【インタビュー】TRIPLANE、温かみと煌びやかさを湛えた楽曲を軸に新たな顔を見せるアルバム『1/4802のすべて』

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■メンバーが何ができるかというのはもう明確に分かっている
■だから、兵衛は音楽以外のことはやめて欲しいんです(笑)


――続いてプレイに関する話をしましょう。それぞれ今作を録るにあたって、プレイ面や音作りなどでこだわったことは?

広田:今回も作詞/作曲に関しては兵衛が中心ですけど、スケジュールとかはメンバー4人で決めていったというのがあって。つまり、役割分担がしっかりできていたんです。これだけ長く一緒にバンドをやっているからこそ、こいつは何ができるかというのはもう明確に分かっているんですよ。だから、兵衛は音楽以外のことはやめて欲しいとか……。

川村:やめて欲しいって(笑)。

武田:音楽以外のことは無能みたいじゃん(笑)。

江畑:まぁ、否定はできないけど(笑)。

広田:いや、そういう意味じゃなくて(笑)。周りのことは僕らに任せて、兵衛には音楽に集中して欲しかったんです。そんな風に各々がやるべきことがはっきりしていて、それと同じように自分が今回のアルバムで叩くべきドラムは明確に見えていた。「アンブレラガール」とかはちょっと特殊ですけど、他の曲に関しては表立って主張することのない、楽曲に寄り添ったドラムということを最重視しました。そもそも15年前にTRIPLANEを組んだ時に自分がどういうドラムを叩きたかったというと、めちゃめちゃロックなことがやりたかったわけではなくて。僕がイメージしたのは、美しいメロディーの後ろでさり気なくドラムを叩いている。でも、やっていることは地味にかなり難しいというスタイルだったんですよ。それが、僕がずっとこのバンドでやってきたことで、今回はその最新形といえるドラムになっています。「サクラのキセツ」とかは、如実にそれなんですよね。自分のスタイルを突き詰めてきたからこそ、サウンドとかフィルはもちろん、一つ一つのゴーストといったところにまで気を配れるというのがあって。パッと聴くと簡単に感じるかもしれないけど、奥の深いドラムになっているんじゃないかなと思います。


――たしかに。それに、ドラムは普通にビートを刻むのではない“パターン系”の多用やループと一体になってリズムを作るアプローチなどが印象的です。

広田:パターン系は叩いていて楽しいし、楽曲の世界観をより深められるというのがあって。なので、使用頻度が高いですね。ループを使う場合は兵衛と話をして、生ドラムとループの割合をちゃんと決めるようにしています。「星空のメリーゴーランド」とかはループ主体の感じにしようとか、「浴衣の君」はループと生ドラムを区別したいから、わりと自由に叩いて良いよとか。そういうことを兵衛に聞いて、そのうえでどういうアプローチを採るかを考えるようにしました。

武田:ベースに関しては、TRIPLANEはいつもそうですけど、楽器隊がレコーディングする段階で歌メロが決まっていることはほぼ無いんですよ(笑)。

――えっ、本当ですか?

広田:本当です(笑)。

武田:だから、他のバンドマンに、よくそれで録れるねと言われます。そういう意味では、今回のベースもいつも通りでした(笑)。メロディーがないことにはもう慣れてしまっているので、デモを聴いて自分が感じたままのものを弾く。レコーディング当日に、それを兵衛に聴いてもらって、そこからディスカッションしていくんです。といっても話し合うのはフレーズでのことではなくて、8割くらいは音符の長さですね。音符の長さによってグルーブはかなり変わってくるから兵衛はそこにはかなりこだわっていて、僕も兵衛のお陰でいろいろ勉強になっています。兵衛は、うるさいんですよ(笑)。普通に弾くと、置きにいくなと言うし。ソツのないベースを弾くんじゃなくて、僕らしさを出して欲しいと。でも、それは大事なことなので、常に意識するようにしています。フレーズに関しては、デモと違うフレーズを弾いてもそれで良いよと言われることが多くて、どんな風になるのかは分からないけど、じゃあこれで…みたいな(笑)。でも、歌が乗ってあがってきたのを聴くと、めちゃめちゃマッチしていることが多いんですよ。そういう時に、俺はさすがだなと思います(笑)。

▲Ba.武田和也

一同:アハハ(笑)。良いね、自画自賛(笑)。

武田:ただ、それはみんなも言ったように、このメンバーで長年一緒にやっていることがデカいのは間違いない。もし自分がベースを始めて1年とかだったら、多分どの曲も弾けていないと思います。今回の曲のベースで印象が強いというか、録るのに一番時間が掛かったのは「浴衣の君」でしたね。この曲は自分で考えてきたベースを弾いたら兵衛にデモを聴かされて、ここのパートをスラップでやって欲しいと言われて、“えっ、こういう曲調でスラップ?”みたいな(笑)。

江畑:迷ったんですけどね。スラップはサウンド的にインパクトがあるから、僕としては欲しいけど、曲に合うのかどうかというのがあって。でも、武田にやってみてもらったら良い感じにハマったので、活かすことにしました。

川村:あのスラップは、すごくカッコ良い。ギターは、今までは自分を出そうということをすごく考えていたけど、今回は逆にそぎ落とす方向で考えました。それこそギターがなくても成立する楽曲であれば、弾かなくても良いくらいな。洋楽とかを聴くと、すごくシンプルなギターでも成り立っていたり、絶妙なエッセンスを醸し出していたりする曲も多くて、自分もそういうギターを弾きたいなと思ったんです。そのためにはギターが薄くても成り立つ楽曲じゃないとダメだというのがあるけど、TRIPLANEはちゃんとそういう曲を作っているから、広田のドラムと同じようにギターも主張しなくても良いかなと思って。なので、今回はどの曲も本当にちょっとしたアクセントやフックになるものがあればOKというところから入っていきました。

――楽曲に溶け込ませたうえでリードギターらしいリフや単音を弾いているパートが多いことが印象的です。

川村:うちのバンドは兵衛が結構ギターを弾くので、ベーシックなバッキングとかは彼に任せられるんですよ。それに対して自分はどういうものを弾くかということを考えるので、たしかにシンプルといってもコードを鳴らすだけみたいな曲は少ないですね。

――ただ、ギター録りの段階では歌メロがないわけですよね。そういう状態で効果的なリード・プレイを考えられるというのが不思議です。

川村:そこに関しては、僕はコードに沿ってフレーズを考えるんじゃなくて、キーに対して考えるようにしているんです。そうすると、どんなメロディーが乗ってきたとしても合いやすいんですよね。ただ、今回は作業の効率を良くするために、可能な範囲でメロディーをもらうようにしました。僕の中で特に手応えを感じたのは、「はじまりのうた」とかかな。この曲は間奏とかも含めて普通にアプローチするとU2みたいになってしまって、それは面白くないなというのがあって。なので、ファズとかを使ってゴリッとさせて、バンドっぽさを出すことにしました。


▲Gt.川村健司

――正解だったと思います。いわゆるギター・ソロではなくて、インパクトの強いフレーズを弾いている間奏も効果的ですし。

川村:間奏はメロディーを弾いているギター・ソロとテーマを弾いているパターンのどっちが良いかを兵衛に聞いたんです。そうしたら、テーマを繰り返したほうが印象が強いと言われて。僕自身もこの曲はギタリストとしていくよりも、バンドで攻めるほうが映えるんじゃないかなと思っていたので、迷うことなくテーマを弾く方を選びました。

江畑:歌は……これもおかしな話ですけど、僕は自分の声があまり好きじゃないんですよ。でも、良いなと思う部分もあって、それが今までの作品の中では一番出せたかなと思います。それは、低い音域の声で、今までは低音の出方がどうしても嫌だったんです。今回は低音域の歌が良い感じになって、シンガーとして一番納得いっているのはそこですね。

――深みのあるローボイスに加えて、内面のひたむきさが伝わってくるハイトーン・パートも魅力的です。

江畑:僕は、テクニックがないんですよ(笑)。だから心で歌うしかなくて、それがひたむきな感じに聴こえるんだと思います。自分の中では、もっとテクニック磨くということが今後の自分の課題だなと思っているんですよね。

――どうなんでしょう。表現するうえでテクニックは絶対的に必要ですけど、江畑さん特有の少年っぽさが消えてしまうのは淋しい気がします。

江畑:そこは大丈夫だと思います。テクニックを身につけたとしても、歌というのはテクニックだけで終わるものではないことは分かっているから。今回の自分の歌で印象が強いのは「ラブソング」とか「浴衣の君」「Evergreen」辺りかな。「Evergreen」は、たまたま1曲通して心地好く歌えるレンジの音域だったから楽しく歌えたし、録りも早かったんですよ。ニュアンスとかで苦労しつつ上手く落とし込めたのが「ラブソング」とか「浴衣の君」という感じですね。「ラブソング」みたいな曲は今までにも沢山あったからスンナリいくだろうと思っていたけど、歌詞に込めている気持ちとかもが違うし、オケの感じとかも違うから、今まで通りサラッと歌うと成立しないなということになって。それで、深く振り下げ直して歌ったんです。

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