【インタビュー&レポ】GRAND FAMILY ORCHESTRA「この曲たちでみんなの人生がパッと華やぐ瞬間があると信じている」

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2016年に松山晃太(Vo.G)千葉龍太郎(B)ピクミン(Dr)を中心に結成された5人組バンドGRAND FAMILY ORCHESTRA。新体制として初の音源となる1stEP『EUREKA E.P.』を11月18日から会場限定リリースした彼らに、バンド結成時の話から、今作に収録された4曲それぞれについての制作過程までを語ってもらった。立ち止まらずに前を向いて歩み始めたメンバーたちがどんな想いを曲に込めているのかが知ってもらえるはずだ。さらに、取材当日はリリースツアー「大家族会議Vol.3 漢たちの挽歌」初日ということもあり、下北沢SHELTERで行われたライヴの模様も併せてお届けする。

■何を以て“GRAND FAMILY ORCHESTRA”と言うのかっていうところで
■僕の歌が一番頭に来ていないと意味がわからなくなるなって


──GRAND FAMILY ORCHESTRA(以下GFO)は2016年に結成したそうですが、どんなきっかけがあったのか教えてもらえますか。

松山晃太(Vo.G・以下、松山):もともと僕と千葉が仲良くしていて、お互いのバンドの活動が止まったタイミングで声をかけあって、ドラムのピクミン、ギターの良ちゃん(森山良太)にも声をかけて始めました。もう1人最初に、えばたA.F.あいという女性ギタリストがいたのですが、亡くなってしまって(2017年8月に急逝)。5人の音的な部分が大きかったんですけど、音楽的にどうしてももう1人ほしいなというのがあったので、サポートメンバーのギタリスト・OCHANを加えて現体制に至っています。

──それが今年の10月なんですね。お互いに違ったバンドをやってきたみなさんが集まる上で、GFOではどんな音楽をやろうと話したのでしょうか。

松山:最初は本当にまったく何も考えてなくて。僕とベース、ドラムが3人でスタジオに入って何も話し合わずになんとなくセッションしながらリフ1個から広げていったバンドなので、そもそもどんな音楽をやろうっていうことはまったく考えていなかったですね。

千葉龍太郎(B・以下、千葉):狙いみたいなものは別に何もなかったですね。

松山:歌詞は全部僕が書いているんですけど、曲はなんとなく弾き語りのものやリフだけというところから始めて、セッションしてみんなの反応が良かったものから広げていくことが多いです。だから特に、バンドを結成する上でこういう音楽をやろうということは本当に何もなかったです(笑)。


──森山さんはバンド加入にあたってどんな音楽をやるのか訊かなかったですか?

森山良太(G・以下、森山):僕はこのバンドに入るまでバンド活動をしたことがなくて、このバンドが初めてなんです。千葉とは10年来の友人で、久しぶりに会ってスタジオでセッションしたときに、GFOを始めたことを知って、「俺も混ぜてよ」って入れてもらいました。当時は、日本の音楽を知らなかったんですけど、入ってみたら思った通りのロックな音楽だなって。自分はそこのフィールドにいなかった人間なので、ロックでありつつそこにどんなエッセンスを加えていけるかなって戦ってきた感じですね。

──森山さんはこれまでどんな活動をしていたんですか。

森山:即興演奏とか、現代アート的な活動をやっていました。ライヴペインティングとかダンサーと2人でやったりとか。個人的に曲作りはしていたんですけど、バンドは初めてですね。

──ロックバンドに戸惑いはなかったですか?

森山:はい、あんまり僕は怖がらないタイプなので。

千葉:いや、戸惑ってましたけどね?戸惑いしか見えなかった(笑)。

森山:そう?(笑)。やっぱり、ギターが3本ある中でどこに入れて行こうかっていうことが。それはみんなそうだと思うんですけど、明らかに音数が多い中でどう立ちまわっていくかというのは、みんなそれぞれ違うと思うので。そこに対する苦悩みたいなものはあったんじゃないかと思います。


▲松山晃太

──戸惑いというよりは、どうアンサンブルするか考えたということですね。そのあたりは松山さんはどう考えているんでしょう?

松山:僕自身は、ギターを持ちたくない人間なんです。ただ曲作りの段階で、ギターを持つわけなんですけど、結局ギターリフを僕が考えると、僕が一番弾くのが得意になる。他のギタリストに弾いてもらっても、「何か違うな?」ってどうしてもニュアンスが変わってくるので。それでこれまでなんとなくギターを持つ羽目になったまま、ず~っと音楽活動を続けてきてしまったんです。このバンドを組むにあたって、今度こそはギターを置きたいなという気持ちがあって、ギターを2人入れようと思ったんですよ。でも結局また同じことになって。そうなってくるとアンサンブルが難しかったですね。そもそも、ギター3本って理にかなってないと思っているんですけど、音源にパッケージされたものには、結構どのバンドも絶妙にギターが3本鳴っていることもありますよね。でもそれを完全に再現するには、やはり2人だと不可能な場合があって。だったらちゃんと必要なギターのアンサンブルをライヴで表現できるバンド、同期を使わずにちゃんと必要な音が必要な状態で鳴っているライヴバンドになっていこうという思考になっていったんです。そうなると自分もギターを置くわけにはいかないなと。

──なるほど。サポートメンバーのOCHANさんはキーボードも弾いていますが、曲にアプローチする上で、ギターとどう弾き分けているんですか?

OCHAN(Gt&Key):最初にアイデアがあったりもするし、メンバーがやりたいイメージに沿って入れています。そこにプラスアルファで自分のアイデアを入れたりもしますね。


▲OCHAN

──ギターが3本いる中で、千葉さんはどう考えてベースを弾いてるのでしょうか。

千葉:とにかくギターにしてもドラムにしても個性が強いので、みんなが強い点で楽曲に対して楽曲にアプローチしてくる中で、いかに自分がちゃんと線でいられるかというのは考えています。みんなを繋ぐ意味でもそうですし、点と線をこのバンドではずっと考えてます。

──ピクミンさんはバンドに加入する上でどんなことを考えてました?

ピクミン:正直、特に何も考えてなかったというのが本音なんですけど(笑)。僕は大阪で前のバンドをやっていて、何も決めずに上京するタイミングで誘ってもらったので、「楽しそうやしやろうかな」くらいのノリで始めました。なのでどういうバンドにしたいっていうのはなかったですね。バンドって、「こういう風になりたい」って話しているときが一番楽しいと思うので、そういう気持ちを大事にしたいなと思ってます。

──個性的な楽器陣の中で、松山さんはボーカリストとしてどんなことを意識して曲作りをしているのでしょうか。

松山:極論を言ってしまうと、結局人間の耳って「誰が歌っているのか」がすごく大きいと思うんです。これだけひっちゃかめっちゃかしたバンドなので、何を以て“GRAND FAMILY ORCHESTRA”と言うのかっていうところで、僕の歌が一番頭に来ていないと、意味がわからなくなるなって思っていて。そういう意味で、どんなアンサンブル、曲であっても歌い方1つで表情を持たせることができるし、且つ遠い視点から見るとやっぱり同じバンドの曲になるっていう想像をしながら、曲を作ってます。


▲千葉龍太郎

──バンド名にオーケストラってついていると、曲やアレンジのイメージがすごく広がる気がします。松山さんの歌が真ん中にあるからこういうバンド名が付けられたのかなと。

松山:それはあると思います。若いバンドを観ていて思うことがあるんですけど、色んなバンドがいる中で、求められている同じような曲をマイナーチェンジしながら出していく、変化の乏しい感じがすごく悲しくなるんですよね。というのも、アルバムの1曲目と7曲目と8曲目も同じアイデアだし、みたいなことを感じるときがあるんです。統一感ってそういうことじゃないじゃないかと思うんですよ。だってバンドマンは、音楽が好きな人たちの集まりなはずなので、曲の好みはあれど、色んなタイプの曲の良い部分を聴いてきたはずなんです。その中で、わかりやすさを追求して出していくのは戦法としては良いと思うんですけど、最近はその戦法と音楽家としてのせめぎ合いみたいなもののバランスがすごく悪いように見えていて。それは自分がバンドをやって表現していく側としてはすごく嫌なんです。別に色んな曲をやりたいわけじゃなくて、表現として色んな曲をやることと、そのバンドが何をやりたいかは相反することではないと思っているし、色んな曲をやりながらも統一感は出せるし、音楽のそういう部分をすごく信じているんです。

──そういう思いが『EUREKA E.P.』の4曲にはある、ということですか。

松山:そうですね、確実にあります。

──ではそれぞれの曲について訊かせてください。まず「ユリーカ」は“EDM meets Led Zeppelin”をモチーフにしたそうですね。これはどんなイメージなのでしょうか。

松山:僕の中のLed Zeppelinは最強のロックバンドなんですよ。ローリングストーン誌に載っていた逸話で、「みんなで考えた最強のバンドを考えようぜ」ってメンバーを組んでいったらLed Zeppelinになっちゃったっていう話があるんです。僕が好きなバンドって、メンバーの名前も顔もプレイもちゃんと頭の中にいるんですよね。そういうバンドになりたいんです。Led Zeppelinの一番すごいところって、グルーヴがすごいしライヴのかっこよさがとてつもなくロックンロールだなって。まあ、「ユリーカ」は“EDM meets ロックンロール”っていうことなんですよ。そのロックンロールの象徴が僕の中でLed Zeppelinっていうことなんです。


──コーラスの高揚感に、EDMの要素がありますよね。

松山:そうです、そのイメージがあったんです。やっぱり、時代とは乖離しすぎるとダメだと思っていて。僕は一生Led Zeppelinを好きだと思うので、それと4つ打ちだからこその高揚感をマッチングさせてチャレンジしてみた曲ですね。タイトルの「ユリーカ」は、スタジオでその日録音した音源を聴いたときに、一番頭の“ユリーカ”という歌詞が浮かんだので、最初にタイトルだけつけてそこから歌詞を書いていきました。

千葉:この曲はひたすら難しかったですね(笑)。松山さんが持ってきた音がまず難しかったんですけど、どこからかそれが良いものに自分の中で変わっていった瞬間があって。それは歌詞の“熱源”っていう言葉も相まってシンクロしていった感じがあるので、表題曲になった意味があったなって感じています。

ピクミン:自分もこの曲はめっちゃムズいと思っていて、最初はやってることがムズ過ぎて全体を聴く余裕がないまま曲ができた感じだったんですけど、歌詞が乗って初めて一歩引いて聴いたときに、すごく良い曲ができたなって思いました。

森山:もともと僕はEDM寄りな人間なのでこういう曲は得意な方ではあるんです。EDM的な要素で言うと、隙間をどう残していくかが重要なファクターになると思うんですけど、このバンドはギターが多いので埋めて塗って埋めて、みたいな作業が多かった。でもこの曲は随分隙間を残しながら、疾走感とサビに行ったときの4つ打ちが、そのまま跳ねるだけじゃなくてロックンロール的な転がり方をするようなアレンジを心がけました。

OCHAN:僕も今回、曲作りから参加しているんですけど、一緒にスタジオに入り始めて3、4回目でこの曲を作り始めて、めっちゃムズいなと。

一同:ははははは!

松山:みんな“ムズい”しか言ってない(笑)。メンバーはみんな作曲をやってきた人間なんですけど、今僕がイニシアティブを取って曲作りをしている中で、作曲家の要求に対しての理解度って他のバンドより圧倒的に早いと思っているんです。だけど、自分の中にないものとか得手不得手の向こうにあるものを要求されたときに、そこが壁になってしまうのかなということもあって。それをとりあえず1回取っ払うところからこの曲は始まったんだと思います。

千葉:確かに。曲の解釈っていうところだと思うんですけど、そこが難しかったですね。

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