【ライブレポート】VANIRU、新たなる挑戦の予兆を感じさせたワンマンライブ

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ギタリストの脱退により活動を休止していたVANIRUが、復活を告げるライブを表参道WALL & WALLで行なった。同公演はLEONEIL(vo)がGARIのフロントマンYOW-ROW(ヨウイチロウ)を迎えたコラボレート・ライブとして開催。LEONEILの揺るぎなさやVANIRUの新たな魅力を感じさせる特別な一夜となった。


海外に拠点を置いた初期の活動を経て、2015年から国内でのスケールアップも順調に果たしてきたVANIRU。良い波に乗っていると思えたが、彼らは2017年に入ってからYUTO(g)の解雇に伴う活動ストップというアクシデントに見舞われることになる。VANIRUはLEONEIL(vo)とYUTOの2名によるユニットだったため、このまま終わってしまうのでは…という不安を抱いたリスナーも多かったと思う。しかし、2017年の秋になってLEONEILがGARIのYOW-ROW(ヨウイチロウ)とコラボレーション・ライブを行うことがアナウンスされた。嬉しいニュースであると同時に、ギタリストではなくてYOW-ROWとのコラボレートということからは、LEONEILが“新たなVANIRUのあり方”を目指し始めたことがうかがえる。「これは観ないわけにいかないでしょう!」ということで、【COSMIC ROMANCY】と銘打たれたスペシャル・ライブが行なわれる表参道WALL & WALLへと足を運んだ。


DJ KO KIMURAによるトランスティックなオープンDJがライブの始まりを告げるSEに引き継がれ、ステージにLEONEILとYOW-ROWが姿を現した。客席から熱い歓声と拍手が沸き起こる中、ライブはアッパー&デジタリックなミディアム・テンポの「LOVE AGAIN」からスタート。妖艶さを振りまきながら深みのある歌声を響かせるLEONEILと、クールな表情でサウンドを紡いでいくYOW-ROW。ステージに立っているのはLEONEILとYOW-ROWだけで、ステージセットなども一切ないという状態でいながら圧倒的な存在観を放って強固なVANIRUの世界を創り上げる辺りはさすがの一言。突然そこに異空間が表れたような不思議な感覚を味わせてくれた。

その後は、そこはかとなく漂う'80Sニューウェイブの香りが印象的な「DEAD OR DACE」と「L’Abime」を続けてプレイ。エッジィかつ重厚なシーケンス・サウンドとエモーショナルなボーカルのマッチングは独自の心地好さに溢れているし、エレガントさと“尖り”という相反する要素を兼ね備えたLEONEILには目を奪われずにいられない。さらに、スタイリッシュな立ち居振る舞いでサウンドを緻密に操り、安定したコーラス・ワークを行うYOW-ROWも本当に魅力的。華麗なオーラを放つ2人と高揚感を湛えたサウンドに牽引されて、場内の熱気はどんどん高まっていった。


「この夜をひとつのRomancyにすることを誓います」というLEONEILの言葉に続くセカンド・ブロックでは、ダークな「月詠ミ」や、パワフルにロールする「Who am I,Pictures of Ghost…」、LEONEILとYOW-ROWのツインボーカルをフィーチュアした「柘榴」などが演奏された。1曲ごとに表情を変える構成でいながら散漫になることなく、強くオーディエンスを惹き込む辺りは見事。それに、LEONEILの歌声は、本当に素晴らしい。ローボイスを多用することは彼の特徴の一つだが、低音をクールに歌うタイプとは異なり、彼の歌声は力強さに溢れている。だから、轟音の中にあっても“ズンッ!”と声が抜けて来て、強く響く。かといって、オペラやミュージカルのような仰々しいバリトン・ボイスとは異なり、ロック感や翳りを帯びた彼の“美声”は本当に魅力的だ。独自のスタイルを持っていることやピッチの良さ、表現力の豊さなども含めてLEONEILのシンガーとしてのスキルの高さは抜群といえる。今回のライブを観て、彼が決してキャラクター面だけで注目を集めているわけではないことを改めて実感できた。


YOW-ROWの独演による「COSMIC ROMANCY」(未発表曲)の間にLEONEILは衣裳を着替えて、ハットを被った姿でステージに登場。客席からは再び嬌声が湧き起こり、キャッチーな「Cosmic Night(English.Ver)」やシャッフル・ビートを活かした「Harlequin」、YOW-ROWが奏でるアナログシンセ・リフとメロディアスなサビ・パートを配した「Memory Of Mayfly」などが相次いで演奏された。VANIRUの音楽性はEDMと評されることが多いが、そんな容易い言葉で括られるものではない。VANIRUの楽曲を注意深く聴くと、すべての曲が“楽曲ありき”でアレンジされていることが分かると思う。「EDMは、こうだよね」という安直なスタンスではなく、LEONEILがイメージしている音楽を形にしていく過程でキーボードやシーケンスが不可欠な要素として入ってくるというのが正解だろう。VANIRUの楽曲はEDMの観点からするとイレギュラーなシーケンスの使い方も多いし、根っからのEDM指向であればシャッフル・チューンの「Harlequin」などは生まれてこないはずだ。結果的にVANIRUの音楽には良い意味での違和感があり、それが大きな魅力になっている。


さらに、世界観創りの上手さもVANIRUのアドバンテージといえる。それぞれの曲調に合わせてシンセのフレーズや音色を厳選して無機質さや猥雑感、艶やかさなどを表現していることに加えて、楽曲によってリズム・セクションの音量や立ち位置を細やかに変えている。今回のライブも全編打ち込み主体のバックトラックながら平坦さはなく、エモーショナルかつ起伏に富んだライブになっていることが印象的だった。それを可能にしているのは、LEONEILが各曲で表現したいことが明確だからこそといえるだろう。


良いムードを保ったままライブは終盤を迎え、クラブっぽい歌中とディスコ感を湛えたサビ・パートのコントラストが光る「JUST YOUR DREAM」に続けて、「LEONEILとYOW-ROWの出会いになった曲です」という言葉と共に本編のラスト・ソングとして「ISOLATION」が演奏された。「ISOLATION」では、ステージ下手で演奏していたYOW-ROWも定位置を離れてLEONEILと2ショットでツインボーカルを決め、熱いラップを披露し、さらにフィジカルなパフォーマンスを展開。サイバーなサウンドとキャッチーなメロディー、LEONEILとYOW-ROWが織りなす華やかなステージングの応酬にオーディエンスのボルテージはさらに高まり、WALL & WALLの場内は熱気と一体感に溢れた盛り上がりを見せた。

久しぶりのライブでいながらブランクをものともせず、その特異性や新たな魅力を十分に提示してみせたVANIRU。LEONEILとYOW-ROWが初のコラボレートとは思えないケミストリーを生み出していたことも含めて、非常に観応えのあるステージだった。今後のLEONEILがYOW-ROWと行動を共にするのかどうかは分からないが、LEONEILはより強靭さや美しさを増し、一層自由なスタンスで音楽を創っていくに違いない。良い形で再スタートを切ったことを感じさせただけに、2018年のVANIRUにも大いに注目していきたいと思う。

取材・文●村上孝之
撮影●Zuhn Choi

<ライブ概要>

LEONEIL(VANIRU) + YOW-ROW(GARI)
“COSMIC ROMANCY”
日程: 12月29日(金)WALL & WALL
Guest DJ: KO KIMURA
●SET LIST
1.LOVE AGAIN
2.DEAD OR DANCE
3.L’Abime
4.月詠ミ
5.Who am I, Picture of Ghost…
6.柘榴
7.Dreaming Crystal
8.COSMIC ROMANCY
9.Cosmic Night
10.Harlequin
11.Memory of Mayfly
12.JUST YOUR DREAM
13.ISOLΛTION
En.Forbidden colours

◆VANIRU 公式サイト
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