【ライブレポート】OBLIVION DUST、20周年ツアー最終日に「あと20年よろしく」

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OBLIVION DUSTが2月9日、結成20周年ツアー<20th Anniversary OBLIVION DUST "Zodiac Way Tour 2017-18 "-Ophiuchus->のファイナル公演を開催した。バンドの勢いが、とどまる事なく次のステップへ向かっていることが証明されたこの夜のステージを、会場で本人たちに訊いたコメントと併せてレポートしたい。

◆OBLIVION DUST 画像

「このツアーで、オレのステージの姿勢っていうか立ってる時の気持ちが、すごい変わったんだよね」──KEN LLOYD (Vo)

<20th Anniversary OBLIVION DUST "Zodiac Way Tour 2017-18 "-Ophiuchus->の最後を飾る同会場で、さらにKEN LLOYDはこう続けた。「これまでショーが始まっちゃえば周りで何が起きてようが、それこそお客さんがどういう反応してようが構わなかったんだよ。自分さえ集中していれば」。

ある種のフロントマンとしての自信と、バンドが出すサウンドに対する信頼感によるものだろう。様々なステージ上で巻き起こる、それこそアクシデントも含む出来事に対して、無関心とも言えるほど我が道を行っていた彼が、このツアーから芽生えたある変化を喜んでいるようだ。バンドと同じくプロとしての活動が20年となる、このフロントマンが迎えた新たな境地とは何だったのか? そしてそれはステージにどんな変化をもたらしてくれたのか?


これまでライブの締めとして最後に演奏されることが多かった「Sink The God」からショーがスタート。この曲が始まるといよいよ最後の曲だと刷り込まれてきた観客が驚きと共に、いきなり背中を突き飛ばされたかのように、音の渦へ巻き込まれていく。

OBLIVION DUSTは結成当初から心地よい裏切りを与えることを常に意識してきたバンドだ。それは音楽的なアプローチやデザインワークにも顕著であり、その上でバンドのカラーにまとめ上げる力量とバランス感覚がある。CDなどの音源で聴くと様々な仕掛けが施されているアプローチも、いざショーで演奏されるとその全てが一つのバンドのグルーヴへ昇華されていく。つかみ所がないと思われがちな彼らだが、ステージパフォーマンスを見ると全くブレがない。あっさりと彼らの手中に収まってしまう感覚すら覚える。

「もちろん、そういったことは自分なりに計算するんだけど、このバンドってホントにメンバーの考え方がバラバラで、それをお互いに認めあってるから、最後には自然と良いアイディアしか残らないみたいなところがあると思う」とサウンドプロデューサーであり、ギタリストのK.A.Zが的確な表現で答えてくれた。


「Syndrome」「Remains」と新旧織り交ぜつつ進行するセットリストは、しかしその余韻を感じる暇もなく、次々畳みかけてくる。これもOBLIVION DUSTの定番。しかし、ここで一度ブレイクした後に「In Motion」がスタートした。同曲は今ツアーにてショーのオープニングに配置されることが多かったOBLIVION DUSTらしい勢いがある曲だ。これには観客も、2度目のスタートをけしかけられたかのように、熱狂度が高まっていく。

「オレはこのバンドの本来持っている野生的な面というか。体温とか呼吸をいかに感じさせるかってことが、自分の役目だと思ってるから」とはベーシストのRIKIJIの弁。機材の進化により、ライヴでもクオリティの高い音像が再現可能となる。そうなればなるほど、ただそこでメンバーが演奏していること以上のパフォーマンスをどう表現するか? これについてRIKIJIには確固たるスタンスがある。

「演奏自体のクオリティが上がっていくのは長年やってるから当然なんですけど、それだけじゃ全く面白味がないんです、バンドって。そもそも音楽は演奏者の感情を伝えるために出来たんだから、今オレがどんな気分でこの曲を演ってるのかが大事で。当然その感情には激しいものが含まれるし、それは毎回大なり小なり違ってたりするのがライヴなんです」と自信に溢れた表情で言い切った。


ライブは、しっとりと聴かせる「All I Need」を中盤に聴かせた以外、常に緩急をつけながらも独自のグルーヴで場内を揺らし続け、高密度に圧縮されたかのような音の塊を次々と吐き出していく。最新CD『DIRT』から「Evidence」「Lolita」「Death Surf」と、ここから終盤まで怒涛の連打が始まる予感の中、「あと20年よろしく」と言うまさかのKENのMCに大きな歓声が上がった。

「今回のツアーで、本当にお客さんの顔が良く見えるようになったというか、みんなの細かい反応まで見ながら演るようになったんだよね。その曲ごとにどう暴れたいのか分かるようになったら、自分がその都度どう変化をつけて煽ったらいいのかってアイディアが次々出てきたっていうか」とKEN LLOYD。結成20年にして今さらと言うべきか、KENを多少なりとも長く見てきている人にとって、まさかと言うべきか。この変化がどれほど大きなものかはお分かりいただけるだろう。ステージでは直球勝負にこだわり、そこにアイデンティティすら感じさせるほどストイックかつ不器用なフロントマンが、全力でパフォーマンスするという意味合いに新たな次元を追加したかのような話だ。

OBLIVION DUSTのライヴは幸せな空気に包まれていると語るファンの声が昨年から高まっているが、その音楽性からは想像がつかないと感じる方も少ないないだろう。しかしいつの時代でも優れたバンドは、相反するベクトルを巧みに織り交ぜることで、音楽の独自性を高めてきた。OBLIVION DUSTもその風格と共に次なるステージへとっくに踏み出しているのだ。

そして結成20周年ツアー<20th Anniversary OBLIVION DUST "Zodiac Way Tour 2017-18 "-Ophiuchus->は、デビューアルバムから幾度となくアレンジを重ねながら、定番曲に居座り続ける「24 Hour Buzz」で幕を閉じた。


熱狂冷めやらぬ中、ギターのフィードバックがいつまでも響き渡る場内のモニターに「緊急告知」の文字が映る。自ずと悲鳴と歓声が入り混じった声が場内に響いた。モニターには故hideのメモリアル・イベントとして、4月に行われる<hide 20th memorial SUPER LIVE「SPIRITS」>への出演決定の文字。「時代の扉が開いた」という言葉を添えて、いち早くOBLIVION DUSTの可能性に言及し、キャリアをスタートさせたばかりの彼らを公私ともプッシュしてくれたのは、他ならぬhideであった。

2018年、巨大フェスへの出演を控え、どんな光景を大観衆の前で見せてくれるのか。今のOBLIVION DUSTの充実ぶりと勢いを考えると期待しかない。彼らが20周年以後に描く企みを同じく発表された夏のツアー<OBLIVION DUST Tour 2018 Adrenaline - Come Get Your Fix>と共に待ちわびたい。

撮影◎田中和子

■OBLIVION DUSTワンマン公演開催決定

2018年5月 都内某所にて
※詳細は近日発表。

■全国ツアー<OBLIVION DUST Tour 2018 Adrenaline - Come Get Your Fix>

6月30日(土) 千葉・柏PALOOZA
7月01日(日) 埼玉・HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
7月07日(土) 埼玉・HEAVEN'S ROCK熊谷VJ-1
7月08日(日) 神奈川・F.A.D YOKOHAMA
7月14日(土) 山梨・甲府KAZOO HALL
7月15日(日) 栃木・HEAVEN'S ROCK宇都宮VJ-2
7月21日(土) 岡山・YEBISU YA PRO
7月22日(日) 山口・RISING HALL SHUNAN
7月28日(土) 長崎・DRUM Be-7
7月29日(日) 福岡・DRUM Be-1
8月04日(土) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
8月10日(金) 愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
8月11日(土) 静岡・LIVE HOUSE浜松窓枠
8月12日(日) 広島・CLUB QUATTRO
8月18日(土) 宮城・仙台darwin
8月25日(土) 兵庫・神戸VARIT.
8月26日(日) 大阪・梅田CLUB QUATTRO

■イベントライブ出演情報

<R JAM' 18 presented by RUIDO 46th ANNIVERSARY>
4月22日(日) Zepp DiverCity (TOKYO)

<hide 20th memorial SUPER LIVE 「SPIRITS」>
4月28日(土) お台場野外特設ステージ J地区
4月29日(日・祝) お台場野外特設ステージ J地区
※OBLIVION DUSTの出演は4/28(土)です

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