【ライブレポート】東方神起、「奇跡のような愛で、ふたりはここまでこれた」

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2017年に再始動した東方神起が、追加公演も含めて自己最多ドーム公演数となる全国5大ドーム17公演を行ない、78万人を動員したツアー<東方神起 LIVE TOUR 2017 〜Begin Again〜>を1月21日、大阪・京セラドーム公演で打ち上げた。自己最大規模となった本ツアーのなかから、2017年12月21日、東京ドームで行われたライブのレポートをお届けしよう。

◆ライブ写真

ツアータイトルは<Begin Again>。2006年6月に発売した「Begin」を、ふたりはこのタイミングで新しく歌い直し、「Begin〜Again Version〜」というタイトルで再始動第1弾シングル「Reboot」のC/Wに収録。ツアータイトルにまで掲げた。そこには2年間離れていたけれども、ここから再びユンホとチャンミンで、また東方神起とファンで、新たな物語を一緒に始めようという彼らのメッセージが込められていたのだろう。

それを表すように、本ツアーは花道だと思っていたレーンが長いプロペラのようになって客席の頭上を回転したり、それが分裂して動いたり。アリーナの外周を柵のないトロッコが走り抜けたと思ったら、それが客席最後尾で合体してバックステージになったり。空中ではワイヤーとゴンドラ、2種類のフライングで2階席、3階席まで接近したり。まるでアミューズメントパークのアトラクションを見ているような、ドームならではの大掛かりなセットや装置をフルに使って、ふたりはドームのどこの席で観てもアリーナ最前列の瞬間が味わえるような距離感でファンとひたすらコンタクトし続けた。まるで「ただいま」を待っててくれたファン一人ひとりに伝えるように。鮮烈なステージ演出、ふたりのダンスや歌のパフォーマンスはたしかにカッコよくて素晴らしい。けれども、それ以上に深く感動させられたのは、このようなふたりのファンを思うひたむきな気持ち。とてもとても、深くてまっすぐで清らかな愛情の在り方だった。


この日も東方神起らしく、開演時間ぴったりに客電が落ち東京ドームは一瞬にしてレッドオーシャンに包まれる。オープニング映像が2体の石膏像を映し出すと赤と青の無数のレーザーが場内に走り、上手にユンホ、下手にチャンミンが姿を見せる。東京ドームにはステージの音を消し去るほどの歓声が上がるとともに、ライブはいきなり最新曲「Reboot」で幕開け。東方神起が再起動する姿を目の当たりにして、場内にはさらなる悲鳴がわきあがる。2曲目「ANDROID」では、ふたりを乗せた2つのムービングステージがアリーナの中央で合体。同じステージに立ったユンホとチャンミンが交差する瞬間、ハイタッチを交わすと客席は大興奮。「Humanoids」では中央のムービングステージが動き、さらに会場のボルテージを引き上げていく。

「東京ドームのみなさん、ユンホです。元気でしたか? この瞬間を楽しみにしてました。みなさんもそうですよね? 期待以上の思い出を作りましょう」――ユンホ

「2年間、みなさんの声は全然衰えてないですよね?。おぉー(笑)。今日はいままで経験したことがない、12月の一番暑い日にしましょう」――チャンミン

ジャケットを脱ぎ、赤いノースリーブの衣装になって彼らが「One More Thing」を歌うと、観客は一丸となってメンバーと同じように人差し指を天に向かって突き上げる。「Superstar」ではユンホのジャケットプレイの代わりに、ふたりの鍛え上げられた上腕二頭筋にみんなの視線が集中。次はスタンドマイクを構え、ムードをガラリとかえて、静かに目線をからませながら「Chandelier」を披露した。


ふたりが異次元へとつながるドアを次々とくぐり抜けていく映像をはさんで、アップチューン「B.U.T(BE-AU-TY)」が始まると、ふたりはワイヤーをつけ、フライングで空中を飛びながら観客に手を振り、アリーナ席のムービングステージへ移動。ここから衣装は黒いレザーにチェンジ。フライングしている彼らの、メッシュのインナーからチラチラ見える大人のセクシーボディと男の色気に、ファンはキャーキャー悲鳴をあげて悶絶。官能的なホーンのイントロに合わせてダンサーが場内を盛り上げたあと「Spinning」が始まると、ふたりが出てきてプロペラステージがファンの頭上を大回転。踊るたびにブンブン揺れるステージ上から、ダンスのブレイクごとにいちいちカメラ目線でキメを入れ、ファンを見下ろして挑発していくふたり。それに応えるように、東京ドームは懐かしの「Survivor」で一体感ある盛り上がりを彼らに見せつけ、「One and Only One」でライブは前半戦を終えた。

ユンホとチャンミンがバトルしていく映像演出を挟んで、場内が暗転したまま、ピアノの音色から始まったのは東方神起のバラードのなかでも超大作の「シアワセ色の花」。続けて「STILL」を届けていった場面は、心にぐっときて思わずじっくり聴き入ってしまう。会えない時間があったからこそ歌詞の解釈にさらに深みが増して、客席には涙するファンも現れ、会場全体が深い感動に包まれていった。歌を通して、彼らとファンの思いが心のなかで再びつながっていったところで、そのまま涙にどっぷりひたらせるんじゃなく、そこから笑顔へ引き戻すのが東方神起の流儀。


ここからMCコーナーに突入する。「このあたりでぜひいいたいと思います」というチャンミンのフリで、東京のみなさん。ただいまー!」と二人が大声でいうと、ドームが一丸となって「お帰り」と叫び、歓喜が広がる。2年前同じ場所でユンホが「僕が『ただいま』といったら、みんなで『お帰り』と必ずいってください」といって交わした約束。その約束をちゃんと守ってくれたファンに「ありがとう」と感謝を伝えるユンホからは、とびきりの笑顔がこぼれおちる。話していると無意識に立ち位置がセンター寄りになっていくユンホを見て、チャンミンが「こっちに寄りすぎですよ」と注意。「わざとじゃなくて体が勝手に」といって、慌てて元の立ち位置へと戻っていくユンホが可愛らしい。それを見て「世界がユンホさん中心に回っていることは僕はご存知ですけど(笑)、たまにはスペース守ってください」とチャンミン。ユンホを転がすテクニックもお手の物だ。

さらに、この日のドームは男性ファンが多数いて、ユンホが「凄いね! 再始動でたくさん活動した“はり”があった」というと、すぐさまチャンミンが「すいません(苦笑)。昨日(“甲斐”を)覚えたばかりなので」とフォロー。ふたりの関係性がすでに絶好調であることが分かって、ファンはひと安心。そのあと、ふたりは東京ドームの入り口で「東方神起に逢いたくて逢いたくてたまらないみなさん!」と彼らの曲名を織り込んだ言葉で、お客さんの列を整理していたファンに人気の警備員さん(こんなネタもちゃんと彼らはリサーチ!)のことに触れたあとにミニトロッコに乗り込み、アリーナ席のファンに近づきながら「逢いたくて逢いたくてたまらない」をパフォーマンス。


次はチャンミンはポール、ユンホは椅子(ユンホ、実は高所恐怖症)のゴンドラで、最初のフライングよりもさらに高いところを移動しながら「Duet(winter ver.)〜White(メドレー)」を歌って2、3階席へと接近。 “もっとそばに”と歌う彼らの思いがまっすぐに伝わってくる、そんな演出に客席の一人ひとりが胸を打たれる。白い衣装で上空を舞う彼らが、天使となって観客に愛を注いだあとは、コミカルな映像で客席をなごませる。そうして「Catch Me-If you wanna-」のダンサーと一体となって見せるど迫力のダンスアクトから、再び会場のボルテージを上げていく。バンド、ダンサー紹介に続いて、ふたりは左右に分かれてトロッコに乗り込み「Easy Mind〜I just can’t quit myself〜OCEAN」のメドレーをノリノリで歌って踊って、会場を一周。

そんなお祭り騒ぎから雰囲気をいっきに変えたのは懐かしの「Bolero」。ハンドマイクを握りしめ、エモーショナルに想いのたけを歌い上げるユンホ。そこにチャンミンがハイトーンを重ね、そのあとふたりがぱっと体を向き合わせ、互いの目を見つめながら“君の居場所はここにある”と声を重ねる。大拍手が起こる前、ドームが静寂に包まれるほど、ふたりの歌が神がかっていて、観客は魂を射抜かれる。そのあとはユンホ、チャンミンのソロダンスから、本編最後は火柱が上がる中、「Why?[Keep Your Head Down]」でカッコよく締めくくった。


桜が散る中をふたりが歩いてくる映像でアンコールは幕開け。ポップアップでふたりが勢いよくジャンプして飛び出してきて、「MAXMUM」、続く「Rising Sun」では激しい爆発音とともに火柱がバンバン上がり続けて、レーザービームが炸裂。アンコールで歌った2曲について「しびれますね〜」とユンホがつぶやけば、チャンミンは「今回はいろんな舞台装置を導入しました」とライブの演出について触れた。続けてユンホは「男の痛みがあるけど(笑)、高さ15mまで。高いところは怖いんですが、みなさんと“目線”を合わせたくて頑張りました。今回の演出は奥の方、上の方のみなさんに近づくために悩んで悩んで準備しました」と説明を加えた。

そして、チャンミンが「もう時間です」と告げると、客席からは「エーッ!!」という悲鳴が上がる。「これを聞きたかったんです。快感があります。これだけの人に反対されると、これは僕の意見ですけど、もっと次の曲にいきたくなる(笑顔)」と、チャンミンがドSな顔を覗かせる。そうして次の曲にいこうとしたチャンミンにユンホが耳打ち。「あー。忘れてました」とチャンミンがいって、『PON!』でますだおかだ・岡田圭右氏に伝授された「東方神起一転!」「満点!」という掛け合いのギャグを一応やって、そのあとトロッコに乗り込んで、ボールやフリスビーをバンバン投げ込みながら「ウィーアー!〜Summer Dream〜Sombody To Love」をメドレーで続けてパフォーマンス。


そしてふたりは最後に「Begin〜Again Version〜」を披露する。“今 君と僕はBegin”“今 ものがたりは…Begin”“今 ふたりだけで Begin”とユンホとチャンミンがひときわ真摯に全身全霊を込めて歌い上げる。彼らのハーモニーが、聴く者の心の奥深くまで染み渡り、ドームの隅々までこれ以上ないほどのあたたかい感激を呼び起こしていく。

「今日で東京は終わります。やっとここまできたと思ってます。2年半かかりました。本当にすごい時間がかかって。みなさんに会うまでに成長して『これがユンホだ!』っていう自分を見せられるように頑張ってきたんだけど。今回は言葉だけじゃなく、行動として約束を守れた気がして満足しています。みなさんをただ“好き”なのではなくて、大切に思って、支えになっていきたいし。お互い大事な存在になって欲しい。いままで一緒にかいた汗とか情熱を忘れず、これからも大切に守ってきたいと思います」――ユンホ

「韓国でデビューして14、15年経つんですけど、誰かが当たり前に僕のことを愛してくれると思ったことは、いまだに1度もございません。これからもそうだと思うんですけど。誰かが当たり前に自分を好きになるなんて思うのは、傲慢じゃないですか。でも、当たり前のように、僕たちふたりを愛して下さってるみなさんから貰ってる奇跡のような愛で、ふたりはここまでこれたと思うし。みなさんの奇跡が、ふたりの居場所を作ってくれて心から感謝しています。その奇跡に応えるためにふたりにできることは、一生懸命踊って歌うこと。それをできる限りやり続けていきたいと思います。いまは寒い冬です。寒いですから、いつも周りにいて下さってる人。友達、家族、恋人たちと手をつないで、抱き合って、慰め合う。そういう季節を過ごして欲しいです。思ったよりも、世の中には傷ついている人が多いと思うから、この寒い季節はもっとお互いのことを愛してください。誰かの傷を慰めて、カバーしてあげて下さい。そういう“愛”が必要なとき、みなさんといい思い出が作れて幸せでした。それでは、東方神起でした」――チャンミン

ファンのことを、もはや「好き」だけでは語れない大事な存在なんだと訴えかけたユンホ。ファンは自分たちに無償の愛を当たり前のように注いでくれるけれども、それを当たり前だと思ったことは1度もない。ファンのみんなが自分たちに注いでくれる無償の愛は「奇跡」のようなものなんだと伝え、愛されるために自分たちはひたむきに努力を重ねると話したチャンミン。

東方神起のファンに対するまっすぐな気持ち、深い愛情、謙虚さが滲み出たふたりの最後の挨拶を聞いて、たくさんのファンが涙を流した。その涙は、とても温かい愛に包まれていた。

取材・文◎東條祥恵


セットリスト

M1.Reboot
M2.ANDROID
M3.Humanoids
M4.One More Thing
M5.Superstar
M6.Chandelier
M7.B.U.T(BE-AU-TY)
M8.Spinning
M9.Survivor
M10.One and Only One
M11.シアワセ色の花
M12.STILL
M13.逢いたくて逢いたくてたまらない
M14.Duet(winter ver.)~White(メドレー)
M15.Catch Me -If you wanna-
M16.Easy Mind ~I just can't quit myself ~OCEABN(メドレー)
M17.Bolero
M18.Why?[Keep Your Head Down]

en1.MAXIMUM
en2.Rising Sun
en3.ウィーアー! ~Summer Dream ~Somebody To Love(メドレー)
en4.Begin ~Again Version~

<東方神起 LIVE TOUR ~Begin Again~ Special Edition in NISSAN STADIUM>

2018年
6月8日(金)日産スタジアム 開場15:00/開演17:00
6月9日(土)日産スタジアム 開場15:00/開演17:00
6月10日(日)日産スタジアム 開場15:00/開演17:00
※開場/開演時間は変更になる場合がございます。

◆東方神起 オフィシャルサイト
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