【連載特別編】フルカワユタカとホリエアツシ[STRAIGHTENER, ent]はこう語った -net radio vol.6-

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フルカワユタカ連載コラム『フルカワユタカはこう語った』の特別編“net radio ver.”第六弾が、ゲストにホリエアツシ(STRAIGHTENER, ent)を迎えて実施された。両者は活動20年の同年代であり、ここ数年では2017年3月に開催された<ツタロックpresents「順不同vol.1」>にてアコースティックセットによる対バンを果たしている。

◆『フルカワユタカとホリエアツシはこう語った -net radio vol.6-』 動画

「実はさほど面識はないけど、STRAIGHTENERが2人編成の時代に対バンしているから、昔からお互いに知っているんです」という対談は、当時のライブハウスシーンの話はもとより、これまであまり語られたことのなかった同世代バンド間の人物相関図まで、深く濃く、新発見もそこかしこに見受けられるものとなった。1月28日に開催されるフルカワユタカ祭り<フルカワユタカ presents「5×20」>のステージがますます楽しみになる約1時間の“net radio”をぜひともお聞きいただきたい。その前に、フルカワ自身が記したイントロダクション的コラムから(BARKS)。


   ◆   ◆   ◆

あの頃の記憶を辿ろうと調べていたら、2006年の<ROCK IN JAPAN FESTIVAL>のwikiに、DOPING PANDAがLAKE STAGEの動員記録を更新したと書いてあった。ナンセンスな疑問だが、当時の僕を今の僕が見たらどう思うのだろう。「すげーな」とは思うだろうけど、少なくとも羨ましいとか、戻りたいとかは思わないだろうな。一言「くじけずに、ここまで来いよ」と声をかけるかもしれない。

フェス文化の定着期、2000年代中盤から後半にかけて、DOPING PANDAは確かにロックシーンの表舞台にいた。AIR JAM世代と次の世代の狭間で、ある種“失われた世代”であった僕らが主役だったあの頃。STRAIGHTENER、ACIDMAN、ASIAN KUNG-FU GENERATION、THE BACK HORN、ART-SCHOOL、フジファブリック etc。フェスのバックヤードはいつも同じ顔ぶれで、フェスに限らず、似たようなメンツのイベントにもよく参加した。

パンクシーンで活動していた時はさほど意識していなかったが、メジャーに上がり、フェスのラインナップなどに並ぶようになると、“ロキノン系”と呼ばれていた同世代のバンド達に自然と対抗意識を燃やすようになった。インディーズにいた頃、the band apartやHAWAIIAN6は“戦友”という感じだったが、上記のバンド達にはそういった感情はなく、事務所が同じだったアートとフジを除けばまさに“倒すべき敵”だった。フェスのステージ、ライブの動員、音源の売り上げ。彼らのいい話を聞くと隠さず嫉妬した。自分が彼らに届いてない事の言い訳を一生懸命探して、時には人のせいにした。もちろん努力もした。寝ずに曲を書き、ギターを練習して、だがしかしそれをメンバーやスタッフに見せびらかした。当時、ドーパンは十分活躍出来ていたし、僕の音楽環境は恵まれすぎていたのにも関わらず、常に物足りなかった。「アイツらはこの景色をもうとっくに見てしまってるんだろ」、そう思うと満たされなかった。

このnet radioでホリエ君が言っている「他の人の音楽に興味が無い感じがした」というのはまさにこの頃の僕のことだ。

時は過ぎ、段々とテナーやアシッドに追いつけなくなっていった。2008年、アジカンは<ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN FES.>に“僕が”大好きだったサード・アイ・ブラインドとステレオフォニックスを呼んだ。もはや彼らは敵という存在でもなくなり、僕は自分自身と向き合う事だけで精一杯になっていた。

2009年12月24日に志村(フジファブリック)が亡くなった。別にそれが直接の理由と言うわけではないが、その年の<COUNTDOWN JAPAN>を最後にドーパンは全てのフェスに出るのをやめた。翌年、夏の<ROCK IN JAPAN FESTIVAL>に誘われたが断った。当時のマネージャー部長に「二度と出れなくなるぞ」と言われたが、それでも僕は断った。事務所主催のフェスも欠席した。並み居る先輩達が率先して参加する中、出なかったのは僕らだけで、同じ会場でやるはずだった木下(ART-SCHOOL)が心配してくれていたのを覚えている。「本物になってからまた戦いたい」、いつもそう言っていた。“本物”とは“戦い”とは一体何だったのか。希望と野望を持ってメジャーに飛び込んでから5年強、周りの景色も遠くの景色もすっかり変わってしまっていた。

去年、アシッド主催のフェス<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI”」>を見に行った。テナー、アジカン、バクホン、彼らはそこにいた。解散もせず、メンバーも変わらず。なんならテナーは最初より増えてるしね(笑)。満員のさいたまスーパーアリーナで、僕は一切嫉妬することなく純粋に「凄いな」と思えた。数少ない同い年のミュージシャンである3人が誇らしかった。そしてちょっとだけ寂しかった。

先日の対談(※BARKSにて後日公開予定)で大木が言ってた、「自分一人で何か出来ると思った事は無い」と。「大木伸夫でACIDMANに勝てるなんてことは有り得ない」と。「今までずっとそう思ってやってきた」と。ホリエ君は「メンバーに求めたりしない」と言っていた。「いい所を見つける努力をする」と。「そもそも喧嘩をしないんだ」と。バンドだから、きっとテナーにもアシッドにも良い時悪い時があったはずだ。それでも彼らはブレなかった。メンバー1人も欠ける事無く続ける強さがあった。言うまでもないが、2人とも素晴らしいフロントマンだ。

誤解しないで欲しい。何も自分が間違っていたとか、彼らより劣っていたとか、そういう話ではない。解散や脱退に限らず、人生のダイナミズムは人間を成長させるし、結果、音楽を豊かにする。そのことは最新アルバム『Yesterday Today Tomorrow』で僕が身を以て証明したつもりだ(つもりだ!!)。ただ、そんな事もどうでもいいくらい、今の僕が言いたいのは、そもそも音楽なんて、特に僕らが携わっている“ロックンロール”なんて芸術でもなんでもなく、ただの“ロックンロール”だってこと。アジカンみたいに大きな所でライブ出来ないからってなんなのさ。そこにたどり着いたら次はU2にでも嫉妬するつもりかい? その次はどこだ? そして、それは当時の僕には分からなかったことであり、分かる必要もきっとなかった。僕はそれが言いたいだけだ(だけなんだ!!)。

「サカナクションとかテレフォンズにとって代わられたよね」なんてよく言われた。不思議なもんで世代の違う彼らに嫉妬した事や、焦りを感じたことは一度も無い。もちろん彼らも世代の違う僕らを意識した事はないだろうし、そもそも僕も取って変わられたなんて思ったこともない。「四つ打ち全盛の今、やっていたら絶対受けてたよね。早過ぎたんだね」と良く言われるが「だからカッコいいんじゃん。同世代の誰もやってないことをドーパンはやってたんだから」と鼻息が荒くなる。

今月末。新木場スタジオコーストで大木とサトマと一悟ちゃんとホリエ君がフルカワユタカの周年を祝ってくれる。メジャーデビュー後、東京ドーム“ワンマン”を本気で目指してた僕からは想像もつかない未来だったけど、これは現実、しかも素晴らしい現実だ。これからは昔とは違った形で彼らに沢山影響を受けたいなと思っている。そして、願わくば僕だって影響を与える存在でありたい。まずは1月28日がそんな日だったら最高だ。

「くじけずに、ここまで来いよ」。やはり僕は過去の自分にそう言うのだろう。

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■<フルカワユタカ presents「5×20」>

2018年1月28日(日) 東京・新木場STUDIO COAST
開場13:15 開演14:00
▼出演 フルカワユタカ and many bands & musicians
ACIDMAN / ART-SCHOOL / Keishi Tanaka / the band apart / FULLSCRATCH / FRONTIER BACKYARD / Base Ball Bear / ホリエアツシ (ストレイテナー, ent) / 夜の本気ダンス / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS (※50音順・敬称略)
▼チケット
スタンディング 4,800円(税込)
※「スタンディング」「整理番号付」「ドリンク代別途徴収」
※3歳以上要チケット
一般発売:2017年11月25日(土)
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888 (weekday12:00~19:00) http://www.diskgarage.com/
【プレイガイド】
・e+ http://eplus.jp/furukawayutaka18/
・ローソンチケット http://l-tike.com/ 0570-084-003 Lコード:72823
・チケットぴあ http://pia.jp/t/ 0570-02-9999 Pコード:346-255

■全国ツアー<フルカワユタカ presents 『yesterday today tomorrow TOUR』>

2018年1月13日(土) 愛知県 伏見JAMMIN'
2018年1月14日(日) 大阪府 Shangri-La
2018年2月11日(日・祝) 静岡県 Shizuoka UMBER
2018年3月17日(土) 岡山県 岡山ペパーランド
2018年3月18日(日) 福岡県 INSA
2018年3月21日(水・祝) 宮城県 enn 3rd

■<yesterday today tomorrow TOUR extra>

2018年2月12日(祝) 鹿児島県 Live HEAVEN
2018年2月18日(日) 福島県 Player’s Cafe
2018年2月25日(日) 北海道 musica hall cafe
2018年3月10日(土) 京都府 SOLE CAFE
2018年3月11日(日) 石川県 もっきりや
w/荒井岳史 (the band apart)
▼チケット
3,300円 (+1ドリンク代別)
全自由/整理番号付
一般発売:1月13日(土)

■アルバム『Yesterday Today Tomorrow』

2018年1月10日(水)発売
NIW137 3,000円(+税)
01. revelation
02. シューティングゲーム
03. busted
04. 僕はこう語った
05. days goes by
06. デイジー
07. DAMN DAMN
08. nothin' without you
09. バスストップ
10. no boy no cry
プロデュース:TGMX(FRONTIER BACKYARD)
▼ゲストヴォーカル
M1:LOW IQ 01
M5:UCARY & THE VALENTINE
M8:米田貴紀(夜の本気ダンス)
M9:荒井岳史(the band apart)
▼作詞
M7:須藤寿 (髭)


◆BARKS内フルカワユタカ主催イベント+3rdアルバム特集ページへ
◆【BARKS連載】フルカワユタカはこう語った まとめページへ
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