【インタビュー】ウィ・ケイム・アズ・ロマンズ「バンド内の感情をすべて書き綴った」

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米国ミシガン出身の6人組ウィ・ケイム・アズ・ロマンズが、5作目となる新作『コールド・ライク・ウォー』をリリースする。昨年、ミス・メイ・アイやアッティラらとSharpTone Recordsへ移籍し、満を持してのアルバムだ。

◆ウィ・ケイム・アズ・ロマンズ映像&画像

メタルコアにエレクトロの要素を大胆に採り入れたスタイルで眩い個性を光らせる彼らだが、今作はポジティヴなメッセージに溢れており、新しいタイプの楽曲も収められるなどさらなる成長を感じさせる作品となっている。意外にも前作では失敗を犯し、バンドは大きな危機を迎えていたというエピソードも含めて、ボーカルのデイヴィッド・スティーヴンスに話を聞いてみた。




──タイトル『コールド・ライク・ウォー』に込めた意味を教えてください。タイトル曲「コールド・ライク・ウォー」のミュージックビデオに出てくる“2年前”とは何を指しているのですか?

デイヴィッド:この“2年前”というのは、バンド内に様々なネガティヴな感情が噴出していて、まるで戦争状態だった時なんだ。そして前作で犯した失敗からバンドを立ち直そうとしていたときでもある。詳しくはあとで話すよ。

──今作『コールド・ライク・ウォー』の制作は順調でしたか?

デイヴィッド:曲作りを始めたのは1年半前で、最初にできた曲は「ロスト・イン・ザ・モーメント」と「ウェイステッド・エイジ」の2曲だった。実はもっと前に大まかな骨組みはできていたんだけど、ボーカル・パートがようやく自分たちの望むものになった。まずスタジオに入って最初の1~2週間は、バンド内で何が起こっていたのかを話し合った。そして楽しかったこと/悲しかったこと/怒りや不満を感じた事/うんざりしたこと/感謝したことや感情的になったことなど、お互いの感情を全て書き綴っていった。この過程が今作の歌詞を書く上でとても役に立った。自分たちが実際に抱いた感情だから、その状況をはっきりと思い出せる。実体験に基づいて書かれた歌詞だから、しっかりと気持ちを込めて歌うことができたんだ。今作に収録されている曲は、歌詞やボーカルの雰囲気が完全にフィットするまで何度もなんども手直ししているし、スタジオのレコーディング期間も3度にわたって延長することになった。今作の制作に際してレーベルはとても協力的でね、「ただ自分たちが書きたいと思った曲に仕上げればいい。それこそがファンが望んでいる曲なんだから」って背中を押してくれたよ。締め切りに縛られずに制作できたおかげで、完璧な作品を目指せたんだ。

──デビュー作から在籍してきたEqual Visionを離れ、昨年設立されたばかりのSharpTone Recordsに移籍しましたね。

デイヴィッド:Equal Visionとは前作のリリースまでの契約だったんだ。正式に契約が終了しただけでレーベルと何か問題があった訳じゃない。それどころか、長年にわたって彼らが尽くしてくれたことにはとても感謝しているよ。昔から関わってくれたEqual Visionのチームに御礼の気持ちを綴ったメールを送ったくらいなんだ。彼らは、俺たちが未熟で若い頃に見つけてくれて信じ続けてくれた。いまの俺たちがあるのは彼らのおかげさ。新しいレーベルSharpTone Recordsも最高だよ。前作をリリースした後の低調な時期、SharpToneは俺たちを信じて契約をしてくれた。彼らはとても仕事熱心だし、いつも素晴らしい提案を俺たちにしてくれる。それに、彼らはここ数年の俺たちを外側から見守ってくれていたから、俺たちが気付かないことも見えているんだ。

──今作は5作目ですが、これまでにリリースした全5作品を1枚ずつ端的に説明してもらえますか?

デイヴィッド:『To Plant A Seed』(2009)は、まだ子供のように瞳を輝かせていた頃の作品。高揚感のあるアルバムだね。この作品で俺たちは音楽キャリアを勢いよくスタートさせたんだ。『Understanding What We've Grown To Be』(2011)は、本格的にツアーに出て、音楽業界に深く関わるようになってきた頃の作品だ。1作目のように全ての制作過程を楽しんで作ることが、実はとても難しいことなんだってことに気付いた作品でもある。バンドがこれからってときにジョシュが入院してしまったこともあったね。『Tracing Back Roots』(2013)、この作品は自分たちの原点『To Plant A Seed』をリリースした頃の野心を取り戻そうとした作品だった。ロサンゼルスで晴天の下、サーフィンを楽しみながら時間をかけて作ることができた作品だね。『We Came As Romans』(2015)で自分たちのバンド名を冠したのは、作品が当時の自分たちを表現していると感じたからなんだ。いまでは失敗作だと思っているけどね。この頃の俺たちは、精力的にファンに向き合っていたとは思うけど、自分たちの心から生まれたものを曲にしていない。前作『Tracing Back Roots』からラジオ・ヒットが生まれたことで、俺たちはバンドのバランスを崩してしまっていた。仕舞いには“自分たちはロックバンドじゃない”って思っていたよ。ただ、そのおかげで俺たちはヘヴィな音楽をプレイしたいし書きたいって再認識できた。俺はもう過去は振り返らないし、ネガティヴな気持ちも持っていない。この作品は自分たちには必要なステップだったと思っている。結果的に俺はこの作品に感謝しているんだ。『Cold Like War』(2017)。2年の時を経てリリースされたのが今作だ。前作で生まれたネガティヴな感情から、自分たちが積み上げてきたキャリアも台無しになってしまうって悲観していた。切羽詰まった状況を打破するためにも、今作は十分な時間をとって制作したんだ。

──新作に収められている「プロミス・ミー」はウィ・ケイム・アズ・ロマンズにとって新しいタイプの曲だと感じました。あなたにとって今作の中から印象に残っている楽曲を教えてください。

デイヴィッド:そうだね、確かに「プロミス・ミー」はこれまでとはかなり違うタイプの曲だね。でも最近の俺たちは、よりエレクトロな音を前面に打ち出しているし、サウンドもヘヴィになってきているから、道理にはかなっているんじゃないかな。エレクトロの部分を担っているカイルが、プログラミングの腕を上達させているというのもあるだろうね。印象的な曲と言えば、いまでも心が痛むのが「フォーリン・ファイア」だね。この曲は、バンドがツアー中で親戚の葬儀に行けなかったことがきっかけで生まれたんだ。今でも歌うのがつらいよ。そしてジョシュも祖父の葬儀に参列できなかったという似た経験をしている。人生の大切な瞬間に立ち会えない悲しさや辛さがこの曲の題材になっているのさ。

──最近聴いて気に入ったバンドの作品はありますか?

デイヴィッド:ヘヴィな音楽を普段で聴いているよ。ハードコアやビートダウン、ジェント、それにヒップホップといったものかな。作品を挙げるとしたら、Kublai Khan『Nomad』、END『From the Unforgiving Arms Of God』、Get The Shot『Infinite Punishment』、Gideon『Cold』、Kendrick Lamar『Damn.』、Loathe『The Cold Sun』の6枚だね。

──ウィ・ケイム・アズ・ロマンズは、2012年の<SCREAM OUT FEST>で初来日、さらにCROSSFAITHのツアー・ゲストとして福岡、大阪、名古屋、金沢、仙台、川崎の6都市をツアーしていますね。そのときに感じた日本のオーディエンスの印象や、日本での思い出は何かありますか?

デイヴィッド:CROSSFAITHとのツアーでは、いろんな都市を周ることができたから特に印象に残っているね。日本人は敬意をもって接してくれたし、伝統的な文化に触れることもできた。いろんな魚料理を食べたし、美味しいお酒をたくさん飲めたことも思い出深いね。他にも、カイルたちとお酒を飲んでカラオケに行った夜や、アンドリューと福岡の街を自転車で走ったこともあったなあ。日本での初ライブのとき印象的だったのが、曲間のとんでもない静けさだ。あれには驚いたね。ショーの後で日本人にそのことを尋ねたら「それは、あなたが何を言うのかをファンは必死に聞こうとしているんです」って言われた。なんて礼儀正しいんだって思ったし、そんなこと他の国じゃあり得ないことだよ。俺は本当に日本が大好きなんだ。

取材・文:澤田修
Photo by Jason Megeau


ウィ・ケイム・アズ・ロマンズ『コールド・ライク・ウォー』

2017年11月15日発売
【CD】GQCS-90470 / 4562387204731 / ¥2,300+税
※日本語解説書封入/歌詞対訳付き
1.ヴァルチャー・ウィズ・クリップド・ウィングス
2.コールド・ライク・ウォー
3.トゥー・ハンズ
4.ロスト・イン・ザ・モーメント
5.フォーリン・ファイア
6.ウェイステッド・エイジ
7.エンコーダー
8.イフ・ゼアズ・ナッシング・トゥ・シー
9.プロミス・ミー
10.ラーニング・トゥ・サヴァイヴ

【メンバー】
デイヴィッド・スティーヴンス(ボーカル)
カイル・パヴォーン(キーボード/ボーカル)
ジョシュア・ムーア(ギター)
ブライアン・“ルー”・コットン(ギター)
アンドリュー・グラス(ベース)
デイヴィッド・パケット(ドラムス)

◆ウィ・ケイム・アズ・ロマンズ『コールド・ライク・ウォー』レーベルサイト
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