【連載】中島卓偉の勝手に城マニア 第66回「白石城(宮城県)卓偉が行ったことある回数 1回」

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伊達の重臣、片倉氏の城、白石城である。思い返せば1995年(だったと思う)中学卒業とともに上京して2年目、タコ部屋で新聞配達をしながらバンドをやっていた私はいつものように朝新聞を配っていた。そこに「白石城天守木造復元」という記事に目がいった。よく読むと、江戸時代の絵図、そして寸法から細かいデータがしっかりと残っていることで完全なる復元が可能だったという。高度急成長の時に外観復元や復興天守、模擬天守という一番最悪な建造物が建てられてしまい、歴史がちゃんとした形で伝わらずに来てしまっていた中、このニュースは城マニアにとって最高の喜びであった。掛川城しかり、大洲城しかり、やっぱり木造復元でしょ。復元するならこうじゃなきゃいかんぜ。時が経ち、ずっと来城したいと思っていたがなかなかタイミングがなく、でも今回、2017年11月、仙台でツアーファイナルを控えた前日にツアーの機材車で東北道を飛ばし、メンバーとスタッフに付き合ってもらっての来城が出来た。想いを馳せて20年以上。念願叶っての白石城である。




城主は蒲生氏、上杉氏、そして伊達氏、最後は片倉氏、端折ればそんな感じだ。1590年代から1600年の初頭にものすごいスピードで歴史が動いた頃、この白石城も運命がコロコロと変わっている。江戸幕府になり、日本中の武将達は一国一城令を余儀無くされる。要は自分の領地に城は一つしか建ててはいけないという指令である。だが伊達藩は、というか伊達政宗公は徳川家康から一目置かれていたこともあり、例外として自分の領地にもう一つ城を建てることを許可されていたのである。伊達の支城として機能していた白石城に、政宗公は幼少の頃からの側近である家臣、片倉小十郎にこの城を託す。城を持たされるというのはよっぽどの信頼感である。ここから幕末までの約260年片倉氏の居城となったわけである(伊達の本城はもちろん仙台青葉城である)。



当時は本丸を石垣で囲み、大きな本丸御殿、そして大きな二の丸、たくさんの曲輪、高さのある土塁、それを全方向に水掘が囲み、支城とは思えないほどの風格であったが、幕末にそのほとんどが解体されてしまう。残ったのは土塁のみという状態だったところから復元の話が持ち上がり、石垣から復元したんぞという素晴らしい計画のもと、あれよあれよと天守まで木造復元に。素晴らしすぎる。この天守も幕府に遠慮して「三階櫓」と呼ばれていたが大きさからも本丸の一番目立つコーナーに建てられたことを考えると完全に天守である。現在は天守の下にある大手二階門と菱御門も復元されている。面白いのはこの大手二階門から巽櫓があったコーナーまでが流線型になってカーブしていることだ。日本の城は基本的に角と角を繋ぐ四角を縄張りにして作るのに対し、こういったデザインはとても斬新だ。本丸はこの部分だけがカーブになっており、後のコーナーは四角く折れている。ここの石垣を幕末の時に全部撤去したのだから相当な作業だったと思うが、壊さなきゃいけない政治や歴史が当時はあったのだろう。しかし現代になり、だけどもう一度、それでももう一度白石城をという市民の想いが繋がり、歴史が戻って来たことを考えると実に感慨深いものがある。正直に言えば幕末の撤去によって城の面影はほとんど失われてしまっていた白石城だったが、そこに完全なまでの復元をした天守と門が二つ完成。そのギャップ感が凄い。やはり注目すべき点は三階櫓の内装だ。まず天守入り口に付けられた石段、そしてそこに石段を登るのに雨に濡れてはいかんとして付けられた屋根、ここに萌える。日本の天守台にもこういった石段が付いてる場合があるが、考えてみたら雨を凌ぐ為に屋根が付いていてもおかしくないわけで、もしかするとどんな城も石段の上はこういった屋根伝いになっていたんじゃないかとイマジンするとたまらない。天守は武器庫として使われていたそうだが、中はとても広く、三階櫓にしちゃでか過ぎるほどだ。この時代にお約束の急な階段も健在。最上階は手すりになっていて外に出れる。木の床も滑りが最高で、私は思わずライブでやるパフォーマンスの一つである股割りをキメてしまった。すべすべした木のフローリングは股割りをしないわけにはいかない。今までも松本城、掛川城、上田城、高知城、松山城、備中松山城、弘前城、犬山城、二条城、金沢城、丸亀城、姫路城、などの天守や櫓や御殿などでいつも股割りをしてきた。ほとんどでやってんじゃねえか。二条城だけは怒られた。伊勢丹の階段の踊り場でも毎回やっている。外で中島卓偉を見かけた時にキョロキョロしていたら、それは股割りをやるにあたり、誰も見てないところで股割りをキメたい、そのタイミングを見計らっているところである。



白石城の天守内では観光客用に鎧を着て写真を撮れるサービスがあり、外国人の観光客が群がっていた。せっかく我々も大勢で来たんだし、観光の思い出としてちょっとやってみるかということになり、メンバーのベーシスト鈴木賢二さん、ギタリストの生熊耕治さん、そしてローディーの伊藤直樹さんが鎧を着ることに。係のおじさんやおばさんに着付けをその場でしてもらい、写真も撮ってもらえるというシステム。我々は大はしゃぎ。一つ面白かったのはここの係のおじさんやおばさんが、我々に対して「どこの国の人?」と聞いてきたことである。確かに鈴木賢二さんは沖縄の血も入っていて外国人っぽくもありスペイン人に見えなくもない。生熊耕治さんは韓流顔負けのアジアンイケメンと言えなくもない。ローディの伊藤さんは移動日で若干髭を生やしていたこともあり、目も薄茶色、色白、鍛え抜かれた厚いボディーのおかげでイタリア系アメリカ人、シルベスタ・スターローン、いやロッキー・バルボアに見えたかもしれない。確かに生卵を8個余裕で一気飲み出来そうだ。ちなみにバルボアは5個である。どうでもいいわ。


そもそも入り口でチケットをもぎる時に私が、領収書をお願いしますと言うと、ここの係りのおじさんも「日本語上手いね!」と言ってきた。え?日本人ですよと返すと、「本当に?外国人のツアーじゃなくて?」とマジな顔で言われてしまった。領収書の宛名は中島でお願いしますと伝えると「出る頃までに書いておきますので後でお渡しします」とおじさん。横に立っていたもう一人の係りのおじさんと空の領収書をなびかせ何かヒソヒソ話ている。その後鎧を着たメンバーと楽しく撮影していたら、間も無く閉館ということもあり、さらに係りの人が現れ片付けを始め出した。いつまでもだべっている私たちを早く追い返そうと「撮りましょうか?」と言ってきた。が!その度に「どこの国から?」と聞かれる。これはどうやら冗談じゃなくマジでそう思って言ってきてんなと判断。確かにマネージャーの砂田の滑舌の悪さが広東語に聞こえたかもしれない。そして出る時に、頼んでおいた領収書をいただけますか?と聞くと「はいはい!書いておきました」と渡してもらえたが、渡された瞬間に言われたのが「アルファベットでNAKAJIMAじゃなくていいんですよね?」とマジな顔で言われた。私が日系人にでも見えたのだろうか?確かに我々も普段着とはいえそこそこ派手な格好もしていた気もする。私はものもらいが出来ていてずっとサングラスをしていた。でも外国人なわけねえしな。仕方なく、僕の先祖は伊達藩の家来の中島なんですよと告げると「伊達の家来って中島宗求さんの?中島?」そう!それです!さすがに詳しい係りのおじさんだった。「この白石城も伊達の家来の片倉さんの城なの知ってた?」もちろんです。「一国一城令の時代にも関わらずこの城は幕府から例外で認めらていた城なのよ、知ってた?」知ってました。もちろんです。「ああそうか〜詳しいねえ〜そりゃ本当の日本の中島さんだわ〜ハハハ〜」おじさんはどうしても外国人と思いたい、外国人に寄せたいらしかった。勝手に私の国籍を弄ぶのもいい加減にしろ。

おじさんは続けた「何年か前にさ、大河ドラマで伊達政宗やってたでしょ?あの時にしっかり中島の宗求さん出て来るよね?知ってた?」知ってます。何年か前って30年近く前でしょ?と言うと、「いやいやそんな前じゃないよ、う〜ん12〜3年くらい前?」え?渡辺謙さんが主演のやつですよね?「そう!そう!それ!」それだったらやっぱり30年前ですよ。「そんな前じゃないでしょ〜!」爺さんになると随分前のことが最近の話になってしまうので私も気をつけたい。

余談だがこの1987年に大河ドラマで放送されていた伊達政宗のキャストは今思えばすごかった。主演政宗役に渡辺謙さん、秀吉役に勝新太郎さん、父役に北大路欣也さん、母役に岩下志麻さん、嫁役に桜田淳子さん、片倉小十郎役に西郷輝彦さん、家康役に津川雅彦さん、秀頼役に陣内孝則さん(福岡に住んでいた私はTHe ROCKERSの陣内さんがこういう時代劇に出ていて凄いなと思っていたが、同時にマクドナルドのチキンタツタのCMに出られていて、それを見た兄貴は、魂売ったなと言っていたことを急に思い出した)などなど今じゃ考えられないキャストだった。親父が毎週食い入るように見ていたことを思い出す。そこで登場する中島宗求さんが政宗公の側近じゃなく側近で書記をやられていたと親父が教えてくれた。中島の先祖代々の墓は仙台にある。中島家は伊達家様々なのである。いやしかしまたこの伊達政宗の再放送を求む!子供ながらに素晴らしいと思って私も見ていた。

最後に白石城の中での話に戻そう。撮影が終わりメンバーが鎧を脱ぐ時に係りの人が言ったことを私は聞き逃さなかった。一人の係りのお姉さんが伊藤さんの背中に向かって「where are you from?」と小さな声で聞いてきたのを。

あぁ 白石城、また訪れたい…。

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