【インタビュー 前編】RayflowerのSakura, IKUO, 都が語るアルバムとツアーの関係性「未完成こそが完成形」

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■アルバム収録曲はどの曲も育っている
■アプローチは全て変わっているから──Sakura

──根っからのライヴバンドですね。新横浜NEW SIDE BEACH!!公演(2017年10月25日)を観せてもらったのですが、『Brilliant Anthology』の全曲を披露するセットリストになっていて、おおっ!と思いました。

都:それは純粋に全曲やりたかった、というのがまずあって。それに、今まではツアーが始まってからセットリストを変更することがあったけど、今回は最初に作ったセットリストががっちりハマったんですよ。違和感があったら最新アルバム曲のどれかを外したかもしれないけど、その必要がなかった。

──実際、まだ耳に馴染みの薄い新曲が並んだセットリストでいながら、物足りなさは全く感じませんでした。では、ツアーが始まってからここまでの手応えはいかがでしょう。

Sakura:さっき話した“曲が育つ”という意味では、『Brilliant Anthology』収録曲はどの曲も育っているね。中でも特にこの曲……ということは言えないな。ドラムアプローチは全て変わっているから、1曲ずつ全曲の話をするか、“全部変わっている”という一言で収めるかしかない(笑)。

都:僕も同じかもしれない。Sakuraさんの話を聞きながら、“どの曲が一番変わったかな”と考えたけど、僕も全部変わっているんですよ。だからアプローチの変化について話すと、すごく長くなってしまうと思います(笑)。

▲Sakura(Dr)

Sakura:全体的な話として言えるのは、俺の場合は歌詞がない状態と、歌詞が付いた状態とでは、自ずと叩き方が違ってくるんですよ。おちゃらけた歌詞だったら、“西海岸いこうや!”という気持ちで叩くし、切ない歌詞であればモードもそうなる。それがドラムアプローチの幹になっているということは言えるかな。

──ただ単に心地よいビートを叩くのではなくて、楽曲の世界観作りに寄与するドラムを叩いているといえますね。

Sakura:俺はドラマーである前に、ミュージシャンであり表現者だから、世界観を作るのは当然という気持ちがあるんだ。あと、すでにツアーに来てくれた人は分かっていると思うし、さっきIKUOさんも言ってたけど、今回は“聴かせるブロック”が明確なんだよね。“みんな一緒にワーッ!と盛り上がりましょう”とか“グッと惹き込みましょう”とか、はっきりした空気がライヴ全体の中でメリハリとして出来上がっている。それは意図していたものでもあり、お客さんの反応によって意図を超えたところまでいけている。曲が持っている力だったり、お客さんの感受性の高さだったり、自分自身のプレイに対する高揚感だったり、いろんな要因がそうさせるんだよね。そういうところでも日々楽曲が育っていることを感じるし、ライヴの魅力が毎回感じられるツアーだね。

IKUO:僕もライヴをやればやるほど手応えを感じていて、それが積み重なってヤバい状態になってます(笑)。プレイが身体に染み付いたことで余裕が出てきたというのもあって、どんどん完成度が高くなっているんですよ。そういうライヴができるようになったのは、最近主流になっている土日だけライヴをするという形態のツアーではないからこそで。

──たしかに、土日平日問わずですね。

IKUO:土日だけ地方に行ってということではなく、今回は2週間くらいツアーに出っぱなしの時もあるんですね。週末だけのツアーはライヴごとにリセットされてしまうんだけど、間を空けずにライヴをすると一層高いところまでいけるようになるんですよ。考えなくても弾けるようになるから、よりお客さんのほうに気持ちを向けることができる。僕は今まであまりそういう経験はしたことがなかったので、本当にデカい発見ですね。得られるものが多いから、これから始まるツアー後半戦も楽しみだし、ファイナルはどれだけすごいことになるんだろうとワクワクしています。

──IKUOさんがライヴの中で果たす役割がより多くなっていることも今回のツアーの特色といえますね。歌うパートが増えましたし、素顔のMCもいいアクセントになっています。

都&Sakura:ははは、IKUOさんの喋り、いいですよね(笑)。

IKUO:ひとり喋りは本当に苦手なんで、正直MCはしたくないんですよ。

──ええっ? ガンガンに演奏している姿とホノボノとした人柄のギャップがすごくいいですよ。

IKUO:よくそういう風に言ってもらえますけど、まずRayflowerは全員が喋るバンドだから、僕だけMCしないのはおかしいというのがあって。

都:IKUOさんの喋りがオチになっているからいいと思うよ(笑)。吉本新喜劇でいうところの最後にみんなでコケるところ(笑)。しかも、それを狙ってないというのがいいんだよね。

IKUO:本当ですか?……自分では、よく分からない(笑)。ただ、歌に関してはすごく楽しいです。何回も歌うことでニュアンスを変えてみようかなという気持ちになったりもするんですよ。あとは、気持ちが熱くなって自然とビブラートが濃くなったりすることもあって。違う方向の熱さになってないかな?とか思いますけど(笑)。

都&Sakura:いや、IKUOさんのビブラートは気持ちいい。

IKUO:田澤くんの歌にきれいに合わせようというより、同じロングトーンでもニュアンスが違ってていいんじゃないかなって。だから、ハーモニーというよりもツインボーカルという気持ちで歌っています。歌に関して、今までそんな風に考えたことはなかったんですよ。だから緊張もするけど、すごく楽しいです。

都:「Soul survivor」(※1stフルアルバム『Color & Play』収録曲)で初めて田澤くんとIKUOさんのツインボーカルを採り入れたんですけど、最初、IKUOさんはあまり乗り気じゃなかったんですよ。でも、僕が「入れよう」とお願いして歌ってもらったんです。今回はアルバム制作中に、「ツインボーカル、やらないんですか?」ってIKUOさんに聞かれて、意表を突かれました(笑)。

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