【同世代対談】フルカワユタカ×大木伸夫(ACIDMAN)、「じゃあ、再結成しようよ」

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■バンド名がクソダサいのに
■音楽は超おしゃれだなと──大木伸夫

──先ほど木下さんの名前が挙がりましたが、お互いのシーンを結んでくれるようなバンドはいなかったんですか?

大木:いたかもしれないけど、でも結んではいないんだよね。お互いがお互いのフィールドで努力している感じで。

フルカワ:小さいところで頑張っていてね。

大木:視野が広くなればなるほど見やすくなってくるじゃないですか。元々はジャングルみたいなところや海の底にいるんだけど、そこから視界が開けると、隣の村のやつの顔が見えてきたり、海から顔を上げたら、ちょうど息継ぎのタイミングでそいつと目があったりとか。そういうふうにDOPING PANDAとは出会っている感じなのかな。

フルカワ:今思うと、結構橋渡しをしていたのはACIDMANだったのかなっていう気はするけどね。市川さんとかTOSHI-LOWさんと近くなったのは大木が最初だったと思うから。

大木:ああ、そうかも。俺はそのシーンに入りたくなくても憧れはあったから。フェスとかで会って自分たちのツアーに声がけして、イチ(LOW IQ 01)さんとBACK DROP BOMBとHUSKING BEEが出てくれて。それで名前を覚えてくれたり、仲良くなっていったという。怖いもの知らずだったからさ(笑)。震えながら挨拶してたけどね、大好きだったし。でも、みんなすごく気さくな人で。

フルカワ:逆にこっちが上の世代の、例えばGRAPEVINEをライブに誘うとかはなかったから。そういうことをしてる俺ら世代のロックバンドはいなかったし、今みたいにグッとつながっている感じにしていったのはACIDMANのような気がする。だからこそ、このあいだの<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI”」>(2017年11月23日@さいたまスーパーアリーナ)みたいなイベントができるわけで。

大木:それ、言い続けてください(笑)。

フルカワ:はははは!

──DOPING PANDAのことはどう思っていたんですか。

大木:ライブを見るまでは、ギターのカッティングがテクニカルで、ハイセンスでアーバンな感じがすごくしていて。でも、“ドーピングでパンダ”ってバンド名がクソダサいじゃないですか(笑)。バンド名がダサいのに、音楽は超おしゃれだなと。実際会ったら、ユタカが超嫌われてて、超イヤなやつだったんですよ。

フルカワ:それ、どのへんで言われてたの?全体的に?

大木:この世代、全員から文句を聞いてて。今でこそこういうふうに性格が丸くなったけど、とにかく偉そうだったんですよ。「お前らなんか眼中にねえから」っていう感じで。でも、俺はあまり表面で人を判断しないので、“なんかこいつ、頑張ってんだな”と思ってて、結構好きだったんですよ。

フルカワ:はははは。

大木:だから個人的に気になる存在で。実際にライブを見て、ちょっとブッ飛びましたね。こんなにギターを弾きながら歌うやつがいるんだ!?って。

──同じギター&ボーカルとしてもそこは気になる存在だったんですね。

大木:それはトップクラスじゃないですかね。

フルカワ:ありがとうございます。それ、言い続けてください(笑)。

──その前の嫌われてる描写がかなりな感じでしたけど(笑)。

大木:嫌われてたね、こんな嫌われてるやついるかな?っていうくらい。

フルカワ:いや、自覚はあったんだよ。あったんだけど、最近になってこうして昔話をできるようになって。まあ、俺が変わったのか、みんなも大人になって俺を許してくれているのか、喋れるようになってみたら……想像を超えてたね。こんなにもか!っていうところは、今あります。

大木:はははは!

──当時は自分でも、虚勢を張るじゃないですけど、敢えてやっていたところもあるんですか?

フルカワ:そもそもが、人前でワーッとやるような人間じゃないんです、俺は。みんなもうわかってると思うけど、青春時代から友達も多いほうじゃなかったし(笑)。そういうなかで表舞台に立って、TGMXさんとかの影響もあって、ハッピーパーティみたいなのとか、エッジの効いた音楽をやらなきゃみたいなところで、自分で演じていた部分は絶対にあったと思うんです。まぁ当時は演じてるとは思ってないですけどね。突っ走ってるなかで、今思えば、自分で足りない部分を埋めようとしてたなと。その埋める作業自体が周りに嫌な思いをさせるものだったなと。

──相手を認める認めないにも、厳しいジャッジがあったんでしょうね。

フルカワ:それに関しては、僕ら世代に限らないかもしれない。みんなそうですよ。大木もたぶん尖っていたし、自分が理解できるというか、好きなもの以外は、きっと認めてなかったと思うし、ギラギラしてたしね。

大木:そうだね。

フルカワ:髭の須藤くんだって、ひどかったですからね、何バンドも共有の大部屋の楽屋で、サングラスかけたままケータリングが置いてある長机の上で寝てて。いや、その必要ないでしょうって。“あの時のあれ、嘘だったよね”って(笑)。

大木:はははは。いい子だもんね。

フルカワ:みんな何かしら、半分、素もあるんだろうけど、気張ってやらなきゃっていうのはあったと思うし。でも、やりすぎてるな俺っていうのも、みんなどこかにあったと思いますね。その話と自分が嫌われていた話は、一緒くたにできないですけど(笑)。

大木:いい意味で、弱いやつだなと思ったんですよ。DOPING PANDAの他のふたりはすごく純粋でいいやつじゃないですか。こいつらが慕ってるってことはそういうやつなんだろうなっていう。で、ふたりが必ず言うんですよ、「ユタカは悪いやつじゃないんだ」って。「嫌われてんだよ、こいつ。でも、ほんと悪くないんだよ」って。

フルカワ:ははは。

大木:そういうところに人間性って出るじゃないですか。本人の人間味というか。表面的に見ちゃうと、イヤなやつだなっていうことが多いと思うんですけど、中身が好きだなと思って。

フルカワ:大木とか市川さんは、そうやってフォローしてくれるんですけど。イヤなところはあったと思う。人間ができてない部分は今だってあるし。

大木:それがいいんじゃないかな。今、こうやって新木場STUDIO COASTでイベントができるのも、人間関係をずっと大事にしてきたからだと思うし、先輩たちとの信頼も厚い。

フルカワ:こういうふうに言ってもらえるということは、多少真面目に生きてきたのかな(笑)。

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