【ライブレポート】The Wisely Brothers、オルタナ精神のすさまじい進化

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ずっと鳥肌が立ちっぱなしの約1時間半だった。インディー・ロック、ネオアコ、ギター・ポップといった様々な音楽的素養を感じさせながらも、言葉使い、アンサンブル、曲展開、そしてバンドとしての佇まいといったすべてがオルタナそのもの。他のどこにもない、The Wisely Brothersという個性が輝いていた。

◆The Wisely Brothers ライブ画像

11月17日(金)、満員の渋谷WWWにて開催されたThe Wisely Brothersによるワンマンライブ<Letter Of Mountains>。11月8日にリリースされた7inchアナログ「The Letter」の発売企画であったが、ライブの1曲目、アンコールで披露された2曲両曲をはじめ、全17曲中6曲も新曲を披露したことからしてバンドの勢いがいかに良いかが伝わってきた。良い、というか最高だった。2010年に都内の高校の軽音楽部で結成された真舘晴子(Gt&Vo)、和久利泉(Ba&Cho)、渡辺朱音(Dr&Cho)からなる3ピースバンド、The Wisely Brothers。あんなステージを目の当たりにしてしまったら、彼女たちの行く末に期待せずにいられないではないか。



ぜひ、ライブに足を運んで実際に味わってほしいのだが、新曲はざっくり言うと、オルタナな要素をポップにまとめ上げるこのバンドの能力がいかんなく発揮されていた。新しいのに懐かしいギターリフ、メロディアスなのに時にハッとさせる歌、素朴だけど詩情の深いリリック、激変する曲展開、といった彼女たちらしい味わいや音楽的野心がどの曲からも聴こえてきてとにかく楽しい。音楽が好きでよかった。一瞬で目の前の景色を変えてくれるドラマチックな曲作りも冴え渡っていた。このバンドは、“気分”“空気”“匂い”といった捉えがたいものを音楽にする才能が本当にある。享楽的でダンサブルな曲調からメランコリックなナンバーまで、その振り幅も激しく、さらなる表現力の進化も伝わってきた。

もちろん、これまで発表してきた「メイプルカナダ」「鉄道」「Thursday」「waltz」といった現時点での代表曲も鋭くて美しい名演で、繊細かつエモーショナルな3人のステージングは、人間臭くて泣けてくる。これらはすでに鉄板級の名曲になっていると断言できるので、まだ聴いたことがない方は絶対に聴いて欲しい。





総じて、既発曲も新曲も、音楽の楽しさ、バンドの楽しさ、演奏の楽しさといったとてもポジティブなエネルギーが充満していた。ビートが刻まれるたびに、リフが奏でられるたびに、創造性が湧き出ていて、これだけ一瞬一瞬に対して何かを感じることができるなんて、という嬉しい単純な驚きに襲われた。きっと彼女たちは今、バンドである自分達に対する開拓精神がみなぎっているに違いない。それほど覚醒感に溢れたバンドサウンドだったからだ。

言うまでもなく、バンドの形態において基本的に最少人数であるのが3ピースだ。けれど、だからこそ、これほど多彩で奥の深い音楽を作る3ピースバンドの姿を目前にすると、いかに3ピースバンドというものに音楽的ダイナミクスが宿っているかを理解できる。







けれど、これだけThe Wisely Brothersに共鳴しながらも、彼女たちのちょっと掴みきれないところ、いびつさ、つまり自由なところに私は一番惹きつけられる。それは、ちょうど3年前にはじめて「トビラ」をYouTubeで見かけてバンドの存在を知ったときからそうで、同曲での真舘の語るようにも叫ぶようにもなる歌唱や、ガーリーさが全面に出ていながらもカメレオンのように変化する声質、“ハッピーにヒッピー”という不思議なパンチライン、後半の曲展開、そのどれもが他にはないものだった。


そして今回の最新作「The Letter」も、全編英語詞による楽曲であると共に、手紙の朗読が少しずつ色づいていくようにサウンドやビートが重層的に曲に加わってくるというチャレンジングなナンバー。こんなふうにして、アイデアを果敢に具現化していく彼女たちは紛れもないアーティストであり、小動物のようなかわいらしい装いだけれど無性に刺激を与えてくれる存在がThe Wisely Brothersだ。ちなみに、どうして3人が笑っているのかたまに理解できないライブMCも、とらえどころがなくてツボです(笑)。


だが、今回のライブ本編のラストを飾った「The Letter」の演奏直前のことである。真舘は、長めのMCで感動的なメッセージを届けてくれた。

彼女曰く、昔、ちゃんと練習しているのになぜかバンドとしてカッコよくきまらない、それはもうただ“向いていないから”だと思い込む日々が続いたという。なぜなら“こうでなければならない”という概念に囚われていたからだったが、そのうち“自分達なりのバンドをやればいい”ということに気づくことができたし、それは他でもなく、“私たちがやっている少しよくわからないことを、楽しいと思ってくれた人のおかげ”であったのだ、と。縮こまった考え方から、自由に、楽しく、やりたいことをやればいい、と教えてくれたような気がする── 今回の曲(「The Letter」)もそうで、こうして私達は1枚1枚、何かを教えてもらっている気がします、とすごく実直に話していた。それに続いた“……いつもありがとうございます!!”という言葉に、客席からは自然と温かい拍手が起こった。私もつられて拍手しながら、3人の進化の理由も知り得たような気がしていた。



さらにこの日のライブでは、来年2018年2月21日に1stフルアルバムがリリースされることも発表され、同作でバンドはメジャーデビューを果たす。今回のライブレポートから、このアルバムの素晴らしさはきっと確信していただけるはずだ。そして3人には、どうかこれからもマイペースに音楽をやり続けて、私たちに楽しみをたくさん届けて欲しいと願う。

取材・文◎堺 涼子(BARKS)
撮影◎石戸 ひな

  ◆  ◆  ◆

The Wisely Brothers / 1st Full Album『タイトル未定』

2018年2月21日(水)発売
COCP-40274
¥2,593+tax
※詳細は後日発表予定

7inch アナログ「The Letter」

2017年11月8日(水)Release
LAEP-1007 ¥1500 + tax

■A面 The Letter
■B面 アニエスベー EMCAT Remix

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