【ライヴレポート】BAROQUE、ツアー最終日にみた未来「笑顔で待ってて下さい」

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BAROQUEが12月25日、東京・ディファ有明にてツアー<BAROQUE TOUR「ALL OF THE LOVE, ALL OF THE DREAM」>のファイナル公演を開催した。同ステージのオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆BAROQUE 画像

各会場ごとにBAROQUEと所縁のあるゲストプレーヤーを招き、2人体制になって以降あまり演奏していなかった曲を次々とプレゼントしてきたのが今回のツアーだ。そのファイナルはBAROQUEのみの単独公演。目の前に広がるのは、アルバム『PLANETARY SECRET』を作った頃からずっと思い描いていた自身初の“円形ステージ”。ディファ有明で彼らが表現してみせたのは『PLANETARY SECRET』の集大成だった。

ツアーで訪れた全会場の想いをつなぐように、ディファ有明の入り口には各地のファンがメッセージを書き入れたターポリン幕4枚が並べて飾られていた。客席の真ん中に設置された巨大な円形ステージはまるでUFOのよう。オーディエンスがそれを取り囲み、さらに円形ステージの後方には横長のLEDパネルまで入れた特殊な会場構成から、本公演にかける並々ならぬ熱意が伝わってくる。


19時を過ぎた頃に場内が暗転。ライブは「CELEBRATE」で幕を切った。ボーカルエフェクトをたっぷりかけた怜の声、星空とコンタクトをとるように伸びていく圭のギターサウンド。神聖で厳かな雰囲気のなか、光源が輝き出して真っ白い宇宙空間が会場いっぱいに広がっていく。「PLANETARY LIGHT」「DREAMSCAPE」では、バロッカーたちが手首にはめた赤/白のLEDリングをオン。すると、それらが宇宙に散った星々に見えてくる。楽曲の持つイメージに統一されたステージは圧巻だ。

「どう?このステージ。宇宙船みたいでしょ? ライブ終わったら飛んでいきそう」──怜

とステージを自慢気に話した怜がギターを持ち、「BLACK BANE」「メロウホロウ」というロックチューンで暗闇を切り裂いていく。続く「SKY WALKER」が、この異空間で威力を発揮。怜の声には再びエフェクトが施され、その歌声、各楽器の音像、そこに美しいライティングが加わって、幻想的な浮遊感を演出。歌詞に描かれた“ワンダーランド”へと誘った。


ライブは中盤まで『PLANETARY SECRET』収録曲を続けて披露。リリース前から、同アルバムの世界観は徹底してモノトーンのコントラストで表現してきたが、ツアーやライブを重ねてバロッカーたちの思いを受け取った結果、変化を遂げた。今、BAROQUEが描く『PLANETARY SECRET』は、ハイライトに輝く世界へ。このステージで表現されたのは、そんな想いだったに違いない。中盤、2人によるアコースティックバージョンで届けられた「キズナ」「ORIGINAL LOVE」。アルバムリリース時には表現されることのなかった温もりを柔らかく豊かな音色で伝えていった場面は、まさにそれだ。

「魔女と林檎」から口火を切った後半は、ステージとオーディエンスが一体となるナンバーを次から次へと連発。そのつながりの先に彼らが“見つけた”と確信したものがあった。それが最も顕著に表れたのがリリース時にはなかった「YOU」の存在だ。この曲を本編ラストにプレイすることで彼らは、“君たちに会えて陰影が強かった『PLANETARY SECRET』の世界がどんどん光に満ち溢れていったんだ”ということを伝えた。宝石のようにキラキラ輝く夜景を写したLEDをバックに、無数の真っ白いサーチライトでオーディエンスを照らしながら。

とびきりブライトでダンサブルな「PLAY」から始まったアンコール。「何千何万何億の君への想い」「teeny-tiny star」に続いて、大量のピンクの花吹雪が場内に降り注いだ代表曲「GIRL」へ。これらファンタジックな楽曲と演出がすべてをピュアに塗りつぶしていく。ツアーを締め括るナンバーはアルバム『PLANETARY SECRET』の始まりの曲「MEMENTO」。光に満ち溢れた世界にBAROQUEの未来を感じさせてライブが終了した。しかし、心揺さぶる感動的な演奏に観客の拍手が鳴り止まない。これに応えるように予定になかった「PLANETARY LIGHT」を再度演奏して、ツアーが幕を閉じた。


なお、アンコールのMCでは、彼ら自身から2018年のBAROQUEについて語られる場面があったので記しておきたい。

「『PLANETARY LIGHT』を作って2年半──。BAROQUEが2人になって、それでもやる意味あるの?っていうところから、やっと『PLANETARY LIGHT』を作る気持ちが生まれて。応援してくれたファンが離れちゃうかもしれない、コアな人やアンテナはってる音楽ファンにしか届かないかもしれないって思って作ったものが、その間に奇跡みたいなことや出会いがあって。今はあの頃夢みてた、円形ステージも叶うぐらい大成功した。そこに俺たちものせられそうになるんだけど、ここはちゃんと軌道を戻して。『PLANETARY LIGHT』を作るとき、怜と2人で「時間がかかってもいいから、納得しないものはやらない」って約束したんだけど。その原点に戻って。来年は新しいライブの予定は入れてなくて。アルバム作るのに専念して、作品作りに集中しようと思う。たくさんいい曲できてるし、まだまだたくさんやりたいこともあるので。よろしくお願いします」──圭

「そのためにも、ちょっと充電するね。会えるのがいつになるのかはまだ分からないけど、言えるのは“笑顔で待ってて下さい”ってこと」──怜


この発表を聞いて、悲痛な叫びをあげる観客は一人もいなかった。このライブを通して、BAROQUEの未来が決して暗いものではなく、ファンタジックでブライトなものであることを確信していたからだろう。新たな世界観をBAROQUEが届けてくれるその時をお楽しみに。

撮影◎Jun Tsuneda/TAKAO OGATA

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