【インタビュー】ちゃんみな、HIP-HOPシーンを飛び超えた特異な存在「誰かと同じような音楽をやって正統派と言われても嬉しくない」

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19才という若さでいながら、ラッパー/シンガーとしての実力の高さやリアルなリリック、特異な音楽性、華やかなキャラクターなどが大きな注目を集めている“ちゃんみな”。そんな彼女がNEWアルバム『CHOCOLATE』を完成させた。海外で制作が行なわれた本作は、ワールドワイドな味わいやJ-POPに通じるポピュラリティー、韓国人を母に持つ彼女ならではのエキゾチックな香りなどが混然一体となって、非常に魅力的な1枚に仕上がっている。ヒップホップ・シーンを飛び超えた存在になることを予感させるちゃんみなに、最新作を軸にしつついろいろなことを聞いてみた。

◆ちゃんみな~画像&映像~

■私は“リアルであること”にこだわりがあるんです
■本当にあったことや思っていることを自分の話し言葉で書きたい


――まずは音楽的なバックボーンなどを教えてください。

ちゃんみな:1才半の時に、テレビで音楽番組を見て、歌手になりたいと思うようになったんです。早くて、ウケますよね(笑)。それで、ママに「歌手になっても良い?」とピアノとバレエを習わせてもらったんです。なので、小さい頃はクラシックと友達でしたね。その後、小学校に入ってからイジメに遭うようになって、バレエに行きたくなくなって。それで、家に引きこもってYouTubeを見るようになったんですね。そういう中で、小学校2年生の時にBIG BANGの「Haru Haru」という曲を聴いて、私がやりたい音楽はこれだと思ったんです。そこからバレエはやめてヒップホップ・ダンスを習うようになって。そうしたら性格が明るくなって、イジメもなくなったんですよ。それで、ヒップホップ・ダンスをやりつつ、BIG BANGのマネ事もやりつつということを続けていって、ラップに行き着いたという感じです。だから、私の音楽的な基盤になっているのはクラシックとK-POPですね。

――とはいえ、R&Bやファンク、ソウルといったブラック・ミュージックからの影響も感じます。

ちゃんみな:ブラック・ミュージックは、聴き込むという感じではなかったです。でも、2010年前後のブラック・ミュージックは好きです。リアーナとか、(クリスティーナ・)アギレラとかの曲で踊っていたので。私の音楽や歌を聴いて、R&Bとかがすごく好きなんだろうなと思う人が多いみたいなんですよ。でも、“(気取って)うん、私ブラックだから…”みたいな感じではないですね(笑)。私は、K-POPファンです。

――それもオリジナリティーを生んでいる要因の一つといえますね。では、そういったことを踏まえつつ最新アルバム『CHOCOLATE』について話しましょう。今作を作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?

ちゃんみな:今回はテーマが出てくるまで、結構時間が掛かりました。自分の中には、こういうカラーのオーラで、こういうジャケ写で…というイメージがあったけど、それを一言で表せる言葉を思いつかなくて。そういう中でリード曲を作りましょうということになって、出来あがった曲を聴いた時に、“チョコレート”という言葉がポンと出てきたんです。そこから発想が広がって、チョコレートはいろんな甘さ加減があるし、それこそ苦いのもあるなと思って。それで、チョコレートという全体を覆うテーマがあるうえで、いろんな味が詰まったアルバムにしようと決めました。


▲NEW ALBUM『CHOCOLATE』初回限定盤


▲NEW ALBUM『CHOCOLATE』通常盤

――“チョコレート=甘い”というところで終わらせなかったのは、さすがです。実際、『CHOCOLATE』にはいろいろな曲が入っていますが、曲を作る時はいつもどんな風にされているのでしょう?

ちゃんみな:私は、いつも最初にトラックを作ります。トラックを作って、宇宙語でサビとかのメロを歌って、これが良いんじゃないかと思ったメロディーを採用して。で、ラップの部分は空けておくんですよ。その後フローとかを作って、元々あるメロディーに歌詞をはめるという感じです。

――ということは、トラックを作っている段階で、楽曲の方向性や世界観などは見えているんですね?

ちゃんみな:見えています。だから、最初に題名を決めます。世界観が見えていて題名も決まると、自分はこの曲でどんなことを伝えたいのかというイメージが一層湧きやすくなるから。ただ、題名は後で変わることもありますけどね。ラッパーさんの場合は伝えたいことが先にあって、それにフィットするトラックを作る人が多い気がするけど、私は違うんです。“メッセージありき”ということは、あまりないですね。

――曲の作り方にも独自のスタイルを持っていることが分かります。それに、『CHOCOLATE』に収録されている楽曲は、透明感や洗練感のあるオケと生々しいラップやラップの取り合わせが印象的です。

ちゃんみな:今回は前作に比べて音がめちゃめちゃ良くなったというのがあって。プロデューサー陣が外国の方も入ったし、海外で作ったので、最新のもの、まだ日本では出来ていないものを採り入れようということになったんです。だから、一つ一つの音が本当に繊細だし、存在感があって。それに、音色のクオリティーが高いから、音を沢山入れる必要がなかったんです。音の良さと音数が少ないことが重なって、洗練された雰囲気のオケになったというのはありますね。

――音のチョイスの面で、提示されたものを聴いて、これは違うんじゃないかなと感じたりすることはなかった?

ちゃんみな:いえ、ありました。そういう時は、ちゃんと言いました。そうじゃないと、自分の作品にはならないので。リード曲の「CHOCOLATE」を作った時もRyosuke”Dr.R”Sakaiさんに、8曲くらい作らせてしまったんです。「違うんスよ、これ」「違うんスよ、これ」といって。妥協したくなくてそうなってしまったんですけど、めっちゃ申し訳なかったです。


――でも、自分の作品に責任を持つためには「これは違います」と言う勇気が必要ですし、申し訳ないという気持ちは伝わっていると思いますよ。

ちゃんみな:伝わっていると良いんですけど……。でも、だからこそ本当に良いと思える曲ができたし、「CHOCOLATE」はめちゃめちゃ気に入っています。「CHOCOLATE」に限らず、関わってくれた方達が凄い人だからといって丸投げした曲とかは一切なくて。今回のアルバムは、本当に手間暇かけた作品です。

――良いコラボレートをされましたね。今作のリリックで、こだわったことなども話していただけますか。

ちゃんみな:その時その時の自分が書けることを、等身大で書きました。私は、“リアルであること”に、こだわりがあるんです。本当にあったことしか書きたくないし、本当に思っていることしか書きたくないし、本当に自分が使っている話し言葉で書きたい。“〇〇だぜ”とか“ほら見てごらんよ”みたいなことは言いたくないんですよ(笑)。だって、そんなことは普段言わないから(笑)。だから、『CHOCOLATE』の曲は全部“その時その時の何分何秒間の自分”が、そのままパッケージされています。

――架空のストーリーを考えて歌詞で描いたりはしないんですね。

ちゃんみな:それは、できないんです。しないんじゃなくて、単純にできない(笑)。そういう歌詞の作り方もできると良いんでしょうけど(笑)。だから、今回最初に曲が出て来なかったというのもあるんですよ。今年の3月に『未成年』という1stアルバムを出して、ライブもして、その後1ヶ月くらい仕事が落ち着いた時期があったんです。私はアウトドア派ではないので、その間ずっと家にいて、廃人みたいな生活をしていたんですよ。だから、何も出来事がなくて、曲が書けなかったんです。

――日記を書きたいけど、書くことがない…というような状態ですね。

ちゃんみな:そう(笑)。曲作りに繋がるものを得るために、できるだけ外に出ないといけないんですけど、そういう気にならなかったんです。

――本当にリアルな自分を投影されているんですね。では、楽曲やリリックも含めて、『CHOCOLATE』の楽曲で、特に気に入っている曲をあげるとしたら?

ちゃんみな:もちろん「CHOCOLATE」も好きですけど、私的にお気に入りなのは「TO HATERS」です。この曲は、一番聴いて欲しい曲です。私の“Pain”だったり“怒り”だったりが、めちゃめちゃ籠った作品なんですよ。今の自分が一番伝えたいことがHATERSに向けた言葉というのは悲しいことですけど、私にとって本当に苦しかったことなので。この曲のサビでは“I Know You Call Me Bitch=私は知ってる、あんたが私のことをビッチと呼んでいることを”みたいなことを歌っているんですけど、それはSNSで悪口を書く人達に向けて言っているんです。知らないところで、私が見てないと思って、いろんなことを言っている人が世の中には結構多くて、汚い世界だなと思って。歌詞中にもあるように、“そんなの放っておけよ”と、みんな言うじゃないですか。アーティスト活動をしていると、どうしてもHATERは出てくるんだからと。でも、そうやってみんなが放っておいたから、平気で人の悪口を裏で言えちゃう世界になってしまったと思うんですよ。だから、これはもう私が変えるしかないなと思って、「TO HATERS」でメッセージを発することにしました。私は、違うんじゃないかと思っていながら、それを放っておくような自分は嫌だから。

――SNSは見ないようにする、現実を知っていながら気がついていないフリをするといった選択肢もある中で、敢えて立ち向かったんですね。

ちゃんみな:そう。そうしたかったんです。SNSで言われていることに対して、その場で言い返したいことが何回もあったんですよ。前作に入っている「She's Gone」という曲でも“言いたいことを飲み込んでボロボロになった”と歌っているんですけど、私は言いたいことを飲み込むのが本当に苦手な人なんです。言いたいことを“ガァーッ!”と言うタイプなので、それを我慢するのはすごくツラいんですよ。みんなが経験していることなのは分かっているけど、“私は別に悪いことはしていないし、我慢する必要ってあるの?”ということに気づいてしまったんです。それぞれ心のゴミ箱を作ることは良いけど、相手に見える形でゴミを捨てる人というのが私には理解できないから、これは私が言うしかないなと思って書きました。

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