【インタビュー】倉島大輔、セツナブルースター『キセキ』から15年「僕が歌にした青春はグレー」

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■“こうこうことってあるよね”
■芽生えた他社への目線

──セツナブルースターは2008年のライブを最後に活動を休止しました。ぽっかりと穴が開いたような気持ちにはなりませんでしたか?

倉島:活動休止すること自体は、“セツナってバンドがあったよね”とわりと客観的に見られていました。すぐに弾き語りで活動することも決めていたので。ただ、生活の大部分を失ったような寂しさはありましたね。

──メンバーの島田さん、宮下さんとは連絡を取り合っていましたか?

倉島:休止して3年くらいはほとんど会っていませんでした。でも、島田が東京を離れると、寂しくなって連絡をしてみたり(笑)。

──倉島さんも今は故郷の長野に戻っているんですよね。

倉島:はい。家業を継ぐことになって。しっかり生活しながら音楽活動を続けるためにバランスを整えようと。だからアルバイトをやめることにしたんです。ソロになった頃は年に15本の弾き語りをやったりしていましたが、今は年に3、4本。じっくりと歌に取り組みたかったんです。昔は“生活なんてくそくらえっ!”って思っていましたけど。

──大人になるっていうこと……。だからこそ書ける今の歌があります。生活が変わったことで、歌も変わってきましたか?

倉島:それが不思議と変わっていなくて。でも、昔は“対自分”の歌だったけど、今は、あえて含ませていなかった周りの人への“こういうことってあるよね”という気持ちが歌に入っていて、それが何かしらのメッセージになっていると思います。

──それは他者への“優しい目線”ですね。

倉島:そうですね。小さい変化ではありますが。

■青春は時を越えて……
■自分たちとファンにとって念願のライブ

──12月3日は赤坂BLITZで初の弾き語りワンマン。『キセキ』の全曲とソロの楽曲を歌い、セツナブルースターでの演奏も復活します。どういった経緯で今回のライブを行うことになったんですか?

倉島:以前、僕らが所属していた音楽事務所の代表の方が、「12月のイベントに弾き語りで出演して、『キセキ』のすべての収録曲を演奏してほしい。オリジナルメンバーでも何曲か演奏してみてはどう?」と声をかけくれたんです。オリジナルメンバーで公式に演奏するということは僕にとってかなりの一大事で、活動休止という過去の重い決断があった事実を省みると、やはりそう簡単には踏み切れないという想いもありました。でも、今回はお世話になった音楽事務所の代表の方からの提案ということもあって“セツナブルースター”としてステージに立つことを決めました。決まったからには皆で、「じゃあ、やるか!」と盛り上りました。その代表の方はわざわざメンバーのひとりひとりに会いに来て、話をしてくれて嬉しかったですね。

──久しぶりにメンバーとリハスタに入ってみてどうでしたか?

倉島:昔、さんざん演奏してきた曲なので、皆、身体が覚えていました(笑)。

──どんなライブにしたいですか?

倉島:今、10代後半から20代前半の若い世代のファンの方も多くいらっしゃるみたいなんですけど、僕らが『キセキ』をリアルタイムで歌っていた頃、その方たちはまだ小学生くらいだったはずなんですよ。その方たちが大人に成長していく過程で、セツナブルースターと出会って赤坂BLITZに来てくれる。そんなふうに世代を越えて見に来てくれる人もいるんだなあって。そういう人の前で演奏できるのは嬉しいですね。それに僕にとっては初のワンマンだし、昔からのファンにとっては念願のライブ。そんな気持ちをしっかり受け止めて演奏したいです。

──最後に聞かせてください。今の若者は『キセキ』を聴いて何を感じるんでしょうね。

倉島:15年経って、時代も変わりましたよね。でも、“ゆとり”とか“さとり”とかよく耳にするけど、皆、心根にある本質的なものは昔も今も変わらないと思ってます。そんな彼らにあらためて『キセキ』の歌の世界がどう伝わったのかを逆に聞いてみたいです。

──『キセキ』の歌に登場する主人公は倉島さん自身。世代や時代が変わっても世の中の大勢から外れてしまう“難しい気持ち”に悶々としている若者は、いつもいます。彼らは夢や失望や苛立ちや焦りにこんがらがって、ひとりで耐えて、踏みとどまっています。そういう精神に対して、『キセキ』はどんな時代でも響く強さがあります。彼らは『キセキ』を自分の物語のように感じるんじゃないですか。だから、青春の名盤と密かに言われているわけですし。

倉島:そう言ってもらえてよかったです。『キセキ』は本当に僕の誇りだと思っているので。だから、ライブでは最大限の演奏を全力でして、ファンにも最大限に満足して帰ってほしいです。

   ◆   ◆   ◆

三軒茶屋駅からほど近い茶沢通り沿いの雑居ビルの地下。三軒茶屋Come Togetherのステージに倉島大輔がアコースティックギターを抱えて登場。熱心なファンを前に歌い始めた。

この日、演奏されたのはアンコールを含めて10曲。ほとんどがソロ活動を開始してから作られた歌だった。鮮烈な青春期を過ぎ、30代半ばになった倉島は「あの頃と生き方は変わっていない」という通り、世の中から大勢から否応なしに外れてしまう心情を、少し大人になった自分の物語として描いていた。変わらぬセンチメンタリズムとロマンチシズムをもって。

求めるものがいつも手からこぼれ落ちてしまう。でも、悲しむこともない。そんな日々にも喜びがある。ならば、ままならぬ自分と向き合いながら、毎日をひとり歩んでゆけばいい。横を見れば、同じ思いを抱えている者がいる。倉島の歌を聴きながら、そんなことを思った。

アンコールで歌われたのはセツナブルースター時代の「少年季」。この“季”という言葉は、倉島にとてもよく似合う。春がきて、夏がきて、秋がきて、冬がくるように、人生も“季”と呼びたくなる何かが一本の道の上で繰り返される。変わらぬ自分でいる限り。

12月3日。『キセキ』はどんな表情を見せるのだろう。少し大人になった風の彼らの姿を楽しみにしたい。

取材・文◎山本貴政
撮影◎酒井麻衣

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■<DECEMBER'S CHILDREN “昼の部” 倉島大輔 セツナブルースター『キセキ』リリース15周年記念 『キセキ』全曲演奏ライブ&モア>

12月3日(日) 赤坂BLITZ
Open 12:00 / Start 12:30
出演:倉島大輔
スペシャルゲスト:島田賢司、宮下裕報
▼チケット
1F自由席 ¥3,240 (税込・整理番号付・ドリンク代別)
UNDER 18チケット(1F自由席) ¥2,000 (税込・整理番号付・ドリンク代別)
一般発売日:2017年11月4日(土)
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999

■<DECEMBER'S CHILDREN ~supported by J-WAVE SONAR MUSIC~>

▼12月2日(土) 赤坂BLITZ
Open 17:15 / Start 18:00
出演:the peggies / ねごと / パスピエ / tricot
▼12月3日(日) 赤坂BLITZ
Open 18:00 / Start 18:30
出演:geek sleep sheep / THE NOVEMBERS / LILI LIMIT
▼チケット
1Fスタンディング ¥4,320 (税込・整理番号付・ドリンク代別)
2F指定 ¥4,860 (税込・ドリンク代別)
一般発売日:2017年10月28日(土)
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999

■<DECEMBER'S CHILDREN EXTRA>

▼12月1日(金) 六本木VARIT.
Open 18:30 / Start 19:00
出演:徳永憲 / 沖ちづる
▼チケット
前売り¥3,000 (税込・整理番号付・ドリンク代別)
一般発売日:2017年11月11日(土)
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999

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