【インタビュー】EINSHTEIN&言xTHEANSWER、二人が生み出す絶妙のケミストリーを味わえる『Two Pawns』

twitterツイート

新進気鋭のラッパーとして大きな注目を集めているEINSHTEIN&言xTHEANSWERによるコラボレート・アルバム『Two Pawns』が1月31日にリリースされた。それぞれが普段の活動で見せている姿とは異なる側面や柔軟なスタンスが光るバラエティーに富んだ楽曲、リアルな歌詞などが詰め込まれた同作は、ヒップホップやラップという枠を超えた輝きを放つ一作に仕上がっている。さらに、異なる個性でいながらどこか似通ったものを感じさせる二人が生み出す絶妙のケミストリーを味わえることも魅力といえる。EINSHTEIN&言xTHEANSWERをキャッチして、『Two Pawns』周りの話をたっぷりと語ってもらった。

◆EINSHTEIN&言xTHEANSWER~画像&映像~

■『Two Pawns』は僕らの日常のいろんなシーンを切り取った曲達が入っている
■ミラクルが起こってバランスの良いアルバムになった気がしています


――まずは二人で活動を共にすることに決めた経緯などを、お願いします。

EINSHTEIN:僕は元々大阪出身で、2017年の1月に上京したんですね。言xTHEANSWERは北海道出身なんですけど、同じように2017年の4月に上京したんです。お互い、同じような境遇だったこともあって仲良くなったんだよね?

言xTHEANSWER:そう。音楽をやるために上京して来たけど、本当に音楽で飯が食えるのかとか、学力がないから音楽で食えなかったら仕事がないぞといった未来に対する不安を抱えていて。そういう中で、同じ境遇にいるEINSHTEINと励まし合っていて、音楽以前にめちゃめちゃ友達だったんです。それで、毎日一緒に遊んでいたんですけど、やっぱりミュージシャンなわけだから、遊んでいる時間を曲作りにまわしてみようという話になって。遊びの延長という感覚で、その日あった出来事……コンビニのムカつく店員とか、遊んでいる中でふと思ったことといった日常の小さいことにスポットをあてた曲を二人で作るようになったんです。そうしたら、あり難いことに良い機会をいただいて、今回それを纏めたものをビクターさんからリリースさせてもらえることになりました。

――遊び惚けてしまわずに音楽を創ったことが、良い結果を呼びましたね。ではまず、お二人の音楽的な背景なども話していただけますか。

EINSHTEIN:僕は元々ラップをしていたわけではなくて、小学校2~3年生の頃に、兄にRADWIMPSさんとか、BUMP OF CHIKENさんとかを聴かされて、すごくカッコ良いなと思って。その時点で自分の将来の夢は歌手だと思って、歌詞を書き始めたんです。小学校の卒業アルバムにも、「将来はRADWIMPSさんみたいな歌手になる」と書きました(笑)。中学生になってバンドをやりたくてメンバーを探したんですけど、結局一人もいなくて。じゃあ一人で出来る音楽はなんだろうと思っていろいろ探していって、好きになったのがレゲエだったんです。それからはレゲエDeejayになることが夢になったんですけど、僕が中2の終わり頃に、兄がラップを始めて曲をYouTubeにアップしたんです。曲を作って、宅録して、YouTubeにアップするなんて、お兄ちゃんはプロやなぁと思って(笑)。それで、兄にラップのやり方を教えてもらって、そこからフリースタイルとかを始めました。その後、高校生になってから『高校生RAP選手権』というラップバトルの番組に出させていただいて、ラップをやりつつ歌も歌いつつという今の状況になりました。

言xTHEANSWER:僕は小学校4年くらいの時に母親とレンタルCDショップに行ったら、マッチョな黒人がこっちを見ているジャケットのCDがあったんですよ。しかも、この黒人、銃弾食らっちゃてるぞっていう(笑)。それは50Centというラッパーのアルバムだったんですけど、周りはアイドルとかを聴いている中でマッチョな黒人を聴いてる俺はカッコ良いんじゃないかと思って(笑)。つまり、ファッションの一部で、どんな音楽かも知らずに借りたのが50Centだったんですよ。で、家に帰って聴いてみたら重低音が鳴っていて、“やっぱカッコ良いじゃん!”っていう(笑)。そうやってラップと出会って、YouTubeで50Centのミュージックビデオとかを探したら、関連動画がどんどん出てきて。それで、いろんな黒人アーティストとか白人ラッパーとかを知っていく中で、日本語でラップをしているMEISOという人にたどり着いた。そこで日本語でラップをしても良いんだということを知って、自分もやりたくなったんです。で、僕の地元はめちゃめちゃ田舎なんですよ。人口が18,000人で、お爺ちゃんとお婆ちゃんしかいなくて、ゲートボールとスィートコーンしかない町で(笑)。

EINSHTEIN:スィートコーンだけって(笑)。

言xTHEANSWER:いや、うちの地元はスィートコーンの生産量が日本一だから(笑)。そんな、めちゃめちゃ畑の真ん中みたいなところで育ったから、誘惑というものが一切なかったんです。恋人ができてもデートに行く場所がないし、プリクラ機すらない町なんですよ(笑)。隣町にギリある…くらいな(笑)。要は、遊ぶことがなかったので、日本語ラッパーに憧れている状態から自分がやる側にまわるのはスムーズでした。周りにラップをやっているヤツはいなかったから一人で見よう見まねでやっていて、SoundCloudとかに自分のラップをアップしても再生回数13回だったという(笑)。そのなかの5回くらいは自分だし…みたいな(笑)。自分が作ったものをもっと沢山の人に聴いて欲しいという野心があったので、高校生になった時に僕も『高校生RAP選手権』に出て、そこで前からこの人カッコ良いなと思っていたEINSHTEINと知り合ったんです。


――言xTHEANSWERさんはJ-POPやロックなどを通らずに、ラップ/ヒップホップ一筋で来られたんですね。では、お互いのラッパーとしての印象は?

言xTHEANSWER:EINSHTEINは、僕より歌うんですよ。僕よりも上手いし。もう歌物をレコーディングする時に一緒にブースに入ったら、死にそうになる(笑)。EINSHTEINはラッパー界隈でトップレベルといえるくらい歌が上手いですね。だから、二人でやる時は、自分はもう全力でラップして、サビのメロディー・パートはEINSHTEINに作ってもらったりとか、逆にEINSHTEINが考えたメロディー・パートに僕が違うメロディーを歌ったりという風に、自分ができることをトレードし合っています。そういう意味で、EINSHTEINは歌が上手いところがすげぇなと思いますね。素敵です(笑)。

EINSHTEIN:僕は自分ではそんなに歌唱力があるとは思っていなくて、本当にちょっと人より歌えるかな…というくらいです。ただ、メロディーを作ることに関しては自信を持っていて、良いメロディーとかキャッチーなメロディーを考えることは俺に任せろというのはありますね。ラッパーとしての言xTHEANSWERはリズム感が本当に凄くて、絶対にリズムを外さないんですよ。どんなプロデューサーであれ、レコーディング・エンジニアであれ、もうみんなからリズム感が凄いと褒められています。それに、歌詞の韻の踏ませ方が本当に上手い。僕も含めて普通は語尾の2文字とかで韻を踏むんですけど、言xTHEANSWERは普通に5~6文字とかで組んでくるんですよ。それで意味が通じるリリックを書くところも凄いなと、いつも思っています。

言xTHEANSWER:そう言ってもらえて嬉しいっス(笑)。リズム感に関しては、それも田舎で育ったことが影響していると思うけど、ラッパーじゃない人にラップを聴かせて凄いと言われるのは韻でも歌でもなくて、速く刻むことなんですよ。「なんで、こんなに口が回るの?」と。だから、僕がすごい早口でラップしても言葉がちゃんと聴こえたり、リズムが良かったりするのは、田舎でラッパーじゃない人にラップを認めてもらいたくて身につけた技術なんじゃないかなという気がします。


▲EINSHTEIN

――でも、それは田舎ということを超えて、ヒップホップやラップに馴染みがないリスナーにも届くラップをしていると言えますよね。

言xTHEANSWER:そう。ヒップホップをどっぷりやっている人は早口否定派とかもいるけど、いろんな層のリスナーにラップを広めていくにあたって一発で分かるカッコ良さの一つがそこなんじゃないかなというのが僕の中にはある。だから、批判する人がいるからといって、自分のスタイルを変える気はないですね。

――そうあって欲しいです。それに、お二人の個性が混ざり合って絶妙なケミストリーが生まれていることもEINSHTEIN&言xTHEANSWERの魅力になっています。では、そういったことを踏まえたうえでデビュー・アルバム『Two Pawns』について話しましょう。アルバムを作るにあたって、テーマなどはありましたか?

EINSHTEIN:大きなテーマとかは特になかったけど、新しいことをしたいという気持ちは二人とも常にあって。そういう意識で制作に取り掛かりました。

言xTHEANSWER:今回良かったのは、ビクターさんからリリースされることが決まっていて曲を作ったわけではないということ。もし決まっていたら、コンビニの店員をディスるような曲は作らなかったと思う(笑)。しかも、そういう曲をビクターさんが受け入れてくれたというのは大きかったですね。その結果、『Two Pawns』には日常の中にあるムカツくことだったり、“どうせ俺とEINSHTEINだと、ゴリゴリにラップしてもアイドルと言われるんでしょう? だけど、そうじゃねぇよ。俺らは元々ソウルはヒップホップだよ”みたいな曲とか、ツラいなと思った時に自然体で作った染みる系といった、二人とも普段は歌わないような曲を入れることができた。今までにはなかった全く新しい自分が詰まっているし、全曲カラーが全く違っているんですよ。そういうところで、100人の人が聴いてくれた時に、全員が“イチオシはこの曲!”というんじゃなくて、この曲も好きだし、これも良いと思ってもらえるアルバムになったと思います。

EINSHTEIN:そうだね。『Two Pawns』に入っている曲は遊び感覚で作ったものが多いし、公開する気はなかったようなものもあって。本当に、僕らの日常のいろんなシーンを切り取った曲達なんですよ。そういうものが6~7曲あったうえで、アルバムとして纏めるために残りの必要なピース数曲をリリースすることが決まった後に作ったんです。そういう流れだったことでミラクルが起こって、バランスの良いアルバムになった気はしています。


▲言xTHEANSWER

――たしかに、いろいろな曲が入っていて楽しめます。歌詞の面でも尖っていたり、強気だったりといった本音の部分をそのまま活かしているのが良いですね。

言xTHEANSWER:メジャー音源だけど、このままいきたいという気持ちがありました。

EINSHTEIN:炎上したりするのを避けるために、もう少し表現をマイルドに…みたいなことを言われるかなと思ったんですよ。でも、そういう声はなかったし、言われたとしても書き直さなかったと思う。もし歌詞を替えてしまったら、アルバムの良さが半減していただろうから。

言xTHEANSWER:リアルじゃなくなるからね。『Two Pawns』に収録されている曲で、僕が特に気に入っているのは「フルボッコ」なんですよ。この曲のリリックは、本音をそのまま歌っているから。この曲は、作った時のことも強く印象に残っているし。僕らはちゃんみなとメチャメチャ仲が良くて、僕が上京した頃に僕ら二人とちゃんみな、ちゃんみなの友達の女の子という四人で、僕の家で遊んでいたことがあって。その時に曲を作りたくなって、ちゃんみなと友達の子をリビングに残して、EINSHTEINと僕は寝室にノートパソコンを持っていって曲を作り始めたんですよ。もうフリースタイルの延長みたいな感じで、30分くらいで書きあげて、その場でちゃんみなに聴かせたんです。そうしたら、思い切り滑って(笑)。ちゃんみなに爆笑されて、「なにこれ? 出すの?」みたいな(笑)。まさか、それがビクターさんから出ることになるとは…というのはありますね(笑)。

EINSHTEIN:「フルボッコ」は僕的にも初挑戦の曲で、ライブで盛り上がれたら良いよね…みたいな感じで、勢いに任せて作ったんですよ。言ってみれば面白半分で作ったものなので、僕ら自身も笑っちゃう部分がある。“なんやねん、このリリック。こいつら、メッチャ小っちぇな!”みたいな(笑)。でも、歌っていて楽しいし、聴いている人にも楽しんでもらえるんじゃないかなと思って。タイトルも含めてEINSHTEIN&言xTHEANSWERのアイキャッチャーとして最適な曲だと思います。


◆インタビュー(2)へ
twitterこの記事をツイート

この記事の関連情報