【インタビュー<後編>】清春、『エレジー』完成「孤独っていうのは強いっていうこと」

twitterツイート

清春が日本コロムビアTRIADレーベル移籍第1弾として、2作連続アルバムリリースを発表。その1作目となるリズムレスアルバム『エレジー』が12月13日に満を持して世に放たれた。東京・渋谷のMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでの年間66公演に及んだシリーズライブ<MONTHLY PLUGLESS“エレジー”>で創り出した濃密な空気をスタジオレコーディングで再構築した本作は、既存の音楽の枠にとらわれない、清春の人生観や美学がふんだんに詰まった内容となっている。

◆清春 動画

先ごろ公開したインタビュー前編では、“エレジー”が描いたアートやポエトリーリーディングの意図するところについて語ってもらった。結果、浮かび上がってきたものはヴォーカリスト清春の破格さ。後編では、“時代”や“孤独”、“闇”をキーワードに、より深く、清春のパーソナルに迫る。前編/後編、トータル2万字のロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■逆行してるなって感じますね
■このフェス過渡期みたいな時代に

──『エレジー』には、他のミュージシャンの楽曲カヴァーは含まれていませんね。

清春:デビュー25周年ぐらいのタイミングで出したいですね、来年か再来年。レコード会社の人に、「情報量が多いので分けましょう」って言われて。今回はこれと、2月に『夜、カルメンの詩集』を出すっていう流れになったんです。今まで結構いろんなカヴァー曲をカップリングでもやってるんですけど、そういうのをまた違う曲で集めたような作品かな。

──清春さん特有の味付けがたまらないというファンは多いはずですし。

清春:それはもうシンガーとか歌い手としてっていう部分。“この曲を清春が歌ったらどうなるか”みたいなところだと思うんですけど。でも、カヴァーはやっぱりどこか味気ないけどね(笑)。

──そうなんですか(笑)!?

清春:人のカヴァーとかトリビュートには自信あるよ。カヴァー・アルバムを出してるっていうのは、シンガーとしては悪くはないけど、アーティストとしては今回の“エレジー”の側がいいよ。

──今回、ご自身の曲をカヴァーしているという意識が働いたりはしたんですか?

清春:セルフカヴァーってこと? あんまないね。

──聴く側としては、原曲ももちろん知っているわけだし、それと聴き比べた時に、詩の見え方とか聴こえ方が違ってくるようなところが面白かったりしたんです。

清春:うーん。そうですね。まあ、若干、原曲と歌詞を変えてたりはするんですよね。ポエトリーリーディングでも、ちょっと言葉を変えてる。それ以外でもはやカヴァーっていう感覚はないです。もう“題材”という。

──なるほど。“題材”を操って、今の自分を表現するというような。

清春:“原作のある映画”って感じですかね。そういう映画って、監督によって、良くも悪くもすごく変わっちゃう。たとえばバンドが復活して、ライヴを観に行って、楽曲が思いっきり変わっちゃってると、悲しい人いるじゃないですか。

──ありますね、そういうこと!

清春:僕もそういう時あるよ。曲によってはね。“えっ! これはこのままでやってほしい!”っていう。その気持ちも十分わかりつつ、今回は“エレジー”っていう題材を実演したっていう。“あのステージで取り扱ってる題材なんで、ご勘弁を”と(笑)。

──ははは!

清春:普通のライヴでは昔の曲はなるべく普通どおりにやろうと思う時あるんですけど、今回はちょっと。

──原作と向き合う監督だったり、指揮者や主演役者としてもステージの上に立つわけですから、“いったい一人何役やってるんだ!?”という感じです(笑)。

清春:脚本っていうか、作詞の部分では、もう同じなんですけど。ちょっと言い回しを変えるっていうところでやってるのかなって感じはする。ポエトリーリーディングに関しては、思いっきり変えちゃってるわけでもない。まぁ歌ってないから歌詞しか残ってないというだけで。

──伴奏にのせて、言葉を泳がせるというか。

清春:難しいですよね。レコーディングに入って歌ってる時から、“時代と逆行してる”って気がしてて。なんなら、この<エレジー>公演をやってる時から。今のこの瞬間にもすごく逆行してるなって気はしてる。

──今の日本のトレンドに乗るのではなく、我が道を行くというか。

清春:その曲の聴こえ方も特徴も、バンドでやるかソロでやるかってことも、すごく逆行してる。フェス向きではないな、とか(笑)。

──確かに(笑)。

清春:そんな気がします。ただ、そういうことをやる人がいたほうがいいなって気もして、地味ながらもやってます。自分の人生的にはすごくやり甲斐あるなって。今回の作品、特に説明が難しい。僕、思うんですけど、最近でいうと、普通の人たちにとって時代はコラボじゃない? コラボっていうこと自体がもう単数じゃないんだよね。単数と単数が集まって、複数になった面白さ。バンドには最初からこれがあるじゃないですか。なんか全然もう、逆行してるなって感じますね。このフェスの過渡期みたいな時代に。

──なるほど。

清春:もうフェス自体がいろんなバンドを集めてメンツがどうかって時代じゃないですか。海外ではそれが昔から普通なんですよ、昔からあったこと。日本ってやっとこの20年ぐらいでそれがビジネスとして成立して、CDが衰退していって……。そういうお祭りで知らないうちにお金を儲ける、みたいな時代になってきた。そんな中この『エレジー』はすごく逆行してると思いますね。超逆行。

──納得です。

清春:でもそれは、裏返すと自分のやってることに自信があるって意味なんですけどね。まあ、自信がなければみんなメインストリームのほうに合わせるんだと思うんですよ。やり方的に。

──メインストリームに寄り添いながら、自分の力を発揮できるところを探す、と。

清春:そうですね。共通項の多いほうに行くと思うんですけど。ハッシュタグみたいなもので。Instagramでいうと、“#ラーメン”みたいなさ。ラーメン載せると“いいね”が増える、みたいな。だけどアートというのは、多分そういうのではないとは思うんよね。

◆インタビュー(2)へ
twitterこの記事をツイート

この記事の関連情報