BTSとTWICEが世代交代の荒波を制して2017年K-POPシーンの頂点に【新春企画】

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2017年の韓国の音楽シーンを振り返ると、男子はBTS(防弾少年団)、女子はTWICEが目立った1年だったと言えるだろう。またチャートの常連になるアイドルたちの新陳代謝もおこった。



だが男子と女子では状況が異なる。男子に関しては、BTSとEXOの戦いだった。それまでEXOの一強だったが、2016年にBTSが「Blood Sweat&Tears」で対抗馬に名乗り出ると、Mnet Asian Music Awards(MAMA)の大賞の一つである「今年のアーティスト」を受賞した。韓国の3大芸能事務所であるSM、YG、JYP以外に所属するアイドルが受賞したこともあり、大きな印象を与えた。


BTSは2017年もその勢いを維持した。その要因の1つに彼らがアメリカで評価されたことを挙げることができる。BTSはメンバーたちの強い意向で、常にアメリカの最新トレンドを楽曲に取り入れている。「Blood Sweat&Tears」もトラヴィス・スコットやフューチャーなどのサウンドに強く影響を受けた楽曲だった。アメリカには韓国系の移民や、留学生も多いので、それらが相まってアメリカでも高く評価された。この流れはEXOの楽曲にも波及し、『THE WAR』ではそれまでのダークなダンスミュージックからUS路線のサウンドにシフトした。BTSは9月に発表した新作『LOVE YOURSELF 承“Her”』でエド・シーランを意識したUSの最先端サウンドを取り入れたことで、韓国内外で高い評価を得た。


女子については、明快にかわいいTWICEと、コンセプチュアルなRed Velvet、クラブ仕様のBLACKPINKというガールズグループたちが三つ巴の拮抗した戦いを繰り広げていた。この3組については、ビジュアルも、実力も、楽曲クオリティもほぼ同等だろう。TWICEに軍配が上がった要因は、単純に一番キャッチーだったからに他ならない。



BTSとTWICEは日本進出にも成功した。前者は女性誌の表紙を多数飾り、後者はなんと「NHK紅白歌合戦」に出演した。2つのグループが優れていたことは紛れもない事実だが、それ以上に大きかったのは、日本でK-POPを受け入れる土壌が完全に出来上がったことだ。東方神起、BIGBANGにはじまり、SUPER JUNIOR、少女時代、SHINee、2PM、そしてEXO、WINNER、iKONらに至るまで、さまざまなアーティストが長い年月をかけて、価値観の異なる日本で韓国アイドルのクオリティを提示し続けたからこそ、BTSとTWICEがここまで大成功したのだ。



韓国の音楽チャンネル・Mnetが企画制作したオーディション番組「PRODUCE 101」の存在が際立っていたことも挙げるべきだろう。複数の芸能事務所から101人の練習生を募ってサバイバルさせるこの番組は、2016年にシーズン1が放送されてガールズグループ・I.O.Iを誕生させた。2017年はその男子版。練習生をさらにいじめ抜く番組構成は、今回も視聴者を巻き込む大きな話題を作った。その意味では、悲喜こもごもあって生まれたボーイズ・グループ・Wanna Oneも2017年を代表するグループと言っていい。また番組で脱落した練習生が既存グループの新加入メンバーになったことも多く、それが「PRODUCE 101」をさらに盛り上げる要素にもなった。


また2017年はメンバーが入隊中のため1年を通じて完全体で活動できない男子グループ、さらに契約問題で解散もしくはメンバーが脱退していまう女子グループが目立った。それらが、東方神起、SUPER JUNIOR、BIGBANG、SISTAR、少女時代といった2000年代半ばにデビューした大物アイドルたちだったので、シーンの世代交代を印象付けた。現在のK-POPシーンはBTS、TWICE、EXOを頂点に、何層かのレイヤーで構成されている。前述したRED VELVET、BLACKPINK、Wanna Oneのほかにも、GOT7、Block B、VIXX、SEVENTEEN、WINNER、iKON、GFRIEND、EXIDといったグループが王座を狙っている格好だ。2018年はこの中から、BTSらの挑戦者が生まれるだろう。さらにSM、YGという巨大事務所がこの惨状を放っておくとも思えないので、彼らの次の一手にも注目したいところだ。






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文◎宮崎敬太

◆【新春企画】2018年を占う 最新音楽事情
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