BABYMETALが激闘の果てに示した現在地、<巨大キツネ祭り in JAPAN>をWOWOWで

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2010年の結成以来、着実に活動の幅を広げているBABYMETAL。メタルダンス・ユニット……つまり、メタルとダンスの融合という、これまで人類がまともに足を踏み入れてこなかった領域に挑んだがゆえに、世界中で論争を巻き起こしてきた。「あんなのはメタルじゃない!」「こんなに新しいメタルは見たことがない!」──YouTube、メタルサイト、音楽BBSを開けば、いつでもそんな議論が目に入ってきた。

しかし、そんな賛否両論を知ってか知らずか、BABYMETALの3人は自分たちがやるべきこと、そう、“メタルレジスタンス”を成し遂げることだけを考え、そのための旅へ出た。日本だけでなく、遙か海を越えて、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジアへと足を運び、現地のオーディエンスをことごとく熱狂の渦に巻き込んできた。3人の少女たちのパフォーマンス、高度なテクニックを誇る“神バンド”の演奏は、世界中で受け入れられたのである。

では、具体的にBABYMETALは一体何を世界で成し遂げたのか、改めてそのほんの一部を紹介してみよう。まず、2013年にイギリスで行われたメタルフェス<Sonisphere Festival UK>における伝説的なライブを皮切りに、レディー・ガガの全米ツアー帯同、英国メタル誌『Metal Hammer』主催の<METAL HAMMER GOLDEN GODS AWARDS 2015 CEREMONY>出演、英国<Reading and Leeds Festivals>のメインステージへの最年少出演、2ndアルバム『METAL RESISTANCE』の全英15位と全米39位チャートイン、日本人アーティスト初となる英国ウェンブリー・アリーナ(1万2千人動員)単独公演などなどなど、フィクションの世界すら越えた数々の偉業を世界で達成しまくった。

2017年もBABYMETALの活躍は半端なかった。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、メタリカ、ガンズ・アンド・ローゼズ、コーンといったレジェンド級バンドのツアーに次々と帯同したのである。これは日本の音楽シーンにおいて初と言える快挙なのだが、一般の音楽ファンにはことのデカさがしっかり伝えられてない。なにせ2016年4月に2ndアルバム『METAL RESISTANCE』をリリースしてから現在に至るまで、BABYMETALの新たな音源は全くリリースされておらず、各種メディアで発言することはおろか、その姿を現す機会すらほとんどないのだ。自ら情報を追いかけない限りはニュースがないに等しい状態。うーん、ファンとしてはなんとも歯がゆい。

そんななか、2017年彼女たちが最も多くの音楽ファンの前に姿を現したのが<SUMMER SONIC>だ。メインステージのセカンドヘッドライナーという、邦楽アーティストとしてはB’z、X JAPAN、Mr.Children、サカナクションの4組しか到達し得なかった座を勝ち取ったこともすごいのだが、パフォーマンス自体もそのポジションに十分値する凄まじさだった。初っ端の一音目から聴き手の全身を震わすような爆音で、ファンだけでなくベビメタ初見のオーディエンスをも圧倒。怒涛のパフォーマンスでスタジアムを熱狂させたのである。

これこそがこれまで数多くの激闘をくぐり抜けてきた証。むせ返るような暑さのなかで全力のパフォーマンスを見せたイタリアのライブハウス公演、大きな注目を集めたにも拘らず満足のいく結果を残せなかった米国シカゴのフェス、5万人の聴衆を丸呑みにした東京ドーム公演……大小様々な経験のひとつひとつを糧として、3人はここまでたどり着いたのである。

それから約1~2ヶ月後、さいたまスーパーアリーナと大阪城ホールで開催された<巨大キツネ祭り in JAPAN>という、3人にとって久しぶりとなる大型単独公演を迎えた。これまでの大型公演にはBABYMETALらしい何らかの大きなトピックだったり、ストーリー性を感じさせるものがあった。しかし、今回はそういったドラマチックな要素は薄く、その分、今のBABYMETALが何を表現するのかという、純粋な“ライブ”の部分が肝になるのではないかと注目していたが、実際そのようなステージになった。つまり、3人の現在地を確認するのに最も適したライブだったのである。

今回、大きな役割を果たしたのは、ステージ背後に設置された国内では類を見ない大型高精細スクリーン。これがただのサービス映像ではなく、演出として効きまくっていた。どの場所にいても3人が間近にいるような興奮を覚えられたのだ。その分、余計な演出は一切なし。前述した通り、ギミックのない、今のBABYMETALを存分に知ることができるライブとなった。

今回、WOWOWで放送される大阪城ホール公演は、さいたまスーパーアリーナ公演をさらにブラッシュアップした内容になっているので、より研ぎ澄まされたパフォーマンスを堪能することができるだろう。月並みな表現にはなってしまうが、ファンはもちろんのこと、BABYMETALの音楽は知っていたけど、動いている3人を見たことがないという人にこそ観てもらいたいライブだ。現在、日本最高峰のエンターテイメント性を誇るステージをぜひ目撃して欲しい。

取材・文◎阿刀大志
撮影◎Tsukasa Miyoshi (Showcase)
提供◎WOWOW

■番組情報

『BABYMETAL 巨大キツネ祭り in JAPAN』
2017年12月23日(土・祝)19:00 [WOWOWプライム]
収録日:2017年10月14日、15日
収録場所:大阪・大阪城ホール
番組特設サイト: http://www.wowow.co.jp/babymetal/

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