ANNIVERSARY」などの新旧織り交ぜた内容でオーディエンスの多幸感を引き上げていく。

ツアーも中盤戦とあって、『NOMAD』収録新曲でのメンバーとオーディエンスの呼吸もぴったりだ。凛としたマオの歌声が響いた「NOMAD」では、ゆうや(Dr)が打ち鳴らすリズムに合わせて手拍子が沸き、Shinjiのソリッドなギターイントロが炸裂した「XYZ」では会場が一体となって拳を振り上げた。大合唱が起こった楽曲では、全員の声を笑顔で受け止めるメンバーの姿があった。誰も置いていかない、一人残らず絶頂へと連れていく度量の大きさを、彼らのステージから感じ取れた。



さらに特筆すべきは、多彩な『NOMAD』収録曲でみせる各メンバーのプレイの秀逸さ。もともとシドはテクニカルなバンドとして定評があるが、ジャジーな「KILL TIME」では、ゆうや、明希、Shinjiといったプレーヤーをフィーチャーするソロパートを色気のある演奏で魅せたほか、3人のアンビエントなセッションから始まった「低温」では重厚でありながら躍動感もあり、新しいシドを感じさせられた。

そして、それぞれの曲に乗るマオのヴォーカルは、とても表情豊かで雄弁だった。終始、温かい空気に包まれていた本編。「東京！めっちゃ気持ちいいなあ。ありがとうございました！」と感謝の気持ちを伝えると、メンバーは笑顔でステージを後にした。



アンコールは「懐かしい気持ちで歌ってました」と、インディーズ1stアルバム収録の「青」からスタート。会場に広がる笑顔を見つめながら、マオは「大きい声で俺たちに愛を届けてくれて、本当に嬉しいです。普段からみんなのことを4人ともいつも思ってます。ここからシドは15周年。生きる意味を一緒に探して、ファンのみんなと一緒に歩いていこうと思います」と語り、「最後はこの大切な歌をみんなに届けて終わりたいと思います」と、「普通の奇跡」を歌い上げた。

2018年は結成15周年、メジャーデビュー10周年という節目の年を迎えるシド。さらなる飛躍を胸に誓い、11月25日(土)のツアーファイナルまで全国を駆け抜ける。

取材・文◎大窪由香
撮影◎西槇太一