【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第5回ゲスト:DURAN

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■「THEギタリスト」というのが
■自分だと思っていて──DURAN

──悔しさを噛みしめることがASHには多いようですけど、確実にライブでノックアウトされた人間も客席の中にはいるはずですよ。

ASH:そうですね。あと先輩方が、下をフックアップしてくださるんで。だから、もっとかき回さなくちゃいけないなって気持ちは常にあるんです。

DURAN:確かに。まだ余裕を持たれているなって感じがするよね(笑)?

ASH:そう。“コイツは今のうちに潰さねえとな、山へ連れて行っちゃおうかな”と思わせるぐらいにならないとダメなんだろうなって常に思ってて。そう思われるぐらいイヤなヤツにならないとダメかな。

DURAN:ASHのそういうところにも俺、惚れちゃったんだよね。好きで憧れたロックバンドのヴォーカリストってこういう感じなんだよなって。バンドのボーカルってもっとムチャクチャだったはずなのに、今はいなくなっちゃったなと思って。そういう時代なんだろうけど、新しいヒーローがいなくなってしまったのかなって寂しさもずっとあって。そこへこの人が現われたから、“もう、これだよね、ロックのボーカリストはこうじゃないと”って。

ASH:ギラついていたり、熱かったり、下克上魂みたいなのは、時代的にあまり受け入れられにくいし。だから「古いよ」とか言われることもしばしばなんですよ。

──でもASHの場合、熱さを装ってるわけではないですからね。そのまんまがコレで。

ASH:そうなんすよ。もっとこうあるべきだって指摘されることもあるんですけど、「はい!」って従うくらいだったら、とっくに違う生き方してると思う。トレンドとか知ったこっちゃないしね、俺達はロックやってるんだし。だからうるさく言うヤツらを全員ニコニコさせるようなロックスターにならなきゃな、と思ってますけどね。

DURAN:あとASHの場合、品がないわけでもないからね。たまに品もない人もいるじゃないですか、それは違うなって。ASHはちゃんと自分を持っているし、言いたいことも歌いたいこともあるし、思いがちゃんと詰まってる。だから愛されるんだろうな。

ASH:この手からこぼれ落ちるものは多々あれど、手にできることもたくさんあるんだってことを、自分の歌とかASH DA HEROの物語で見せていきたいんだよね。すげぇ遠回りすると思われることも含めて、でも“愚直さってダサくないんだよ”ってやっていきたい。そういう姿勢もまたロックだと思うから貫いていきたいよ。ところでDURANはソロ・アーティストとしても活動を始めたけど、そのいきさつとか展望とかは?

DURAN:寂しがりやのところがあって、自分は(照笑)。

ASH:知ってるよ。

DURAN:それだから今までバンドもいろいろやってきたんだけどね。でも例えば、握った拳がちょっとでもこっちのほうが強いと相手を傷つけちゃうし、向こうが強いとこっちが痛いっていうことがあるじゃないですか。一瞬でも自分の熱量と違う瞬間が見えちゃうと、俺はどんどん冷めちゃうというか。常に同じ感覚でいたいんだよね。特にバンドってそう。だから俺はどのバンドもなかなかうまくいかなくて。

ASH:俺がバンドを諦めたのも同じ理由だよ。自分の熱量と合う人がいなかったんだよね、これは中島卓偉さんとの対談でも話したことだけど。

DURAN:だから周りのせいにもしてしまうことがあったし。だったら一人になってやったほうがいいなと思って。一人のほうがもっと分かりやすくできるなって。サポートギタリストとしていろんな人達とやらせてもらったりして、それをDURANという場にダイレクトに持ち帰れるし。あと最近、ギタリストとしての立ち位置をすごく考えるようになっていて、この言い方で伝わるか分からないけど、「THEギタリスト」というのが自分だと思っていて(笑)。「はい、これがギタリストです」という立ち位置が、周りにとっても分かりやすいだろうし、それが自分も得意というか。例えばマイケル・ジャクソンの「ブラック・オア・ホワイト」でガンズのスラッシュがいきなり登場した瞬間、世界観が全部、変わっちゃうというか。ステージに出てきた瞬間、これこそがギタリストっていう。そういうスパイスでいたいというか。だから自分は扱いづらくていいっていう。

ASH:ギターヒーローだよ、やっぱり。正真正銘のギターヒーローに最も近いのはDURANだと思う。

DURAN:俺、昔のバンドではキツイときもあったんだよね。売れなきゃいけないって思いもプレッシャーもあって。それは今思えば理解もできるんだけど。でも、“ギターソロは弾かないでほしい”とか、“ギターの音量は下げてくれ”とか、“ギターはこれを使ってくれ”とか。それに対して俺は、全部反抗しちゃって(笑)。

ASH:全部に反抗(笑)、いいと思うよ。

DURAN:それでいろいろ揉めたんだけど、今はそれで良かったと思っていて。そこで抑えてしまったら終わってしまう、自分自身がね。“歌モノの曲でギターをこんなに弾いちゃってもいいんだ”とギターを始めようとしている人やギター弾いてる人に思ってもらえただけでも嬉しいし。“ここへ来たら、アイツのところへ行けば、ロックギターを超聴けるぜ”って存在でずっとい続けたい。

ASH:いや、そうだよね。地球が何周しようが、季節がどれだけ変わろうが、俺達はここにいますっていうね。

DURAN:そう、アイコンというかね。コカ・コーラは時代が変わってもロゴを変えないじゃん。

ASH:いつの時代もそこに存在しているものって全然色褪せないし。だからDURANは色褪せないギターをずっと弾き続ける。俺も色褪せない歌をずっと歌い続けていたい。

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