【対談】FEST VAINQUEUR×淳士(BULL ZEICHEN 88)、「マシンガンかと思いました」

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■“上手い”と“カッコいい”は全く別
■そこがロックのいいところ

──展開の多い曲だし、派手で重みのあるドラミングがカッコいいですが、淳士さんは「Mirror」を聴いて、どんな印象を持って、どういう解釈で叩いたんですか?

淳士:自分畑の曲だなって。スローな曲をじっくり叩くというより、元気のある曲のほうが個人的にはやりやすいのでスッと叩けました。いつも自分の中でコンセプトを決めて叩くんですけど、この曲は“思いきりいこう!”って。

HAL:もともとスピード感があってテクニカルな要素がある曲だったんですけど、レコーディング現場で聴いたら、曲の色付けレベルではないというか。淳士さんに曲の器をどんどん広げていただいている感じがして、“これは間違いなくヤバい曲になるだろうな”と思いました。

▲I’LL(G)

──ボーカルレコーディングにも一層力が入ったという?

HAL:淳士さんのドラムというプロセスがあって、初めて曲が完成したというか。僕は「Mirror」の歌詞にはノータッチで、今回初めてI’LLが作詞をしているんですが、そこでも今までにないものを生み出せて。より客観的な視点でどう歌おうかを考えながらレコーディングに集中できたんですよ。

I’LL:そうそう。淳士さんが叩き始めたことで、曲が呼吸を開始したというか、生き生きした感覚がありました。ビックリしたのがドラムの圧というか迫力。スゴすぎてスタジオでみんな吹っ飛ぶかと思いました(笑)。

淳士:ははは。思いきり叩いたからね。

GAKU:僕はマシンガンかと思いましたね、風が吹いてくるくらい。ギタリストで言えば、ピッキングが肘から動くようなパワフルでノイジーなギターを弾くクリス・インペリテリが個人的に好きなんですけど。インペリテリのプレイも“マシンガンみたいや” と思ったんですよ。そういうタイプのアーティストが好きなこともあって、よけいにレコーディングを見ていて嬉しかったですね。

▲HIRO(B)

──まさにマシンガンですよね、手数が多くてアタッキーで。同じリズム隊となるベーシストのHIROさんはどんなことを感じました?

HIRO:今回のアルバムは7名のドラマーさんに叩いていただくという初の試みだったで、スケジュール的に可能な曲は、弦楽器を先に録音したんです。なので、この曲も“淳士さんが叩いたらどうなるかな?”ってイメージしながら、ベースはシンプルなところはシンプルに、サビは基本ビートだろうなと思ったので動くところは動くベースフレーズにして。

──なるほど。ギターとベースの完成テイクを聴きながら、淳士さんがレコーディングするというパターンだったんですね。

HIRO:はい。そういうレコーディングテイクを事前にお渡ししてたんですけど、淳士さん節というか、まさに“7Colors”というサブタイトルにふさわしいオリジナリティの高いドラムで。音だけ聴いていても淳士さんが叩いている姿が浮かんでくるような。僕たちの曲を昇華して、何段もレベルアップさせてくれたというか、改めてすごいなと思いましたね。そういえば僕、街中で流れてきた曲を聴いて「このドラム、淳士さんだ!」と思ったことがあったんですよ。音だけでわかるって素晴らしいし、そんな尊敬する方に叩いていただいて光栄です。

淳士:今の音楽シーンは楽器も歌も、上手い人がたくさんいると思うんですよね。それこそ、YouTubeにアップされているような“叩いてみた”動画とかを見ると、ホントに上手い人がいるでしょ。でもね、“上手い”と“カッコいいっ”て全く別で。そこがロックのいいところだと思っているんですね。街に流れる曲を聴いて、「淳士さんっぽいと思ったら、本当にそうだった」と言ってくれたのはありがたいし、嬉しいですね。逆に僕は、街に流れる曲を聴いて、“これ、俺のドラムだ”と思ったら、全然違ったこともあったけど(笑)。FEST VAINQUEURが求めるスタイルが技巧至上主義なら下手っぴじゃダメだけど、そこだけを突き詰めすぎてもね。曲を難しくしすぎてステージ上で一歩も動けなくなる“BULL ZEICHEN 88現象”というのもあるから(笑)。

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