【4連続対談】9nine 西脇彩華×イジリー岡田、ライブでのトークはどう魅せる?

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■現場で芸人さんから学んでいることは多いかもしれません。心意気とか、取り組む姿勢とか。(西脇彩華)

西脇:イジリーさんはそういうトラブルとか、ありませんか?

イジリー:僕はすごく慎重だから。準備は本当に入念にしてる。

西脇:用意周到タイプ?

イジリー:資料が来て、自分がわからないところは必ず詰めておく。恥をかくのは出ている我々じゃないですか。それで、のちの仕事の量が減るかもしれない。そうならないために、準備はすごくします。心配性なこともあって。

西脇:イジリーさんから返ってくる言葉が全部、私の持っていたイメージと違います。テレビでは、アイドルの私物をペロペロなめ回しているところしか見ないから(笑)

イジリー:でしょう? この前、『ダウンタウンDX』で私生活を暴露するビデオを撮られて、ベロの仕事の前の日はお風呂で練習していることを暴かれました(笑)

西脇:「練習する」って言ってた~。

──ベロの回転数を上げようと?

イジリー:そこは見せたくないじゃないですか。努力を見せたらいけない芸だけど、ベロの大事な仕事をする前の日は、必ず練習します。僕はいいとしても、ベロに恥をかかせられないから(笑)

西脇:本当にストイック。

イジリー:今年で芸能活動30周年。ベロは27歳のときからなので26周年。ほとんどベロで食べているので(笑)

西脇:明けても暮れても練習?

イジリー:それは普通にやってます。でも、「練習しているんだ」と思われると恥ずかしい(笑)「あいつ、またベロでなめてるな」と簡単に思ってほしい。

──アイドルファンにも嫌われていませんよね?

イジリー:それが怖かったんですよ。『アメトーーク!』のグラビアアイドル特集のとき、お客さんは全員、各アイドルのファン。僕はスタジオに行かず、勝手に楽屋に入って持ち物をなめることになっていて、「終わったら着替えないで出る」とマネージャーに言ってました。帰りにファンに殺されちゃうと思ったから(笑)タクシーも用意してもらって、逃げるように出るつもりだったんです。

西脇:そこも用意周到に(笑)

イジリー:だけど、モニターからスタジオの歓声が聞こえてきて、「大丈夫だ」と思いました。ファンはアイドルが私物をなめられて、いつもの笑顔と違う「やだーっ!」となった顔を見て、沸いていることがわかったんですよ。9割方は喜んでくれてました。

西脇:本当にそうだと思います。私たちがイジリーさんの番組に出させてもらったときも、ファンの人に一番反響があったのはそのシーンでした。「ペロペロされて良かったですね」って。「オイ、みんな!」とも思いましたけど(笑)、「何か良いことがあるかもしれませんね」とも言われて。もはや笑いを越えて、ご利益?(笑)

イジリー:そういうふうに言ってくださる方もいます。

西脇:みんな楽しんでますもんね。収録現場で見ていると、イジリーさんは確認に確認を重ねてましたけど、人生で何百回、何千回、何万回と同じことをするわけじゃないですか。私はコントや漫才が大好きで、同じネタでも毎回面白いし、新鮮に見られるのはすごいことだと思うんです。素人だと同じことを2回やるのも難しいのに。私たちもそういうことが苦手でしたけど、芸人さんと収録でご一緒させていただいて「やっぱり練習は裏切らない」というお話を聞いて、実は9nineでもエピソードトークを100個くらい作りました。

イジリー:へーっ。

西脇:放送作家さんとかプロの方に手伝っていただきながら、一時はそういう勉強会もしました。

イジリー:すごいね。アイドルがやることじゃない(笑)

西脇:ライブでそのときの感情のまま話す場面はあってもいいし、そこがライブなんですけど、それだけでなく、トークもダンスと同じように練習して、笑ってもらえたらうれしいねと。「それもパフォーマンスと言うんじゃない?」という話になりました。現場で芸人さんから学んでいることは多いかもしれません。心意気とか、取り組む姿勢とか。

──イジリーさんに改めて聞いてみたいこともあります?

西脇:番組でMCをするとき、台本で流れは頭に入れてしゃべっているんですか? その場で出ている子たちからいろいろ引き出すんですか?

イジリー:とにかく「台本は早めにほしい」というのは、いつも言ってます。それで前の日に全部読んで、いちおう把握して行きます。あとは現場で会話しながら「この子はここまでイジって大丈夫」「この子は正統派だから」と振り分けを見つけていく感じです。

西脇:なるほど。

イジリー:この世界に入って半年くらいの新人ばかりの番組だと、誰一人しゃべらないんですよ。「始まりましたっ! イエーイ!!」と言っても「…………」みたいな(笑)そういうときは、本番中に前説から入ります。「若手時代を思い出す」とか言いながら(笑)。大人数のなかで自分からバーッとしゃべってくる子もいますけど、初めて会って、その日でサヨナラというところで、振っても大丈夫な子を見つけるのは真剣勝負になりますね。

西脇:今のは番組でのお話でしたけど、ライブのときも同じことが言えます。「こうやったら、お客さんに楽しんでもらえるんじゃないか」と思っても、初めて来てくれた人はよくわからなくて、思ったように盛り上がらないときもあって。そこはよく迷いますけど、やっぱり集中力なんですね。瞬時に見極めるというか。

イジリー:東京のライブでも、そういうことがあるの?

西脇:あります。もちろんワンマンライブでは私たちを観にきてくれているから、喜んではくれます。でも、その日しかないものを作り上げていくために、私たちが準備してきたものに乗っかってもらえないと「ちょっと提供の仕方を間違えたかな?」ってなるんですよね。

イジリー:それは歌っているときに気づくの?

西脇:歌っているときもだし、コール&レスポンスやMCのときにも。うまくいったときには「よっしゃー!」ってなります。やっぱり前説というか、説明してあげることはひとつの手なんですね?

イジリー:そうだね。「こういうものなんだよ」というのは言っていかないと。番組では「今日は収録が長くなりそうです」と言ったのが、オンエアされちゃったけど(笑)

──お笑いライブでも、会場の空気への対応は考えますか?

イジリー:お笑いライブの空気は怖いです。ほ~んとに(笑)

西脇:怖いですよね。



イジリー:僕は最初ホリプロにコンビで入って、毎月新ネタでライブに出ていたんだけど、4年半で解散して、次の月も1人で出なきゃいけなくて。コンビから急にピン芸人になってネタの作り方もわからないし、まったくウケない日々が続きました。出る前から怖いし、出ても怖い。でも、毎月スベり続けると、もう平気(笑)ネタをやりながら「岡田、今日もスベっているな」って、俯瞰で見ている自分が出てくるんです。その自分が「スベっても殺されるわけじゃないから」と言ってる。

西脇:その精神は大事かも。「どうしよう? どうしよう?」と思ってたら、それで終わっちゃうんですよね。

イジリー:空回りしていても「平気、平気!」という。

西脇:そう思えるんだ。

イジリー:思えるの。究極までスベると(笑)

西脇:ハハハハ(笑)

イジリー:そのライブには10年出たのかな。もうテレビに出ていて「ライブで苦労することもないのに」と思いながら出ていましたね(笑)いまだにステージの照明の感じも、お客さんの雰囲気も覚えてます。スベるのが怖かったのが、俯瞰で自分を見て「怖くない。大丈夫」と思えるようになりました。

西脇:私たちはアウェイとわかってるステージのほうが良かったりもします。逆に「今日はお客さんが盛り上がっているし、行けそうじゃない?」みたいなときに「頑張っていこうぜー!」と出たほうが、めっちゃスベる(笑)

イジリー:それはあるんですよ。

西脇:だから、期待しすぎない方がいいですよね。

イジリー:そう。お客さんを楽しませる気持ちは大事だけど、心のどこかに逃げ道を作っておくといいかも。

西脇:意外と平常心でできますね。

──じゃあ、今度のZeppライブもそんな精神で?

イジリー:でも、お笑いライブをやるわけじゃないから(笑)

西脇:結構通じるものがあって、学べましたけど。

イジリー:歌と踊りさえしっかりできていれば、保険になるから。というか、お客さんは基本、それを観にくるわけでしょう? 僕はモノマネの番組に20年くらい出てますけど、モノマネはいつもすごく緊張するんですよ。

西脇:エーーーッ!?

イジリー:マネージャーにも、モノマネの営業があるなら最低3ヵ月前には伝えてもらうようにしています。でないと、心がやられちゃう(笑)

西脇:用意周到にも度が過ぎてません?(笑) 3ヵ月といったら、1クール前ですよ?

イジリー:そう。1クール前に聞いてないと、「急に何?」ってなる(笑)

西脇:こんなにモノマネをやっているのに。

イジリー:モノマネに自信がないから。でも最近、高須クリニックの院長のモノマネをして、やっと100%ウケるネタが見つかって、心に余裕が持てました。20分くらいで最初のモノマネがウケなくても、最後に高須院長をやれば必ずウケて終われる。そういう気持ちになれて。

西脇:あーっ!

イジリー:保険がひとつあることで、これまで10何年とやってきたモノマネのショーより、今のほうが余裕でやれる。9nineだったら歌と踊りという、お客さんに完全に見せられるものがあるんだから、たとえしゃべりでスベっても大丈夫と、余裕が持てると思うんだよね。

西脇:今回のライブ、どうして「四つの魅力で」という形にしようと思ったかというと、実は「初心に返って歌とダンスを頑張ろう」というところから始まったんです。今のイジリーさんのお話そのまま。プラス、4人がそれぞれのポジションで付け加えられるものは何だろう? ということだったので、基本はやっぱり4人のパフォーマンス。その気持ちを忘れずにライブをするのが大事だと、改めて思えました。歌とダンスで魅せられたなら、あとはスベってもいい。楽しくやります。

イジリー:そもそも、この前の中野でも、お客さんは「スベった」とか思ってないよ。何を言っても喜んでいた。みんながしゃべってくれることが、ファンにはうれしいから。

西脇:じゃあ、歌やダンスとのギャップを見せられるようなトークをしようかな。

イジリー:パフォーマンスはカッコイイんだもん。

西脇:確かに私たちは芸人さんではないので、そんなに面白いことは言えないし、何を話そうか、正直みんな迷ってます。でも、歌とダンスがあるうえで、そういうMCをやると、色付けにはなるかな。

イジリー:ファンの人にとっては、そのときにしか聞けない会話だから。ライブのあとで食事をしながら「今日こんなことをしゃべっていたね」という。

西脇:そうなりますよね。その会話のなかに、MCの要素が何か入ったらいいな。

イジリー:何かひとつでもね。

西脇:はい。今日イジリーさんのお話を聞いて、改めて自信がついた気がします。

取材・文◎斉藤貴志

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■西脇彩華をピザの具にたとえると?
ネギピザってありましたっけ? じゃあ、ネギです。万能ネギって、ありますよね。そのイメージで。ちゃあぽんはまさに万能。歌もダンスもトークも何にでも対応できる。“ねぎぽん”だと思います(笑)(イジリー岡田)

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<9nine ワンマンライブ 2017 -Quattro Formaggi->

2017年12月26日(火) Zepp Tokyo
18:00 OPEN / 19:00 START
https://ticket.rakuten.co.jp/features/9nine/

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◆<9nineワンマンライブ2017 -Quattro Formaggi->特設サイト
◆9nine オフィシャルサイト

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