【インタビュー】ONE☆DRAFT、“あなたの歌”に出会える最新作『ENDRUN』

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■「ヒーローじゃなきゃダメだ」と思った

──中身の話に入りましょう。1曲目の「HERO」に“エンドラン”という言葉が出てくるんで、これがいわばタイトル曲なのかな?と。

LANCE:最初は「エンドラン」という曲を書こうとしたんですけど……帝京高校野球部の後輩で、北海道日本ハムファイターズの杉谷拳士っていう奴がいて。一緒にメシを食ったりする間柄なんですけど、そいつは俺たちに会う前に、登場曲に「ワンダフルデイズ」を使ってくれてて、俺たちをチェックしてくれてたんですよ。だから野球選手というよりも、人としてこいつを応援する曲を作りたいなと思った時に、ちょうどアルバムを作ることになって、できたらこいつをミュージックビデオに出したり、2軍から這い上がっていく様を俺たちが音楽家として応援するみたいな感じにできないかな?と。それで「エンドラン」という曲を作ろうと思ったんだけど、それはアルバムタイトルのほうがいいんじゃないか?っていうことで、どんどん変わっていったんで。まあぶっちゃけて言うと、杉谷っぽい曲ができなかったという(笑)。

──あはは。そういうことか。

LANCE:「エンドラン」というタイトルで杉谷のために1曲書くというと、テーマが狭すぎて難しかったんですよ。それで書いていくうちに、杉谷がどうのこうのというよりも、応援してる側が見えないとダメだなと思って……俺らで言えばライブのお客さんだし、杉谷の目線だったらスタジアムに来てくれる人だし、その人たちに対しての俺たちって何だろう?と思った時に、「ヒーローじゃなきゃダメだ」と思ったんですよ。ヒットを期待してる人のためにヒットを打つ、それは野球も音楽も共通するなと思って、「HERO」という曲に変えたんですよ。

──なるほど。理解しました。そしてさっきも話に出たEDMスタイルの「Believe」、これはどんなふうに?

LANCE:これはね、たぶんEDMっぽいのはサビの部分のトラックだと思うんですけど、今までと違う雰囲気になってるのは、サビが歌じゃなくて音だけで。

──それがEDMマナーになってる。

LANCE:ですよね。でもそれがEDMだと言うのを俺は知らなくて。結果的にONE☆DRAFTが流行りの音に寄せた感じになるんだろうけど、そうじゃなくて、トラックを作ってもらう人の家で作業してる時に、単純に「ここ、歌詞いらないな」と思ったんですよ。この曲以外は、3人の経験や思いを伝えて「わかるわ」って共感してもらえるような曲ばかりなんですけど、「Believe」に関しては完全に自分自身のことを書いてる曲なんで、サビでは答えを出さずに、「言葉のないところに思いを重ねてください」という感じなんですよ。サビの前に来る“自分を責める事なんてない / どうせ他人が責めてくれる時代”というのが結局言いたいことで、このあとにサビを書くと変に答えを出しちゃう気がして、「一人一人はどう思う?」っていう余白をあげたかったんですよね。それがEDMっぽいってあとで言われる感じになったというか。

▲LANCE(MC&Vo)

──あと個人的に、「Oh My Little Girl」がすごく好きですね。今までにないドラマチックなロック・バラード系というか。

LANCE:ちょっと自分らっぽくない曲ですよね。これは恋愛をして、男性が振られたり女性が振られたりする中で、振られた側も納得して相手を応援してるよ、というような……ドラマや漫画の見すぎかもしれないけど、夢を追うために彼女と別れるとか、大学受験のために別れるとか、そういう時に「つらいけどあなたを応援する、いつまでもあなたの味方でいるから」みたいなことってあるじゃないですか。そこまで言えなくても、別れぎわに相手に伝える言葉って、そうやって送り出すような言葉が多いよなと思ったんですよね。でも、そう言って別れたあとに一人になると、やっぱり悔しかったり悲しかったり、家で大泣きするわけですよ。そういう思いをガキの頃からずっとしてきたなと思うと、せめて歌の中では寄り添ってあげたいなと思ったんですよね。

──うんうん。わかります。

LANCE:だから真ん中へんの“この際クソみたいなヤツに騙されて傷ついて涙して / 君が僕のもとに戻らないかな”とか、どう思われるかな?と思ったんですけど、それでもまだ好きだよという本音を伝えるためには、“傷つけばいいのに”っていう言葉が必要だったんですよね。複数で話してる時には「こんなこと言って、ひどくない?」ってなるかもしれないけど、家に帰って一人になって聴いてもらった時に、なんとなくわかるってなってもらえばいいかなと。

▲RYO(Vo)

──深いなあ。今回はこの曲もそうだけど、「better days」とか「君との足跡」とか、せつなすぎる別れの歌がすごく身に染みて響きますよ。あとは、RYOさんがリードして作った「Treasure Hunter」。これ、語ってもらえますか。

RYO:いやあ、語るっていうほど新しい曲でもないんですけど(笑)。もう10年ぐらい一緒にやっている、トラックメイカーの塩川さんという方の家に行った時に、ちょうど子供が生まれるということで、僕らもちょうど事務所を移籍するタイミングで、そんな中でできた曲ですね。歌詞の大半は子供のことを思って書いてます。ずっとストックしてあったんですけど、MAKKIが「これがいい」と言ってくれて、入れることになりました。

──すごくいい曲ですよ。RYOさんらしい大らかな包容力がにじみ出た、メロディアスな曲。

RYO:ありがとうございます。

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