【インタビュー】鍵盤男子、メジャーデビュー「みんなでピアノの未来を創っていきたい」

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■ あらためて彼の作曲家としての意地、懐の深さも感じました(大井)
■ 大井さんには、“大井 健のピアニズム”というものがあるんです(中村)

── 聴くのもすごく楽しみです。今回のアルバム制作を通して、お互いにあらためて思ったこと、気づいたこともあるのでしょうか。

大井:たとえば「power toccata」と「The future of piano」の2曲に関しては、どうひねり出しても僕からは出てこないところから音が出てきている感じがしました。純粋にすごいなと思うし、この人と一緒に音楽を作れてうれしいなという気持ちになるし、あらためて彼の作曲家としての意地、懐の深さも感じましたね。本当に今回のレコーディング、すごく楽しくて。もっともっと彼のいろんな曲を聴いてみたいなとも思いました。

中村:……ちょっとこのQ&A恥ずかしいですね(照笑)。でも、すごくうれしい。大井さんには、“大井 健のピアニズム”というものがあって、ピアノを弾くときの考え方、精神はもちろんすごいし、アーティキュレーション(演奏に強弱や表情をつけることで音と音のつながり方を変容させること)が僕とはまったく違って、紳士的なんですよ。「creep」のイントロ部分に長い音符がいくつか出てくるんですけど、作曲者でもそういう流れで弾けないよなっていうようなアプローチをしたりもする。UKロックに対する強い憧れが素直に音に反映されていて、そういう計算し尽くせない感じもおもしろい。それから、「言わなきゃよかった、なんてちっとも思ってないくせに・・・」で彼が担当するパートがめちゃめちゃ難しくて、そこもすごいなと思ったし……。作曲者である僕だけが知っている曲だと思ってオリジナル曲の楽譜を渡すと、あたかも知っている感じで返してくることも多いんです。その感覚はすごく不思議かもしれない。

▲中村 匡宏

── やはりシンクロしているのですね。

大井:長いこと一緒にいるからかな。

中村:そうかも。ちょっと怖いくらいシンクロする(笑)。でも、それがすごくおもしろいんです。普段から仲がいいしね。

大井:そうだね、仲よし。

── 先ほど、「2人でドライヴに行く」とおっしゃっていましたが……。

大井:全然行きますよ。一緒に軽井沢に行ったこともあるしね。

▲大井 健

── お仕事は関係なく?

大井:まったく関係なく。

中村:「避暑、どうする?」って言ってね(笑)。

大井:こういう仕事をしていると休みをとれる日も同じになってくるし。

── それだけでは休みの日にまで一緒にいないでしょうけど、一緒にいて居心地がいいということですよね。

中村:うん、めちゃめちゃいいです。

大井:僕が2歳上ですけど、本当に兄弟のような感じ。

中村:2歳っていう年齢差にしろ、作曲家とピア二ストっていう関係性にしろ、ちょうどバランスがいいんだろうね。

▲鍵盤男子

── 本当に素敵なコンビネーションです。では最期に、鍵盤男子としてどんな夢を抱いているのでしょうか。

大井:僕は少年期にイギリスやドイツにいたこともあって、いつか向こうでまたコンサートをしたい、日本人らしさを発揮できる音楽で海外の人に楽しんでもらいたい、認めてもらいたいという想いがあります。ぜひ、鍵盤男子で海外公演をしたいなと思っています。

中村:いいですねぇ。僕は、ピアノ工場で撮影した『The future of piano』のジャケット写真やアーティスト写真が表している通り、『The future of piano』はひとつの集大成ではあるものの、ここからファンの方たちも含めて、みんなでピアノの未来を創っていきたいなと。そして、大井さんも言う通り、ワールドワイドな活動をしていきたいと思っています。

  ◆  ◆  ◆

取材・文◎杉江優花

鍵盤男子(けんばんだんし)プロフィール

繊細かつダイナミックな音楽を奏でるピアニスト、大井健(おおいたけし)。
あらゆるジャンルの音楽を自在に表現する作曲家、中村匡宏(なかむらくにひろ)。

新しい時代の到来を告げる“作曲家とピアニスト”のふたりが新感覚ピアノ・デュオ鍵盤男子を結成。
超絶技巧を駆使した高速連弾や観客と一体となるコンサートが人気を呼び、今、クラシックホールを中心に女性層から圧倒的な支持を得ている。

2014年、アルバム『Bon Voyage』をリリースし、初めての全国ツアーを行う。現在は「ピアニズム」という新しいコンセプトを提唱し内外の著名人からの賞賛の声も多く、ストラヴィンスキーの「春の祭典」のパフォーマンスはフランスを代表するピアニスト、フィリップ・ジュジアーノ氏に激賞された。

大井健のソロ活動と中村匡宏の1年間の留学期間を経て、2015年12月に「TOKYOピアニズム宣言」を発表し再始動。Eテレ「ムジカ・ピッコリーノ」、テレビ朝日「関ジャニ∞の仕分け」、ファッション雑誌「リンネル」、音楽雑誌「月刊ピアノ」「The Pianoman 1,2,3 -鍵盤紳士たちの音-」などメディア・雑誌等にも多数出演している。

アルバム『The future of piano』

2017年11月29日(水)発売
WPCS-13739 / 価格:2,800(本体+税)

<収録楽曲>
M1.The future of piano
M2.power toccata
M3.bolero(ラヴェル作曲) ※
M4.言わなきゃよかった、なんてちっとも思ってないくせに・・・
M5.sad smile
M6.don’t look back in anger (オリジナルアーティスト:OASIS) ※
M7.pink elephant
M8.pomp and circumstance(エルガー作曲 / 威風堂々) ※
M9.creep (オリジナルアーティスト:RADIOHEAD) ※
M10.viva la vida (オリジナルアーティスト:Coldplay ) ※
M11.spiral switch
※=カヴァー

鍵盤男子デビューコンサート
<Anniversary Special Live The future of piano>

2017年11月30日(木) クラブex
ファーストステージ 「THE HISTORY  ザ・ヒストリー」 開場:14:00/開演:14:30
セカンドステージ 「THE FUTURE ザ・フューチャー」 開場:18:00/開演:18:30

メジャー・デビューアルバム『The future of piano』発売記念 ミニライブ&サイン会

2017年12月2日(土)
時間:15:00
会場:東京都・タワーレコード渋谷店 7F 店内イベントスペース
詳細:http://tower.jp/store/event/2017/12/003007

2017年12月10日(日)
時間:13:00 / 15:00
会場:山野楽器相模大野ステーションスクエア店(相模大野ステーションスクエア 3Fアトリウム特設ステージ)
詳細:http://www.yamano-music.co.jp/a/shops/sagami/

2018年1月19日(金)
時間:18:30
会場:銀座山野楽器本店7F イベントスペースJamSpot
詳細:https://www.yamano-music.co.jp/docs/event/index_honten.html#event_0119_1830

◆鍵盤男子 オフィシャルサイト
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