<スペシャ列伝>、CHAI、ドミコ、2、パノパナ、tetoの5組が新宿で激突

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▲ドミコ

スペースシャワーTVによるライブイベント<スペースシャワー列伝 第135巻 ~奏航海(かなでわたる)の宴~>が、11月3日(金・祝)に東京・新宿LOFTにて開催された。

◆<第135巻 ~奏航海の宴~>画像

ライブハウスを中心に活躍するインディーズアーティストやビデオクリップのないアーティストたちの魅力を、ライブを通して全国の視聴者に伝えるというコンセプトのもと、2001年にスタートした<スペースシャワー列伝>。今回の公演には、CHAI、ドミコ、2、パノラマパナマタウン、tetoの5組が出演。新時代を感じさせる5つの個性がぶつかりあうエキサイティングな一夜となった。以下、同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

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新しい世代のミュージシャンを発掘するスペースシャワー列伝主催のイベント<スペースシャワー列伝>の第135巻が“奏航海(かなでわたる)の宴~”と題して、新宿LOFTで開催された。出演は2、パノラマパナマタウン、CHAI、ドミコ、teto(Bar Stage出演)の5組。既存のジャンルなど軽々と超えて、それぞれ異なる理想を持ったバンドたちがその個性をぶつけ合う一夜は、新しい才能の閃きに驚かされる興奮に満ちたものだった。

「僕らは過去を乗り越えていくことがテーマです」。そんなふうに自己紹介をしたのは、元The SALOVERSの古舘佑太郎(Vo, G)らによる新バンド2(ツー)。結成から半年というフレッシュなバンドゆえに、1曲目の「ケプラー」から、いまバンドを組まずにはいられなかった衝動がこれでもかと溢れていた。「土砂降りの雨が降った街」や「急行列車」など、USインディーのにおいを引き継いだポップでパンクな楽曲たちは、曲を追うごとに熱を帯びていく。祭囃子が鳴るような「ロボット」で変化球も交えつつ、30分のステージで全10曲を畳みかけるタイトでスピード感のあるステージが彼らの持ち味。眩しい太陽や汗のにおいを感じさせる、青くて泥臭いサウンドがその場所に深い爪痕を残した。

▲2

“そーとーヤバいぜー”と自分たちを紹介する「PPT」をSEにしてステージに登場したパノラマパナマタウンは、1曲目の「リバティーリバティー」から、早口のラップを捲し立てる岩渕想太(Vo, G)が最前列の柵のうえに身を乗り出し、マイクなしで吠えるように歌う、ハイテンションなスタートダッシュを見せた。「今日は500人とひとつになりに来ました!」。そう宣言した「パノラマパナマタウンのテーマ」のあと、陽性のガレージロックにめいっぱい皮肉を詰め込んだ「エンターテイネント」など、鋭利な言葉でザクザクと切り込んでいく。クライマックスは「世界最後になる歌は」。岩渕がフロアに降り立ち、強引にオーディエンスを巻き込んでいく様は、新時代をアジテートするバンドの貫禄が備わっていた。

▲パノラマパナマタウン

唯一Bar Stageに出演したのは4人組ロックバンドteto。革ジャンスタイルのボーカル小池貞利(Vo, G)が、「俺らだけBar Stageだけど、ここでしかない盛りあがりがあるから!」と叫ぶと、往年のパンクシーンへの憧憬を全開にしたパフォーマンスで、その場所に汗と笑顔の熱狂を生み出していった。「高層ビルと人工衛星」を皮切りに、性急なビートと、まるでマイクに噛みつくような小池の熱唱が大きな喝采を呼ぶ。「今日のことも、こんな日があったって思い出すかもしれないし、思い出さないかもしれない。そういう事実だけが美しいと思います」。そんな小池の言葉とともに届けたバラード曲「忘れた」には、言葉にならない何かをロックのなかで必死に掴もうとするtetoのロマンが刻まれていた。

▲teto

真っ暗なステージに電球を手にしてステージに現れたのは、“ネオかわいい”で話題のガールズバンド、CHAI。ブラックミュージックへの深い理解を感じさせるファンキーなグルーヴのうえを、マナ(Vo, Key)とカナ(Vo, G)のラップが不可思議なバランスで絡み合う「Sound & Stomach」からライブはスタートした。「ヴィレヴァンの」では、ときにキュートに、ソウルフルに、セクシーに声色を変えながらフロアを惹き込んでいく。マドンナの「マテリアル・ガール」にのせた宣伝ソング、マイケル・ジャクソンの「ヒール・ザ・ワールド」にのせた自己紹介、「ボーイズ・セコ・メン」の前振りで見せた同時通訳ネタなど、ユーモアのセンスも持ち合わせた彼女たちはエンターテイナーとしても素質も抜群。ラストの「sayonara complex」まで、我が道をゆくパフォーマンスで強烈な存在感を放っていた。

▲CHAI

トリを飾ったのはさかしたひかる(Vo, Gt)と長谷川啓太(Dr)からなるふたり組ドミコ。1曲目の「こんなのおかしくない?」を皮切りにドラムとギターのみという最小限の編成にも関わらず、さかしたがルーパーを駆使することで過不足のないロックンロールを生み出していく。「時間がないので、どんどんやっていきます」。MCは手短かに「まどろまない」など、ガレージロックをルーツとしたサウンドのうえで、メロディとラップの中間を行き来するような、さかしたのシームレスなボーカルが不敵に響き渡った。メロウなグルーヴにファルセットをのせた「ロースト・ビーチ・ベイベー」で本編を締めくくったドミコ。アンコールの「くじらの巣」まで、1曲のなかにアイディアをたくさん詰め込み、次々に様相を変える音像にソングライターであるさかしたの飽くなき探求心を感じるステージだった。

この日、ステージに立った新人ミュージシャンたちは、いずれも2010年代のニューミュージックとでも呼ぶべき、斬新なやり方で音楽と向き合っていた。この場所から、彼ら、彼女らが切り拓いてゆくであろう、新しい音楽シーンはかつてないほど自由だ。

取材・文◎秦理絵
撮影◎上山陽介

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この日の模様は、スペースシャワーTVにて12月に特別番組として放送されることが決定している。

<スペースシャワー列伝 第135巻 ~奏航海(かなでわたる)の宴~>

2017年11月3日(金・祝) 東京・新宿LOFT
出演:CHAI /ドミコ / 2 /パノラマパナマタウン / teto(Barstage出演)
[セットリスト]※出演順
■2
01. ケプラー
02. PSYCHOLOGIST
03. DIARY
04. 土砂降りの雨が降った街
05. 急行電車
06. VIRGIN
07. ロボット
08. Family
09. Anthem Song
10. How many people did you say “GoodBye”

■パノラマパナマタウン
01. リバティーリバティー
02. パノラマパナマタウンのテーマ
03. エンターテイネント
04. シェルター
05. フカンショウ
06. MOMO
07. 世界最後になる歌は

■teto
01. 高層ビルと人工衛星
02. 36.4
03. 暖かい都会から
04. 9月になること
05. 忘れた
06. Pain Pain Pain

■CHAI
01. Sound & Stomach
02. ヴィレヴァンの
03. 自己紹介
04. ボーイズ・セコ・メン
05. N.E.O.
06. ぎゃらんぶー
07. sayonara complex

■ドミコ
01. こんなのおかしくない?
02. united pancake
03. Pop,Step,Junk!
04. ミッドナイトネオン
05. まどろまない
06. マイララバイ
07. ロースト・ビーチ・ベイベー
En. くじらの巣

[放送日時]
初回放送:2017年12月12日(火)23:00~24:00
リピート放送:2017年12月23日(土)26:00~、12月25日(月)26:00~
視聴方法: http://www.spaceshowertv.com/about/howto/

オフィシャルサイト: http://www.spaceshowertv.com/retsuden/

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